インターネット関連市場の最新予測・2016年版

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「インターネット関連市場の最新予測・2016年版」第7回・電子書籍市場

近年、電子書籍市場は大きく変化しつつあります。2015年はアメリカの主要出版社約1200社や、イギリスの5大出版社が販売する電子書籍の年間売上が初めて前年比マイナスに転じる一方、Amazonが運営するKindle Direct Publishing(KDP)のような、著者個人やインディーズ系出版会社によるセルフパブリッシングが大きく売上を伸ばしました。セルフパブリッシングでは、書籍を管理するISBNコードがつけられていないものが多く、従来の統計では実態を把握するのが難しくなっています。また、コミックスや電子雑誌を中心に、月額固定料金で読み放題のサブスクリプションサービスも増えており、ビジネスモデル多様化も市場規模を推計しにくくなっている要因の一つです。

インプレス総合研究所が発表した国内の電子書籍市場に関する調査結果によると、2015年度の市場規模は前年度比33.9%増の1890億円となる見込みです。文芸書やコミックス、写真集、電子雑誌などの有料コンテンツの売上額を集計したもので、広告料収入をビジネスモデルにした無料コンテンツは含まれません。ちなみに、電子雑誌の市場規模は、前年度比100%増の290億円と急増しています。一方、野村総合研究所の予測では、2015年度の市場規模は2821億円となっています。この数字には、インプレス総合研究所の数字に含まれていない電子新聞の売上が含まれます。

MMD研究所が2016年2月から3月にかけて実施した調査によると、電子書籍を最も利用している端末はスマホが33.7%でトップになりました。その一方で、Kindleのような電子書籍専用端末を最も利用すると回答した人は9.3%にとどまっています。今後もスマホの普及が見込まれることが日本の電子書籍市場の追い風となっていますが、電子書籍の利用率については期待されたほど増加していません。MMDLaboが定期的に実施している調査によると、2016年2月時点で電子書籍を利用していると回答したのは、無料コンテンツが22.9%、有料コンテンツが16.5%と前年の調査からほとんど変わっていないことがわかりました。

AAP(全米出版社協会)の加盟約1200社を対象にした統計によると、アメリカにおける2015年の電子書籍収益は前年比9.5%減の14億ドル(約1540億円)でした。この数字は、伝統的な出版社経由の売上のみを示しています。Amazon.comでは、電子書籍単体の売上は公表していませんが、2016年1月の数字から推計したAmazon.comのアメリカ市場での電子書籍売上は年間ベースでおよそ21億ドルになります。そのうち少なくとも10億ドル以上は前述のAAPの統計に含まれない売上と推測されます。調査会社Technavioは、アメリカの市場規模は2016年以降の5年間で年平均14%の成長を続け、2020年には130億ドル(約1兆4300億円)に達すると予測しています。これらのことから、伝統的な出版社の電子書籍売上は頭打ちであるものの、Kindleストアではすでに3割以上を占めるセルフパブリッシングの売上が伸び、市場全体では拡大していることがわかります。

第7回・電子書籍市場
2015年見込み 2016年以降の予測 ソース(発表時期)
日本 1890億円 2016年度に2350億円
2019年度に3400億円
インプレス総合研究所
(2015年6月)
日本(新聞含む) 2821億円 2016年度に3064億円
2021年度に4256億円
野村総合研究所
(2015年11月)
アメリカ(AAP加盟社収益) 14億ドル
(約1540億円)
(前年比9.5%減) AAP
(2016年4月)
アメリカ (年平均成長率14%) 2020年に130億ドル
(約1兆4300億円)
Technavio
(2016年3月)
アメリカ(専用端末利用者) 8340万人 2016年に8630万人
2020年に9370万人
eMarketer
(2016年2月)

(本記事では、1ドル=110円のレートで換算しています。)

アメリカ市場の成長を支えているのが電子書籍専用端末です。安価なタブレット端末が市場に登場した際には、タブレットが電子書籍専用端末に取って代わるという予測もありましたが、調査会社eMarketerの最新調査によると、月に一度以上電子書籍専用端末を利用するアメリカ人は2015年時点で8340万人存在しており、2020年には9370万人と今後も徐々に増加していくと予測しています。代表的な電子書籍専用端末のKindleは、2016年2月にソフトウェアの大型アップデートを実施して数々の新機能が追加されました。アメリカでは、今後もKindleが大きな影響力を維持すると思われます。

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◎初出:2016年5月30日
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