2016年のWebマーケティング注目キーワード

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「2016年のWebマーケティング注目キーワード」第9回・アウトストリーム動画広告

「アウトストリーム動画広告」とは、ニュースサイトなどの広告枠や記事中に表示される動画広告のことを指します。動画広告は、現時点ではYouTubeのTrueViewインストリーム広告のように動画コンテンツの中に挿入される「インストリーム型」が大きなシェアを占めています。インストリーム型は、比較的低コストで広いリーチを得られるというメリットがある反面、一般ユーザが投稿したクオリティの低い動画に挿入されることも多く、ブランディング目的には適さない面もあります。近年では、有力メディアのWebページに配信される様々なタイプのアウトストリーム型の動画広告が登場しており、アウトストリーム型のシェアが拡大する兆しが見られます。

アウトストリーム動画広告の種類には、サイトのタイトル直下に表示される「インボード広告」、ページの目立つ位置に設置された広告枠に表示される「インバナー広告」、ニュースなどの記事の文中に表示される「インリード広告」、ページが遷移する間に表示される「インタースティシャル広告」などがあります。この中で、今後大きく伸びると期待されているのがインリード広告です。インリードとは、コンテンツを読む(Read)という行動の中に入るという意味です。典型的なインリード広告では、記事を読み進めると動画を表示する枠が表れ、画面上で枠の大半が見える状態になると動画の再生が自動的に開始されるようになっています。

アウトストリーム動画広告において、業界をリードしているのがフランスのTeads社です。Teadsは、ワシントンポストやガーディアンなど世界の有力メディアサイトに主にインリード広告を配信して急成長しています。Teadsが提供するインリード広告は、画面に動画枠の50%以上が表示されてから再生が始まり、スクロールして枠が50%以上隠れてしまうと再生は自動的に止まります。再生時間が一定の秒数に満たない場合や、最後まで再生されなかった場合などは、広告料金は課金されません。ある日本のメディアの事例では、広告の完視聴率はインボード広告で18%、インリード広告で16%という数字になりました。

インリード広告は画面のスクロールで簡単に動画の再生がストップするため、広告主にとっては、課金対象になる人の完視聴率が高くなることが大きなメリットとなります。動画が最後まで視聴されたということは、視聴者の高いエンゲージが得られたことを意味します。リターゲティング広告などを組み合わせると、さらに高い効果が期待できます。インストリーム型に比べ、動画のフォーマットや表現方法が比較的自由であることも、アウトストリーム型の有利な点です。Teadsは、360度動画を配信できるインリード広告「inRead 360」を2016年7月から開始しました。今後、動画広告における表現方法がさらに豊富になることは間違いないでしょう。

第9回・アウトストリーム動画広告
キーワード アウトストリーム動画広告
概要 ニュースサイトなどWebページ上に表示される動画広告の総称。記事の文中に表示される「インリード広告」やサイトのタイトル直下に表示される「インボード広告」などに細分される。近年、動画広告におけるシェアを拡大中。
注目の背景 フランスのTeads社は、世界の有力メディアサイトに動画が一定の時間以上再生された場合のみ課金するタイプのインリード広告を配信して急成長。日本でもTeadsのシステムを採用して動画広告を配信するメディアが増加している。
今後の予想 メディアにとって動画広告による収入増は魅力であり、今後も導入例が増える。現在はYouTube広告に代表される「インストリーム型」のシェアが高いが、将来的にはアウトストリーム型がメインストリームになる可能性も。

インターネット広告がすでにテレビ広告の市場規模を上回っているイギリスでは、動画広告におけるアウトストリーム型のシェアはすでに20%を超えています。また、Teadsが本社を構えるフランスでも、シェアは15%近いと推計されます。広告主のみならず、新しい広告収入源となるメディアにもメリットがあるため、Teadsではアウトストリーム型がいずれ動画広告のメインストリームになると分析しています。しかし、インリード広告が日本でも普及するには課題も少なくありません。記事の文脈に合っていないと完視聴率は下がりますので、クリエイティブの制作手法や広告の掲載位置の調整など、各メディアにおいて検証やノウハウの蓄積が必要です。

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◎初出:2016年9月12日
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