520-現在連載中のコラム

2012/02/20

第6回・ビッグデータ

ビッグデータとは、従来の並列データベース管理システム(DBMS)では扱うのが難しい大量のデータのことです。一般的には、ペタバイト(PB)級以上の非定型のデータで、かつリアルタイム性の高いものを指します。具体例としては、WebサーバのログやSNSに投稿されたテキストデータなどがあげられます。ただし、統一された明確な定義はなく、リアルタイム性はあるものの定型データであるPOSなどのトランザクションデータや、非定型データではあるもののリアルタイム性のない音声や動画などのマルチメディアアーカイブなどもビッグデータに含めることが多いようです。

ビッグデータが注目される背景には、ソーシャルメディアとモバイル端末の急速な普及によって、インターネットのデータトラフィック量が爆発的に増加していることがあります。南カリフォルニア大学の研究チームによると、現時点で世界中に保持しているデータ総量は295エクサバイト(EB)に達していますが、アメリカCisco Systemsの予測では、2016年にはモバイルインターネットのトラフィック量だけで年間130EBに膨らむ見込みです。すべてがデータとして保持されるわけではありませんが、モバイル端末から莫大な量のデータが生成され続けることは間違いありません。

ビッグデータの活用で先行しているのは、GoogleやAmazonなどのネット関連企業です。たとえば、Google翻訳では辞書データベースを搭載する代わりに、膨大な文書の原文と翻訳文のデータを分析して翻訳結果を生成します。いわば、ビッグデータのマイニングによって実現されているサービスと表現できます。ビッグデータのマーケティング活用の例としては、あらゆる行動データを蓄積したライフログを解析することで、リアルタイムのレコメンデーションやインターネット広告の最適化など、オーディエンスターゲティングのさらなる高度化が期待できます。

ビッグデータを扱うデータベースとしては、Facebookが開発した後、2008年にオープンソースとして公開された分散キーバリュー型データストア「Cassandra」や、Apacheソフトウェア財団によって開発されたJavaソフトウェアフレームワーク「Hadoop」などが有名です。Cassandraは、Facebookがメッセージ検索機能Inbox Searchに使用しているほか、Twitterの位置情報のデータ保管、人気ツイート一覧のリアルタイム分析などでも導入されています。Hadoopは、Yahoo!をはじめFacebookやFox Interactive Media、Last.fmなど多くのネット関連企業で活用されています。

第6回・ビッグデータ
キーワード ビッグデータ
概要 ペタバイト(PB)級以上の非定型のデータで、かつリアルタイム性の高い、従来の並列データベース管理システム(DBMS)では扱うのが難しい大量のデータ。具体例としては、WebサーバのログやSNSに投稿されたテキストデータなどがあげられる。
注目の背景 ソーシャルメディアとモバイル端末の急速な普及によって、インターネットのデータトラフィック量が爆発的に増加。アメリカCisco Systemsの予測では、2016年にはモバイルインターネットのトラフィック量だけで年間130EBに膨らむ見込み。
今後の予想 アメリカではビッグデータの活用がGoogleやAmazon、Facebook、Twitterなどネット関連企業を中心に普及しつつある。日本でも、ビッグデータ分析に使われるコンテンツ分析ツールは、2015年までの5年間に年平均27.2%の高い成長率が見込まれている。

ビッグデータの分析は、アメリカでは「ビッグマス(big mathematics)」と呼ばれますが、日本でもビッグデータ分析をビジネスチャンスと捉える企業が増えてきています。日本経済新聞の報道によると、日本IBMやNTTデータなどがビッグデータの分析ができる人材の育成を本格化させていることがわかりました。IDC Japanが発表したビジネスアナリティクス(BA)ソフトウェアの市場予測では、ビッグデータ分析に使われるコンテンツ分析ツールは、まだ市場規模自体は小さいものの2015年までの5年間に年平均27.2%の高い成長率が見込まれています。

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 ◎初出:2012年2月20日
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2012/02/13

第5回・ソーシャルコマース

ソーシャルコマースとは、SNSなどソーシャルメディアにおける人間関係(ソーシャルグラフ)を活かして行われる電子商取引や販売促進のことです。Facebookページで商品やデジタルコンテンツを販売する「Fコマース」などが典型的なソーシャルコマースの例としてあげられます。しかし、ソーシャルメディア内での販売にとどまらず、ソーシャルアプリを活用してソーシャルメディアの友達をECサイトや実店舗に誘導するマーケティング手法もソーシャルコマースと表現されるなど、今後はソーシャルコマースの定義や影響範囲もさらに拡大していくことが予想されます。

アメリカのコンサルティング会社Booz & Companyは、ソーシャルコマースは主に「SNSなどソーシャルメディア内でのオンライン販売」、「Grouponのような独自のソーシャルコマースプラットフォームを使ったビジネス」、「ソーシャルアプリを使ったECサイトや実店舗での購買体験の向上」の3つのコア領域に分類できると説明しています。同社が2011年1月に公表したレポートによると、2010年のソーシャルコマース市場規模は世界全体でおよそ50億ドル(約3850億円)ですが、5年以内に300億ドル(約2兆3100億円)規模に拡大すると予測しています。

誕生してから短期間で急成長するソーシャルメディアには、ソーシャルコマースの要素が盛り込まれているという共通点が見られます。たとえば、昨年後半からアメリカ中心に急成長している画像が共有できる招待制SNS「Pinterest」には、興味のある商品写真を見つけて「Gift」コーナーのリンク先から商品を購入できる、アフィリエイトのような仕組みがあります。アメリカでは、お気に入りのファッションで構成したマイストアをソーシャルメディアで共有して商品を購入してもらう「styleowner」のように、ソーシャルコマースに特化したサービスも数多く登場しています。

日本でもソーシャルコマースを模索する動きが広がりつつあります。昨年11月に楽天市場で導入された「Shop Together」では、Facebookアカウントにログインして友達をチャットで呼び出し、相談しながらショッピングが楽しめます。無印良品のECサイトで提供されているマイページ機能「my muji」では、Facebook、Twitter、mixiのアカウントにログインすることで、それぞれのソーシャルメディア上の友達と情報を共有できます。これらの機能やサービスもソーシャルアプリを使った「ECサイトでの購買体験の向上」と考えれば、ソーシャルコマースの一形態に分類できます。

第5回・ソーシャルコマース
キーワード ソーシャルコマース
概要 ソーシャルメディアにおける人間関係(ソーシャルグラフ)を活かして行われる電子商取引や販売促進。主に「ソーシャルメディア内での販売」、「独自のソーシャルコマースプラットフォーム」、「ECサイトや実店舗での購買体験向上」の3つに分類できる。
注目の背景 アメリカでは、Facebookページでコンテンツを販売する「Fコマース」などが普及しつつある。昨年後半から急成長している招待制SNS「Pinterest」にも、ソーシャルコマースの要素が盛り込まれており、新しいビジネスモデルも次々誕生している。
今後の予想 アメリカBooz & Companyによると、2010年のソーシャルコマース市場規模はすでに50億ドル(約3850億円)に達しており、5年以内に300億ドル(約2兆3100億円)規模に拡大する見込み。日本では今年がソーシャルコマース元年になる可能性が高い。

このほかにも、Facebookページに決済用アプリを組み込んでFacebookページ内で完結するオンライン販売や、前述のPinterestと似たコンセプトの「Clipie」などソーシャルコマースを意識した新しいサービスも誕生しています。ミクシィとディー・エヌ・エーは、今年3月下旬にも共同でmixi内にモール型のソーシャルコマースサービスを立ち上げる予定です。匿名による参加者が多い日本では、ソーシャルメディアをビジネスに結びつけることに否定的な意見も聞かれますが、2012年は日本でもソーシャルコマースが注目される1年になりそうです。

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 ◎初出:2012年2月13日
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2012/02/06

第4回・ウルトラブック(Ultrabook)

ウルトラブック(Ultrabook)とは、アメリカIntelが提唱する「薄くて軽く、低価格ながら性能には妥協しない」という新しいノートPCのコンセプトです。具体的な基準としては、「CPUにはIntelの高性能プロセッサCore iシリーズを採用」、「本体の厚さ2cm以下」、「販売価格1000ドル以下」という設定が示されています。2011年5月に台湾のIT国際見本市において披露されるや、新しいノートPCの形として注目を集めています。2012年1月にアメリカで開催された「International CES」においても、ウルトラブックの新製品が世界のPCメーカーから発表され話題を呼びました。

ウルトラブックが従来のノートPCと比較して優れている点としては、本体が薄くて軽量であることに加え、フラッシュメモリを使った記憶媒体SSD(Solid State Drive)の採用によってOSを瞬時に起動できることや、省エネ最新技術により長時間のバッテリー駆動を実現していることなどがあげられます。一方、サブPCとしての利用を想定しているため、DVDドライブは搭載されていません。ネット接続も無線LANが標準となっていて、いわばノートPCとタブレットのいいところを継承しつつ、ビジネスシーンでも使えるモバイル端末を目指したものと言えるでしょう。

Intelがウルトラブックに注力する背景には、特にアメリカでiPadやiPhoneなどApple製品がオフィスで業務用に採用されるケースが増えており、その分従来のノートPCの出荷台数が伸び悩んでいる現状があります。Intelは、2011年夏に3億ドルを投じて、ウルトラブックに適した小さな部品を開発する資金を部品メーカーに提供する「ウルトラブック基金」を設立しました。現在では全世界で約60種類の製品開発が進行中で、2012年中にはタッチパネルを採用した機種も登場すると見込まれています。Intel自身も、Ivy Bridgeと呼ばれる第3世代Coreプロセッサを投入する予定です。

ウルトラブックの市場はまだ未成熟のため、現時点ではIntelが基準として掲げる「販売価格1000ドル以下」の機種はそれほど多くありません。今後、量産化が進むにつれ価格は徐々に低下していくと思われますが、ウルトラブック普及の大きな後押しになると期待されているのが、モバイル端末を意識して開発されているMicrosoftの次世代OS「Windows 8」の登場です。アメリカの市場調査会社IHS iSuppliによると、今後ウルトラブックの普及が加速して、2015年にはノートPC出荷台数の43%をウルトラブックが占めるようになると予測しています。

第4回・ウルトラブック(Ultrabook)
キーワード ウルトラブック(Ultrabook)
概要 Intelが提唱する「薄くて軽く、低価格ながら性能には妥協しない」新しいノートPCのコンセプト。SSD(Solid State Drive)の採用、長時間のバッテリー駆動など、従来のノートPCの弱点を改善しつつ、ビジネスシーンにも使えるモバイル端末を目指している。
注目の背景 タブレットの台頭でノートPCの出荷台数が伸び悩んでおり、Intelは3億ドルを投じて「ウルトラブック基金」を設立するなど、ウルトラブック普及に力を入れている。2012年中にはタッチパネルを採用した機種も登場、製品のバリエーションも広がる見込み。
今後の予想 新型タブレット「iPad3」が今年3月に発売予定されており、ウルトラブックがブレイクするかどうかは不明。次世代OS「Windows 8」の登場も追い風になり、調査会社IHS iSuppliは、2015年にはノートPC出荷台数の43%をウルトラブックが占めるようになると予測。

今年3月にも発売と報道されている新型タブレット「iPad3」との競争激化も予想され、ウルトラブックが2012年にどこまで出荷台数を伸ばせるかはわかりません。オフィスで使用しているデスクトップPCと同じOSやアプリケーションが使える点では、ウルトラブックが有利ともいえます。大きなトレンドを見ると、ビジネスシーンにおいてもモバイル化へ移行しつつあることは間違いありません。ウルトラブックならWeb中心、タブレットならアプリ中心という違いが生じる可能性はありますが、モバイル端末からの利用を意識したB2Bサイト構築が求められるようになるでしょう。

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 ◎初出:2012年2月6日
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2012/01/30

第3回・MEO(Map Engine Optimization)

Googleで駅名などの地域名と一緒に業種名を入力して検索すると、検索結果ページの一番上に「Googleマップ」の縮小版とともに、「Googleプレイス」に登録されている企業・店舗がマップ上にピンで表示されます。上位7社(モバイル版では上位3社)については、地図の横に情報が表示されます。MEO(Map Engine Optimization)とは、検索結果ページ上部に地図と一緒に企業・店舗情報が表示されるようにする手法です。「マップエンジン最適化」とも表記されますが、もともとMap Engine Optimizationは和製英語で、アメリカではLocal SEOが一般的な表現です。

Googleプレイスは、Googleマップに店舗やオフィスの住所や電話番号、地図、画像などの情報を無料で登録できるサービスです。Googleプレイスへの登録は無料ですが、Googleマップ上に表示することが前提になっていますので、実在しない住所では登録が受付けられません。登録申請後、本人確認のため、電話または郵送でPINナンバー(暗証番号)が伝達され、PINナンバーの入力をもって正式な申請受け付けとなります。Googleプレイスに登録された情報は、前述のようなGoogle検索での「地域名+業種」検索や、Googleマップでの検索の結果に反映されます。

MEOが注目される背景としては、Googleが地図情報との連動に力を入れたことで、マップの上位に表示される企業や店舗への集客効果が高まったことがあげられます。特に、Googleモバイルで店舗を検索する場合、検索結果ページはGoogleマップと一緒に表示される上位3社だけで画面が一杯になり、自然検索の結果は画面の外に隠れる形になってしまいます。また、Yahoo!が「Yahoo!地図」や「Yahoo!地域情報」などのサービスを統合して、2011年6月からGoogleプレイスと同様なサービス「Yahoo!ロコ」を開始したこともMEOの注目度を高める要因になっています。

MEOの基本は、Googleプレイスに正しい情報をできるだけ詳しく登録することです。Googleプレイスの表示順位をどのように決定しているかというアルゴリズムは非公開ですが、登録したプレイスページに「食べログ」などのクチコミサイトから収集したレビューが自動的に表示されることから推測して、クチコミサイトやソーシャルメディアにおける「言及(サイテーション)」の数や質が順位に影響していると考えられています。SEOの場合は外部からのリンク数が重視されますが、MEOにおける言及は必ずしもリンクが張られていなくても評価の対象になる点が異なります。

第3回・MEO(Map Engine Optimization)
キーワード MEO(Map Engine Optimization)
概要 Googleで「地域名+業種」を検索した際に、検索結果ページ上部に地図と一緒に企業・店舗情報が表示されるようにする手法。以前から定着しているSEO(Search Engine Optimization)にまねた和製英語で、アメリカではLocal SEOなどと呼ばれている。
注目の背景 検索結果に地図が表示されることが多くなり、地図と一緒に表示された店舗への集客効果が高まっている。それを受けて、日本でもMEOサービスを提供する企業が増加。上位表示が実現できた場合に成功報酬を支払う料金体系が採用されるケースが多い。
今後の予想 企業サイトにおいても、SEO(サーチエンジン最適化)と同様にMEOが重要視されるようになる可能性が高い。ソーシャルメディアにおける言及を増やすなど、自社で実施可能な基本的な施策を継続することが長い目で見て効果的と思われる。

日本では、2008年頃からMEOサービスを有料で提供する企業が登場し始めました。MEOサービスは、対象になる企業・店舗の業種、業態、所在地によって上位表示の難易度が大きく異なるため、成功報酬ベースで提供されるケースが多いようです。今後、GoogleプレイスやYahoo!ロコに登録する企業・店舗が増えるにつれ、MEOサービスのニーズはますます高まるでしょう。その一方で、今年1月に発覚して問題になった「食べログ」へのやらせレビューのように、ネット上の言及を不正に操作して順位を上げようとするような悪質なサービスの蔓延を懸念する声もあります。

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 ◎初出:2012年1月30日
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2012/01/23

第2回・モバイルファースト

モバイルファーストとは、Webサイトを構築する際にスマートフォンなどモバイル端末からの閲覧を想定してモバイルサイトの設計から着手するという考え方です。もともと、アメリカのインタラクションデザイナーLuke Wroblewski氏が2009年に提唱したとされるサイトの設計思想ですが、その後、GoogleやFacebook、Adobeなど数多くの有力企業がこの考え方を発展させて、Webサイトの構築にとどまらず、「インターネットで提供するあらゆるアプリケーションやサービスについてもモバイルからの利用を第一に考えて開発する」という意味に拡大されて定着しつつあります。

モバイルファーストが支持を得ている背景には、スマートフォンの急速な普及があります。アメリカIDCが公表した世界スマートフォン市場に関する調査結果によると、2010年第4四半期の世界スマートフォン出荷台数はPC出荷台数を上回りました。アメリカGartnerの調査によると、アメリカでは個人のモバイル端末の業務使用を認めている企業がすでに半数近くに達していて、2014年までに90%になると予想しています。企業においてモバイル端末が業務に使われるようになると、モバイル端末に最適化されていない企業サイトは大きな機会損失を生じる恐れがあります。

先日公開されたMicrosoftの次期OS「Windows 8」の開発者向けプレビュー版には、スマートフォンOSとして開発された「Window Phone 7」と同じユーザーインターフェイスが採用されています。Windows 8が搭載されるタブレットの発売も予定されており、モバイルを第一に考えて開発されたモバイルファーストなOSといえます。Googleのシュミット会長も、「優れたベンダーはモバイルサービスから提供していく」と発言しており、アメリカではビジネスアプリもモバイルファーストになるという認識が業界のコンセンサスになっているようです。

Luke Wroblewski氏が提唱するモバイルファーストの基本方針は、本当に必要な情報や機能を決めて先にモバイルサイトを作成してから、それに慎重に機能を付け加えていってPC向けWebサイトにするというものです。今後、モバイルファーストによって、企業サイトの設定手法が変わる可能性があります。その一方、モバイル端末からの利用がアプリ中心になるのか、Webとの併用になるのかは、アメリカの専門家の間でも意見が分かれています。Luke Wroblewski氏は自著「Mobile First」の中で、「Webとアプリは相互補完できるので、可能なら両方するべき」と書いています。

第2回・モバイルファースト
キーワード モバイルファースト
概要 Luke Wroblewski氏が2009年に提唱した、Webサイトを構築する際にモバイルサイトの設計から始めるという考え方。現在では、サイトの構築だけでなく「アプリケーションやサービスについてもモバイルを第一に考えて開発する」という意味で定着しつつある。
注目の背景 すでに2010年第4四半期において、スマートフォンの世界出荷台数はPCを上回っている。アメリカでは、スマートフォンやタブレットの業務利用が進んでおり、モバイルからの利用を想定していない企業サイトやサービスは大きな機会損失となる可能性がある。
今後の予想 今後、PCにタッチパネルが採用されるなど、PCとモバイル端末の融合が進むことは間違いない。アメリカでは、ビジネス向けアプリについてもモバイルファーストが適用され、モバイルアプリが先行して開発されるようになると予想される。

日本でもスマートフォン利用者は増えており、近い将来、従来の携帯電話を追い抜くという予想が有力になっています。しかしながら、日本では携帯電話が独自の進化を遂げ、早くからPC向けとは独立したモバイル市場を形成してきた経緯があります。モバイルファーストの考え方は日本市場でも徐々に浸透する可能性はありますが、ほとんどPCしかなかった状態からモバイル端末に急速に移行しているアメリカ市場とは事情が異なる点も考慮する必要があります。いずれにしても、企業サイトのモバイル対応をどうするかが大きな課題になることは間違いないでしょう。

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 ◎初出:2012年1月23日
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2012/01/17

第1回・オーディエンスターゲティング

今回より「2012年のWebマーケティング注目キーワード」(全11回)の連載を開始いたします。この連載では、2012年に注目度の急上昇が予想されるWebマーケティング関連のキーワードを毎回1つピックアップして、そのキーワードが注目される背景やベースになっている技術・手法について説明いたします。キーワードに関連した新しいサービスや事例についても紹介していく予定です。
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オーディエンスターゲティングとは、アドネットワークなどを通して得られる複数サイトにおけるコンテンツの閲覧や検索履歴、インターネット広告に対する反応などの行動履歴データを分析することで、オーディエンス(サイト訪問者)の興味や嗜好を細かくセグメントに分類し、それぞれのセグメントに対して最適な広告を配信する次世代型ターゲティング手法のことです。従来の行動ターゲティングと比較して、「どのサイトに掲載するか」ではなく「どんな条件を満たした訪問者に配信するか」により重点を置いた広告配信手法といえます。

サイト訪問者を行動履歴データによってリアルタイムで分類して、それぞれに適した対応を行い売上を最大化する努力はECサイトでも行われてきました。一例としては、通信販売の顧客分類などによく使われるRFM分析を応用して、「行動頻度(Frequency)」、「行動の新しさ(Recency)」、「滞在時間(Duration)」などの指標で分類する方法があります。オーディエンスターゲティングは、これらのサイト訪問者属性分析手法と従来の行動ターゲティング技術を組み合わせ、よりサイト訪問者の興味や嗜好に合った広告を配信しようというものです。

オーディエンスターゲティングの精度を向上させるには、できるだけ多くのサイトが保有するオーディエンスデータを参照することが重要な鍵になります。それを実現するための技術がサプライサイドプラットフォーム(Supply-Side Platform)です。サプライサイドプラットフォームとは、外部サイトのオーディエンスデータを利用してターゲティング配信を行うなど、メディアの広告収益を最大化するためのツールの総称です。通常、第三者配信を利用したアドネットワークの一元的管理やリアルタイム入札(RTB)などの機能が搭載されています。

2011年頃から、日本でも本格的にサプライサイドプラットフォームを提供する企業が登場しています。すでにサービスを提供している例としては、MicroAdの「ADfunnel」やKauliの「Kauli」などがあります。「Kauli」では、配信する広告を決定するロジックとして、eCPM(広告1000回表示あたりの収益額を示す有効インプレッション単価)とオーディエンスの訪問頻度などから、機械学習の手法によって収益がもっとも多くなる広告を決定する技術を採用しています。これらの配信プラットフォームを活用したオーディエンスターゲティングが今後、大きく成長すると予想されます。

第1回・オーディエンスターゲティング
キーワード オーディエンスターゲティング
概要 コンテンツの閲覧や広告に対する反応などの行動履歴データからオーディエンス(サイト訪問者)の興味や嗜好を推測して、最適な広告を配信する次世代型ターゲティング手法。従来の行動ターゲティングと比較して、「誰に配信するか」により重点を置いているのが特徴。
注目の背景 アメリカではメディアの広告収益を最大化する「サプライサイドプラットフォーム」が普及している。eMarketerによると、アメリカで2011年には、オーディエンスデータによって購入する広告が、掲載枠を購入する広告を上回ると予想されている。
今後の予想 日本でも、2011年頃からサプライサイドプラットフォームを提供するする企業が登場しており、これらの配信プラットフォームを活用したオーディエンスターゲティングが今年大きく成長する可能性が高い。

オーディエンスターゲティングによる広告配信も行動ターゲティング広告に分類されます。クッキーを使って過去にクリックした広告やサイト内のページの閲覧行動、サイト内検索で使用したキーワードなどの行動履歴データを匿名情報をして収集することになりますので、事前にサイト訪問者に対して個人情報取り扱いポリシーを開示する必要があります。日本では、インターネット広告推進協議会(JIAA)が策定した「行動ターゲティング広告ガイドライン」に基づいて行動ターゲティング広告を配信することが業界内の標準になっています。

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 ◎初出:2012年1月16日
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