第1回・オーディエンスターゲティング
今回より「2012年のWebマーケティング注目キーワード」(全11回)の連載を開始いたします。この連載では、2012年に注目度の急上昇が予想されるWebマーケティング関連のキーワードを毎回1つピックアップして、そのキーワードが注目される背景やベースになっている技術・手法について説明いたします。キーワードに関連した新しいサービスや事例についても紹介していく予定です。
-----------------------------------------------------------------
オーディエンスターゲティングとは、アドネットワークなどを通して得られる複数サイトにおけるコンテンツの閲覧や検索履歴、インターネット広告に対する反応などの行動履歴データを分析することで、オーディエンス(サイト訪問者)の興味や嗜好を細かくセグメントに分類し、それぞれのセグメントに対して最適な広告を配信する次世代型ターゲティング手法のことです。従来の行動ターゲティングと比較して、「どのサイトに掲載するか」ではなく「どんな条件を満たした訪問者に配信するか」により重点を置いた広告配信手法といえます。
サイト訪問者を行動履歴データによってリアルタイムで分類して、それぞれに適した対応を行い売上を最大化する努力はECサイトでも行われてきました。一例としては、通信販売の顧客分類などによく使われるRFM分析を応用して、「行動頻度(Frequency)」、「行動の新しさ(Recency)」、「滞在時間(Duration)」などの指標で分類する方法があります。オーディエンスターゲティングは、これらのサイト訪問者属性分析手法と従来の行動ターゲティング技術を組み合わせ、よりサイト訪問者の興味や嗜好に合った広告を配信しようというものです。
オーディエンスターゲティングの精度を向上させるには、できるだけ多くのサイトが保有するオーディエンスデータを参照することが重要な鍵になります。それを実現するための技術がサプライサイドプラットフォーム(Supply-Side Platform)です。サプライサイドプラットフォームとは、外部サイトのオーディエンスデータを利用してターゲティング配信を行うなど、メディアの広告収益を最大化するためのツールの総称です。通常、第三者配信を利用したアドネットワークの一元的管理やリアルタイム入札(RTB)などの機能が搭載されています。
2011年頃から、日本でも本格的にサプライサイドプラットフォームを提供する企業が登場しています。すでにサービスを提供している例としては、MicroAdの「ADfunnel」やKauliの「Kauli」などがあります。「Kauli」では、配信する広告を決定するロジックとして、eCPM(広告1000回表示あたりの収益額を示す有効インプレッション単価)とオーディエンスの訪問頻度などから、機械学習の手法によって収益がもっとも多くなる広告を決定する技術を採用しています。これらの配信プラットフォームを活用したオーディエンスターゲティングが今後、大きく成長すると予想されます。
| キーワード | オーディエンスターゲティング |
| 概要 | コンテンツの閲覧や広告に対する反応などの行動履歴データからオーディエンス(サイト訪問者)の興味や嗜好を推測して、最適な広告を配信する次世代型ターゲティング手法。従来の行動ターゲティングと比較して、「誰に配信するか」により重点を置いているのが特徴。 |
| 注目の背景 | アメリカではメディアの広告収益を最大化する「サプライサイドプラットフォーム」が普及している。eMarketerによると、アメリカで2011年には、オーディエンスデータによって購入する広告が、掲載枠を購入する広告を上回ると予想されている。 |
| 今後の予想 | 日本でも、2011年頃からサプライサイドプラットフォームを提供するする企業が登場しており、これらの配信プラットフォームを活用したオーディエンスターゲティングが今年大きく成長する可能性が高い。 |
オーディエンスターゲティングによる広告配信も行動ターゲティング広告に分類されます。クッキーを使って過去にクリックした広告やサイト内のページの閲覧行動、サイト内検索で使用したキーワードなどの行動履歴データを匿名情報をして収集することになりますので、事前にサイト訪問者に対して個人情報取り扱いポリシーを開示する必要があります。日本では、インターネット広告推進協議会(JIAA)が策定した「行動ターゲティング広告ガイドライン」に基づいて行動ターゲティング広告を配信することが業界内の標準になっています。
-----------------------------------------------------------------
◎初出:2012年1月16日
-----------------------------------------------------------------
| 固定リンク

