第11回・中東
中東にはいくつもの定義が存在し、日本における中東の概念は欧米の「Middle East」とやや異なる面もあります。ここでは、北アフリカを含まない合計14ヶ国、具体的にはイラン、イラク、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、オマーン、カタール、クウェート、バーレーン、イスラエル、パレスチナ、シリア、ヨルダン、レバノンを中東として取り上げます。地域内の総人口は約2億1630万人で、そのうちインターネット利用者は総人口の33.5%にあたる約7250万人です。国別のインターネット利用者の人口普及率は、高い順にイスラエル(70.4%)、UAE(69.0%)、カタール(66.5%)となっています。一方、イラク(2.8%)やイエメン(9.7%)は10%に達しておらず、地域内で大きな格差があります。
地域全体のインターネット普及率は決して高くありませんが、総人口のうち25歳以下の占める割合が約45%と高いこともあり、FacebookなどのSNS利用者数やオンラインゲーム利用者数の伸び率は全世界平均を上回っています。地域内のFacebook利用者数は2011年6月時点で約1610万人に達しており、総人口に対する浸透率は7.5%です。一方、宗教的な要因からクレジットカードの普及率が低いこともあって、電子商取引の市場規模はあまり大きくありません。また、大半の国が公用語としているアラビア語の特殊性により、欧米企業の進出が遅れていることも中東市場の特徴の一つです。
中東のアラビア語圏で比較的大きな市場を確立しているのがサウジアラビアです。インターネットの人口普及率は43.6%とあまり高くありませんが、インターネット利用者数は約1140万人と地域内ではイランに次いで2位です。Arab Advisors Groupの調査結果によると、サウジアラビアの2010年電子商取引市場規模は320億ドル(約2兆4640億円)と、2007年の280億ドルから順調に拡大しました。サウジアラビアのインターネット利用者のうち、インターネットで商品を購入した経験がある人はまだ39%にとどまっており、潜在的な成長余力は大きいといえます。
地域内でもっともインターネット利用者数が多い国はイランです。人口普及率は46.9%と地域平均よりやや高い程度ですが、インターネット利用者数は約3650万人と地域内のインターネット利用者総数の約半分を占めます。イランはペルシャ語を公用語としていて、他の中東諸国とは異なった市場を形成しています。Facebookは利用が禁止されているため利用者数のデータはありません。しかしSNSの利用は盛んで、ペルシャ語のSNS「cloob」は1日のユニーク訪問者数が1000万人に達しています。イランでは2007年頃からオンライン決済が利用できるようになり、2009年の電子商取引市場規模はおよそ10億ドル(約770億円)と推定されています。
| 国数・地域内人口 | 14ヶ国、約2億1630万人(2011年) |
| インターネット利用者数 | 約7250万人(2008年5月~2011年3月) |
| 人口普及率 | 33.5% |
| 高い潜在成長性 | 言語の特殊性、政治不安、低いクレジットカード普及率などの要因から欧米企業の進出は遅れ、電子商取引市場も未成熟。その一方で、人口に占める若年層の比率が高く今後の潜在的な成長性は高い。FacebookなどSNS利用者数は急増中。 |
| サウジアラビア市場 | Arab Advisors Groupの調査結果によると、サウジアラビアの2010年電子商取引市場規模は320億ドル(約2兆4640億円)。インターネット利用者数が約1140万人、うちオンライン購経験者が39%であることを考慮すると成長余力は大きいといえる。 |
| 主なネット関連企業 | FacebookやYouTubeが禁止されているイランでは、ペルシャ語のSNS「cloob」がよく利用される。サウジアラビア、UAE、ヨルダン、クウェートでは、アラビア語コミュニティ「Maktoob.com」が人気。イスラエルでは、ポータルサイトの「Walla」が運営するショッピングモール「wallashops.co.il」が有名。 |
イスラエルは、ヘブライ語とアラビア語が一般に使われますが、英語も公用語の一つとして定着していることもあり、FacebookやLinkedIn、eBayなど英語圏で人気の高いサービスがよく利用されています。また、comScoreが発表した2011年4月のサイト利用状況データによると、イスラエルのSNS月間利用時間は10.7時間で世界一でした。Facebookが盛んに利用されているアメリカ(5.2時間)の2倍以上です。イスラエルのFacebook利用者数は2011年6月時点で約340万人で、これは総人口の46.1%にあたります。ECサイトとしては、ポータルサイトの「Walla」が運営するショッピングモール「wallashops.co.il」が有名です。
※連載「地域別・世界のWebビジネス最新事例」は、今回で終了となります。次回からは新連載がスタートいたしますので、ご期待ください。
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◎初出:2011年9月26日
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