第9回・大規模災害発生時の対応事例(1)
東日本大震災では、固定電話や携帯電話がつながりにくい状況が長時間続き、企業サイトやソーシャルメディアが情報発信手段として大きな役割を担いました。緊急事態の対応計画が事前に策定されていた企業では、週末にもかかわらずトップページのレイアウトを変更したり、特設ページを開設したりなど迅速な対応が見られました。震災直後の有力企業におけるWebサイトでの対応を調べてみると、緊急事態対応の具体的なノウハウが見えてきます。その一方で、モバイルサイトやソーシャルメディアの活用方法については、今後改善すべき点もいくつか浮き彫りになりました。
セラクが有力企業と公共機関の計100サイトを対象に実施した調査結果によると、震災発生直後の3月13日から3月30日までに、「何らかの特別な対応」を行ったサイトが85%にのぼることがわかりました。対応の内容として多かったのは、「お見舞い文の掲示」が61%、「営業時間や募金情報、関連情報の案内等のための特別枠の設置」が60%となっています。その後の追跡調査により、何らかの特別な対応を行ったサイトは4月4日時点で95%まで増え、震災発生からほぼ2ヶ月が経過したゴールデンウィーク明けの5月9日においても80%のサイトが特別な対応を継続しています。
仙台精油所で火災が発生したJX日鉱日石エネルギーは、トップページへのアクセスを自動的に特設ページへリダイレクトさせ、仙台精油所の火災に関する緊急告知を掲載しました。関東圏の私鉄各社のサイトには、運行状況を確認するアクセスが殺到し、一部の企業はトップページをテキストページに差し替える措置を取りました。シンプルなページに切り替えることでWebサーバの負荷を軽減するとともに、携帯端末でアクセスする人が増えることに配慮した対応です。代表電話がつながりにくいため、緊急連絡用の携帯電話番号をトップページで掲示したIT関連企業もあります。
| 主な対策 | 目的 |
| トップページにお見舞い文掲載 | 3月30日までに61%のサイトが実施していて、企業サイトにおける対応としてはもっとも多かった。 |
| 震災関連情報の特別枠設置 | トップページに被災状況、営業時間や緊急連絡方法などを記載した特別枠を設置。60%の企業が実施。 |
| トップページのシンプル化 | Webサーバへの負荷を軽減するとともに、携帯端末でアクセスする人が増えることを想定した措置。 |
| 特設ページへのリダイレクト | 特に優先して告知すべき状況が発生した企業では、特設ページを表示させて情報提供を徹底した。 |
| メールマガジン配信の一時休止 | 被災者が重要メールを受け取る障害にならないよう、緊急性が低いメールマガジンを休止する企業が相次いだ。 |
前述の調査結果では、モバイルサイトで震災関連の情報を提供した企業・公共機関は64%でしたが、モバイルサイトではコンテンツの更新などシステム的な制限が多いこともあり、モバイルサイトにPCサイトと同様の情報を掲載できた企業は28%にとどまりました。十分な対応ができた企業の業種は、鉄道、百貨店、ファッションビルなどとなっていて、平常時からモバイルサイトでの情報発信に注力している業種が中心でした。PCからの接続環境を失った被災者への情報提供手段という観点からは、モバイルサイトでの対応については課題が残る結果といえるでしょう。(次回に続く)
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◎初出:2011年6月6日
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