第8回・負荷分散
Webサイトは、短時間に処理能力を大きく超えるアクセスが集中すると繋がりにくくなり、最悪の場合はサーバダウン状態に陥ります。今回の大震災発生直後も、電話が繋がらないため被害の状況をWebサイトで確認しようとした顧客や取引先からのアクセスが集中して、一時的に開けなくなるWebサイトが続出しました。高い負荷に耐えられずにダウン状態になってしまっては、Webサイトから必要な情報をタイムリーに提供できなくなってしまいます。事前に予測が困難な自然災害、重大事故の発生に備えて、Webサイトの負荷を分散する仕組みを準備しておく必要があります。
Webサーバの負荷分散装置として導入が進んでいるのがロードバランサーです。ロードバランサーの基本的な機能は、代表する1つの仮想IPアドレスに対して行われたリクエストを複数のサーバに適切に分散することです。サーバ増設などでサーバ構成が変わっても仮想IPアドレスは変える必要がなく、外部からは常に1台のサーバのように見えます。ロードバランサーは接続されるサーバが常に正常に動作しているかを監視する仕組みがありますので、その仕組みをさらに高度化してネットワーク型侵入検知装置(NIDS)やファイアウォールなどの機能を搭載したものも登場しています。
Webサーバの負荷を分散させるサービスとしては、各地にコンテンツをコピーした複数のキャッシュサーバを配置して、もっとも負担の少ないルートでコンテンツを配信するContents Delivery Network(CDN)があります。もともと音楽や動画など容量の大きなコンテンツを効率よく配信する仕組みとして開発されましたが、キャッシュサーバのネットワークをクラウドサービスの一形態であるIaaS(Infrastructure as a Service)方式で提供する企業が増え、安価な維持コストでメインのWebサーバがダウンした時の予備サーバとして利用できるようになりました。
| 関連キーワード | 概要と特徴 |
| 仮想IPアドレス | 複数のサーバで共有するIPアドレス。ロードバランサーでアクセスを割り振ることで、一部のサーバに障害が生じても、サービス提供を続行できる。 |
| キャッシュサーバ | コンテンツのコピーを蓄積して、本来のサーバに代わってコンテンツを配信するサーバ。キャッシュサーバのネットワークを提供するサービスはCDNとも呼ばれる。 |
| IaaS(Infrastructure as a Service) | サーバなどハードウェアのリソースをインターネットを経由して提供するクラウドサービス。2010年度の国内市場規模は約1100億円と推計されている。 |
負荷分散は、特定のWebサーバに大量のデータを送りつけてサービスを遅延や停止を狙うDoS(Denial of Service)攻撃の対策としても有効です。特にCDNでは、攻撃を外部のキャッシュサーバに分散できますので、自社サーバへの影響を最小限に食い止める効果が期待できます。また、クロスメディアキャンペーンの実施など、あらかじめWebサイトにアクセスが集中する期間が予測できる場合、CDNを利用すればサーバ増設の必要がなく、巨大なバックボーンを従量制で利用できるため、想定以上のアクセス数が集中してもWebサーバに繋がりにくくなるという事態を回避できます。
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◎初出:2011年5月30日
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