第11回・IT市場
連載最終回の今回は、ハードウェアからシステム開発、保守サービスまで、広くIT市場全体の市場規模を取り上げます。IT市場は、ハードウェア市場、ソフトウェア市場、ITサービス市場の3つの市場で構成されます。電話などの電気通信(テレコミュニケーション)市場をIT市場に含めている調査会社もありますが、ここでは電気通信市場を除外した数字で比較します。(※2009年世界市場の実績では、ハードウェア市場、ソフトウェア市場、ITサービス市場の3市場の合計より、電気通信市場単体の方が市場規模は大きくなっています。)
IDC Japanが2010年4月に発表した日本のIT市場規模予測によると、2010年は下げ止まりの傾向が見られますが、ほぼ全ての産業分野でマイナス成長となり、前年比2.4%減の11兆2168億円になると見込まれています。内訳では、ハードウェア市場が4兆1763億円(前年比2.5%減)、ソフトウェア市場が2兆628億円(同5.5%減)、ITサービス市場が4兆9777億円(同1.0%減)と、ソフトウェア市場の減少率が高くなっています。同社では、2011年以降はプラス成長に転じるものの勢いは弱く、2014年のIT市場規模は11兆4256億円と2009年の水準にとどまると予測しています。
Gartnerの調査結果によると、世界の2010年IT市場規模は前年比4.6%増の1兆3874億ドル(約124兆9000億円)と増加に転じる見込みです。Gartnerでは、IT市場に電気通信市場を含めていますが、この市場規模は電気通信市場を除いたハードウェア市場、ソフトウェア市場、ITサービス市場の合計です。地域別の2010年成長率予測では、ラテンアメリカが前年比9.3%増ともっとも高く、次いで中東・アフリカ(同7.7%増)、アジア太平洋地域(同7.0%増)の順になっています。この成長率予測も電気通信市場が含まれたIT市場全体の成長率で、日本も前年比1.8%増と予測されています。
Forrester Researchの調査によると、2009年に前年比8.2%減と大きなマイナスに見舞われたアメリカのIT市場は、2010年には前年比6.6%増の5680億ドル(約51兆1000億円)まで回復すると予想されています。ちなみに、同社では世界のIT市場についても予測していて、2010年は前年比8.1%増の1兆6000億ドルを超えると、Gartnerよりも強気な数字になっています。Forrester Researchの調査では、2009年の世界のIT市場規模は、前年比8.9%減と大きな落ち込みを記録していました。
| 2010年予測 | それ以降の予測 | ソース(発表時期) | |
| 日本 | 11兆2168億円 | 2014年に11兆4256億円 | IDC Japan (2010年4月) |
| 世界 | 1兆3874億ドル (約124兆9000億円) |
(※電気通信を除く) | Gartner (2010年1月) |
| アメリカ | 5680億ドル (約51兆1000億円) |
Forrester Research (2010年1月) | |
| 中国 | 586億ドル (約5兆2700億円) |
(※電気通信を除く) | Gartner (2010年5月) |
| インド | 1兆880億ルピー(2009年度)(約2兆1800億円) | 2010年度は12%成長 | NASSCOM (2010年3月) |
IT分野で急成長を遂げている中国のIT市場は、Gartnerの予測では2010年に586億ドル(約5兆2700億円)に達する見込みです。内訳をみると、ハードウェア市場が430億ドルと7割以上を占めているのが特徴で、ソフトウェア市場は62億ドル、ITサービス市場は94億ドルとなっています。これに対して、インドの2009年度の市場規模は、1兆880億ルピー(約2兆1800億円)と金額では日本の1/5程度ですが、内訳はハードウェア市場が42%、ソフトウェア市場が11%、ITサービス市場(BPOと呼ばれるアウトソーシング含む)47%と、中国に比べてITサービス市場の割合が高く、構成比率では日本に似ていることがわかります。
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◎初出:2010年6月21日
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