第10回・デジタルサイネージ市場
デジタルサイネージは、屋外や店頭、交通機関などに設置される主に薄型ディスプレイを使った表示機器のことで、電子看板とも呼ばれています。デジタルサイネージに分類される表示機器も多様化していて、矢野経済研究所では電子POPや大型ビジョンなどあらゆる形態の表示機器を「広義のデジタルサイネージ」、そのうち薄型ディスプレイ使った表示機器を「狭義のデジタルサイネージ」と定義しています。デジタルサイネージ市場は、ディスプレイやセットトップボックスなどのハードウェア、配信サーバ、ソフトウェア、通信回線などの「システム関連費」と、情報として配信される「コンテンツ制作費」、「広告料収入」の主に3つで構成されます。
国内のデジタルサイネージ市場規模については、いくつかの調査会社が予測を発表しています。市場の定義に差があるのか、5年後の市場規模予測では大きな開きが出ている点が特徴的です。前述の矢野経済研究所は、広義の市場規模として、2010年度は636億円、2015年度には1280億円に拡大すると予測しています。一方、シード・プランニングは、2009年の国内市場規模を613億円と推計した上で、2015年には1兆円を超えるというかなり大胆な予想を発表しています。ちなみに、2015年の内訳はシステム関連費が3390億円、コンテンツ制作と広告料の合計が6743億円となっています。
今後大きな成長が期待されることから、2007年7月にはデジタルサイネージのメディア化のために必要な標準化を行う業界団体「デジタルサイネージコンソーシアム」が設立されました。現在では、約150社が加盟する大きな団体になっています。正式な市場予測ではありませんが、デジタルサイネージコンソーシアムでは、2015年に国内のデジタルサイネージ市場を1兆円規模の産業にする目標を掲げています。その内訳は、ハードウェア、広告・販促、通信キャリア、コンテンツが各2000億円、システム関連が1000億円などとなっています。
デジタルサイネージの分野でもっとも進んでいるのはアメリカです。アメリカでは、屋外の広告媒体をOOH(Out-of-Home)広告といいますが、デジタルサイネージは頭にDigitalをつけてDOOH広告と区別されています。BIA Kelseyの調査結果によると、アメリカのDOOH広告市場規模は2010年に24億ドル(約2160億円)、2013年には37億ドル(約3330億円)と予想されていて、すでに大きな市場として確立していることがわかります。Screen Digestによると、欧州のDOOH広告市場規模は2010年に3.6億ユーロ(約400億円)と見込まれていますので、いかにアメリカがこの分野で先行しているかがわかります。
| 2010年予測 | それ以降の予測 | ソース(発表時期) | |
| 日本(広義) | 636億円 | 2015年度に1280億円 | 矢野経済研究所 (2010年6月) |
| 日本(コンテンツ、広告含む) | 613億円(2009年) | 2015年に1兆133億円 | シード・プランニング (2010年2月) |
| 世界(出荷台数) | 約122万台 | 2013年に約250万台 | iSuppli (2009年6月) |
| 世界 (システム関連) |
39億ドル(2009年) (約3510億円) |
2013年までの年間成長率約20% | IMS Research (2010年1月) |
| アメリカ (広告料収入) |
24億ドル (約2160億円) |
2013年に37億ドル (約3330億円) |
BIA Kelsey (2009年) |
| 欧州 (広告料収入) |
3.6億ユーロ (約400億円) |
2012年6.3億ユーロ (約690億円) |
Screen Digest (2009年3月) |
iSuppliの調査結果によると、全世界の2008年デジタルサイネージ出荷台数は75万8000台でした。同社では、2010年には約122万台、さらに2013年には約250万台と2008年比で3倍以上になると予測しています。一方、IMS Researchは、2009年のデジタルサイネージ市場は、ハードウェアなどシステム関連費が全世界で39億ドル(約3510億円)に達したと発表しました。2013年までは年間平均約20%の成長率で拡大を続けると予想しています。現時点では、いずれの市場もアメリカが占める割合が高いことは間違いありませんが、今後は日本などアジアのシェアも高まると思われます。
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◎初出:2010年6月14日
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