第11回・5to1
5to1は、今年の9月14日から正式に運用を開始した新しいタイプの広告配信プラットフォームです。サイト運営者が余っている広告スペースにどんな広告を表示するかを簡単にコントロールできる仕組みを提供することで、広告メディアと広告主を結びつけるマーケットプレイスの役割を果たします。元Fox Interactive Mediaのスタッフが今年に入って設立した新しい会社ですが、正式運用前にベンチャーキャピタルから多額の出資を受けて詳細を秘密にしたままテストマーケティングを行うなど、そのユニークな起業方法も特徴の一つです。
5to1の基本コンセプトは、広告料収入を増やしたいサイト運営者に対して、余った広告スペースを有効活用する手段を提供することにあります。従来のアドネットワークでは、余った広告スペースに自動的に広告が配信されるようになりますが、どんな広告が配信されるかをサイト運営者がコントロールできないため、サイトのイメージや内容にそぐわない広告が配信されるケースも少なくありません。サイトのブランド価値を下げてしまうような広告ではクリック率も当然低く、利用者にとってもほとんどメリットがありません。
5to1が正式運用を開始した際に公表したプレスリリースによると、「革新的な広告配信プラットフォーム」と表現されていて、サイト運営者が簡単な操作で自分のサイトのどの位置にどの広告を表示するというスケジュール表を動的に作成でいる点が大きな特徴としています。コンテンツ連動型広告や行動ターゲティング広告などアルゴリズムによって自動的に広告を配信するのではなく、サイト運営者が過去の経験に基づき、自由に広告を選べるアドネットワークというイメージです。5to1では、この仕組みは余った広告スペースを広告主に直接販売できる「マーケットプレイス」だと表現しています。
5to1は、アメリカの大手SNS「MySpace」を傘下に持つFox Interactive Mediaの元幹部が独立して起こしたベンチャーです。約1年前からサービス名を明らかにせずにテストマーケティングを続けてきました。その間、2009年4月にはベンチャーキャピタルから200万ドルを調達するなど、正式運用開始前に計450万ドルを集めました。彼らは自らを「stealth startup」(ステルス起業)と呼び、2009年中旬に正式運用開始することだけを公表していましたが、創業者が業界では有名人だったこともあり、ステルスモードの段階で大きな注目を集めました。
| サイト名 | 5to1 |
| URL | http://www.5to1.com/ |
| 事業内容 | サイト運営者が余った広告スペースにどんな広告を掲載するかを簡単にコントロールできるプラットフォームを提供。 |
| 沿革 | 約1年前からステルスモードで事業を展開。2009年4月にベンチャーキャピタルより200万ドルを調達。2009年9月14日より正式運用開始。 |
| 特徴 | 5to1のビジネスモデルは、余った広告スペースを売買できるマーケットプレイス。サイト運営者が簡単な操作で自分のサイトのどの位置にどの広告を表示するというスケジュール表を動的に作成。元Fox Interactive Mediaの幹部が「stealth startup」として起業したことも話題に。 |
日本でもアドネットワークの余った広告スペースの活用にはニーズがあります。以前、「2008年に登場した新しいネット広告」で紹介した「FeeMoバナー」は、Flash技術を使って広告枠にRSSフィードの情報をローテーション表示できるため、余った広告スペースにコンテンツに連動したRSS広告や提携メディアの最新情報を配信してネットワーク全体の活性化効果が期待できます。5to1は、サイト運営者が表示される広告を機敏にコントロールできるという特徴があるため、今後アメリカを中心に勢力を拡大していけば、従来のアドネットワークの概念を一新させる可能性を秘めています。
※連載「最新Webビジネス・海外編」は、今回を持って終了いたします。10月からは新連載がスタートいたしますので、お楽しみに。
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◎初出:2009年9月28日
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