077-最新Webビジネス-海外編

2009/09/28

第11回・5to1

5to1は、今年の9月14日から正式に運用を開始した新しいタイプの広告配信プラットフォームです。サイト運営者が余っている広告スペースにどんな広告を表示するかを簡単にコントロールできる仕組みを提供することで、広告メディアと広告主を結びつけるマーケットプレイスの役割を果たします。元Fox Interactive Mediaのスタッフが今年に入って設立した新しい会社ですが、正式運用前にベンチャーキャピタルから多額の出資を受けて詳細を秘密にしたままテストマーケティングを行うなど、そのユニークな起業方法も特徴の一つです。

5to1の基本コンセプトは、広告料収入を増やしたいサイト運営者に対して、余った広告スペースを有効活用する手段を提供することにあります。従来のアドネットワークでは、余った広告スペースに自動的に広告が配信されるようになりますが、どんな広告が配信されるかをサイト運営者がコントロールできないため、サイトのイメージや内容にそぐわない広告が配信されるケースも少なくありません。サイトのブランド価値を下げてしまうような広告ではクリック率も当然低く、利用者にとってもほとんどメリットがありません。

5to1が正式運用を開始した際に公表したプレスリリースによると、「革新的な広告配信プラットフォーム」と表現されていて、サイト運営者が簡単な操作で自分のサイトのどの位置にどの広告を表示するというスケジュール表を動的に作成でいる点が大きな特徴としています。コンテンツ連動型広告や行動ターゲティング広告などアルゴリズムによって自動的に広告を配信するのではなく、サイト運営者が過去の経験に基づき、自由に広告を選べるアドネットワークというイメージです。5to1では、この仕組みは余った広告スペースを広告主に直接販売できる「マーケットプレイス」だと表現しています。

5to1は、アメリカの大手SNS「MySpace」を傘下に持つFox Interactive Mediaの元幹部が独立して起こしたベンチャーです。約1年前からサービス名を明らかにせずにテストマーケティングを続けてきました。その間、2009年4月にはベンチャーキャピタルから200万ドルを調達するなど、正式運用開始前に計450万ドルを集めました。彼らは自らを「stealth startup」(ステルス起業)と呼び、2009年中旬に正式運用開始することだけを公表していましたが、創業者が業界では有名人だったこともあり、ステルスモードの段階で大きな注目を集めました。

第11回・5to1
サイト名 5to1
URL http://www.5to1.com/
事業内容 サイト運営者が余った広告スペースにどんな広告を掲載するかを簡単にコントロールできるプラットフォームを提供。
沿革 約1年前からステルスモードで事業を展開。2009年4月にベンチャーキャピタルより200万ドルを調達。2009年9月14日より正式運用開始。
特徴 5to1のビジネスモデルは、余った広告スペースを売買できるマーケットプレイス。サイト運営者が簡単な操作で自分のサイトのどの位置にどの広告を表示するというスケジュール表を動的に作成。元Fox Interactive Mediaの幹部が「stealth startup」として起業したことも話題に。

日本でもアドネットワークの余った広告スペースの活用にはニーズがあります。以前、「2008年に登場した新しいネット広告」で紹介した「FeeMoバナー」は、Flash技術を使って広告枠にRSSフィードの情報をローテーション表示できるため、余った広告スペースにコンテンツに連動したRSS広告や提携メディアの最新情報を配信してネットワーク全体の活性化効果が期待できます。5to1は、サイト運営者が表示される広告を機敏にコントロールできるという特徴があるため、今後アメリカを中心に勢力を拡大していけば、従来のアドネットワークの概念を一新させる可能性を秘めています。

※連載「最新Webビジネス・海外編」は、今回を持って終了いたします。10月からは新連載がスタートいたしますので、お楽しみに。

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 ◎初出:2009年9月28日
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2009/09/14

第10回・TwitterHawk

TwitterHawkは、ミニブログサービス「Twitter」にキーワード連動のターゲティング広告を配信するサービスです。オーストラリアの会社が2009年2月1日にサービスを開始しました。Twitterと提携関係はありませんが、Twitterが公開しているAPIを利用したシステムを提供しています。Twitterへの投稿を定期的に検索して、利用者が指定したキーワードが含まれた投稿が見つかると、それに返答するような形であらかじめ登録した文章を自動的に投稿してくれる便利なツールです。

Twitterは、140文字以内の短いメッセージを投稿できる、ブログとチャットとSNSのいいとこ取りしたような無料サービスです。2006年8月にアメリカで誕生して以来、欧米ではかなり普及していて、2009年4月時点の利用者数はアメリカで約1700万人、イギリスで約250万人となっています。日本での利用者数は2009年6月時点で約78万人とまだまだ普及しているとはいえませんが、2009年に入ってからは大きく伸びていて、今後SNSやブログに並ぶクチコミ情報源になると期待されています。

Twitterに広告を配信するサービスはすでに数多く登場しています。一例としては、BeaMagpieのようなアドネットワークや、Tweetbucksのようなアフィリエイトプログラムが有名です。今回紹介するTwitterHawkは、特定の地域で指定したキーワードがTwitterに投稿された場合、あらかじめ登録しておいたtweet(Twitterへの投稿)を自動的に投稿してくれるツールをASP形式で提供しています。たとえばニューヨークでレストランを新しく開店した人が、「レストラン」や「食事」というキーワードを指定して、レストランに関する話題がニューヨーク地域で投稿された時に「うちのレストランなんかいかがでしょう?」と投稿するように設定しておけば、自然な会話の中で自分の店を宣伝できます。

このサービスの鍵は、自動的に配信された投稿を相手が広告やスパムと感じるかどうかにかかっています。広告っぽくならないかをチェックできるよう、投稿ごとに内容を確認できるモードも用意されていて、TwitterHawkも当初は確認モードの利用を推奨しています。相手が投稿に対して返答してくる可能性もありますので、効果を高めるためには、その後のコミュニケーションをどのようにフォローできるかが重要です。つまり単なる広告ではなく、あくまでもTwitterでの会話をつくるきっかけと考えた方がいいでしょう。

第10回・TwitterHawk
サイト名 TwitterHawk
URL http://www.twitterhawk.com/
事業内容 Twitterにターゲティング広告を配信できるシステムを提供。システムの利用料金は1tweet(投稿)あたり5セント。
沿革 2009年2月1日にサイト開設。2009年5月には累計5万tweetの投稿を達成。
特徴 Twitterで指定のキーワードが特定の地域で投稿されると、あらかじめ登録したtweetが自動的に投稿されるシステム。Twitterが公開しているAPIが使われている。スパム防止のために自主的な制限を設けている。

TwitterHawkの利用料金は、投稿されたtweet1件あたり5セントが基本になっています。キーワードと地域によって投稿するシーンをかなり絞り込めますので、設定の仕方を工夫すればコストパフォーマンスのいいプロモーション手段になる可能性もあります。ただし、Twitterにこの種の広告を配信することに対して、批判的な見方をするTwitter利用者が多いことも事実です。広告として利用する前に、自らがTwitterを使いこなしてTwitterの住人として認知されておくことが必要かもしれません。

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 ◎初出:2009年9月14日
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2009/09/07

第9回・HelpersMarket.com

HelpersMarket.comは、モノを売りたい、買いたいなど投稿者の希望実現のために協力してくれる人を募集する広告を掲載できるサイトです。よくあるクラシファイド広告やインターネット・イエローページと決定的に異なる点は、投稿者が協力してくれた人に対して成功報酬を支払うタイプの募集広告に特化していることです。自分の人脈を使って何か副収入を得るチャンスはないかと探している人がサイトに集まってきますので、広告の露出機会は増え、投稿者の希望が実現する可能性も高くなります。

HelpersMarket.comは2009年4月にスタートした比較的新しいサイトで、現在はベータ版として運用されています。条件を明記した広告がHelpersMarket.comに掲載され、後は協力を申し出た人(ヘルパー)と直接交渉を行い、希望が実現すれば投稿者はヘルパーに成功報酬を支払います。個人が依頼する「People」、アメリカ全地域で活動する企業が依頼する「National Partners」、地域で営業する企業や店舗が依頼する「Local Businesses」の3つのチャンネルがあります。依頼の内容によって「Sell(売りたい)」、「Buy(買いたい)」、「Rent(貸したい)」、「Hire(雇いたい)」の4つに分類されます。また、ヘルパーが地元の案件を見つけやすいように依頼は地域(州や都市)別に表示されます。

HelpersMarket.comの収入は広告掲載料のみです。掲載料は、「People」は60日間無料、「Local Businesses」は露出機会の高いプレミアムが月額12.98ドル、通常のゴールドが月額6.98ドル、「National Partners」は月額79.98ドルです。HelpersMarket.comの広告料収入額は公開されていませんが、「National Partners」や「Local Businesses」チャンネルに有料広告を出す企業や店舗は増えていて、スタートして約半年しか経過していないことを考えると順調といえます。

HelpersMarket.comというサイトの名称には、助けを求めている投稿者と、それに協力するヘルパーを結びつける市場(マーケット)という意味が込められています。ヘルパーとは、成功報酬ベースで販売協力などを行う個人の代理店・エージェントと考えればわかりやすいでしょう。個人でも募集できるリアルワールドのアフィリエイトと表現できるかもしれません。「National Partners」チャンネルでは、全米で知名度の高いプロバイダやケーブルテレビ会社などが、「契約者を紹介してくれたら1件50ドルの報酬」などまさにアフィリエイトに近い内容の広告を出しています。

個人が不用品を売りたいと思った場合、ネットオークションに出品するという手がありますが、商品がマイナーなカテゴリーだとわずか数日間に欲しい人が見てくれるとは限りません。また、安値の落札に不満があっても売るしかありません。HelpersMarket.comなら、「○○ドルで買ってくれる人を紹介してくれたら、ヘルパーに○○ドル払います」という内容の広告を掲載して、希望価格で売れるのを待てばいいのです。成功報酬をはずめばオークションで売るよりも高く売れる可能性もありますし、掲載料が無料なので反応が全くなくても損はありません。

第9回・HelpersMarket.com
サイト名 HelpersMarket.com
URL http://www.HelpersMarket.com/
事業内容 助けを求めている投稿者と、それに協力するヘルパーを結びつけるマーケットプレース。企業から月額固定の掲載料を徴収。
沿革 2009年4月にサービスを開始。現在、ベータ版の運用。
特徴 不用品の販売など、協力してくれた人に対して成功報酬を支払うタイプの募集広告を掲載できるサイト。ヘルパーとは成功報酬ベースで販売協力などを行う個人のこと。副収入を得られる情報源として集客効果が高い。

HelpersMarket.comのビジネスモデルのリスクは、違法な内容の依頼をどう締め出すか、当事者間のトラブルにどう対応するか、という点に尽きると思われます。HelpersMarket.comは、投稿者とヘルパーの間の取引には一切関与せず、両者間でトラブルが生じても責任は負わないと利用規約に明記しています。販売協力によって報酬を支払うという内容は、いわゆる「ねずみ講」など違法な販売方法と誤解される可能性もありますので、日本ではその種の広告を個人から集めるのは難しいかもしれません。しかし、個人広告にアフィリエイトに近い仕組みを取り入れたHelpersMarket.comのビジネスモデルは、工夫次第で他の業態に応用することも可能ではないでしょうか。

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 ◎初出:2009年9月7日
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2009/08/31

第8回・WeightView

WeightViewは、ダイエットに関心のある人が現在の自分の写真をサーバにアップロードして目標体重を設定すると、目標達成時の予想写真に加工してくれるサービスを無料で提供しているサイトです。加工された写真データは通常1日程度、遅くとも72時間以内に送られてきます。ダイエットに成功した自分の予想写真を目につくところに貼っておけば、ダイエットを継続するモチベーションを高める効果が期待できます。2008年にサービスを開始して以来、写真の加工を依頼した人はすでに22万人を突破しました。

WeightViewの利用方法は簡単です。現在の身長、体重、年齢と共にダイエットの目標体重を記入して自分の写真データをサーバにアップロードするだけです。登録したメールアドレスに加工された写真データが送られてきます。WeightViewのサイトでは、利用者が交流できるコミュニティもあります。たとえば、加工された写真を励みにして目標体重を実現した人の実際の写真を投稿できるギャラリーがあり、そこで目標達成できた喜びを共有できることも利用者にとっては楽しみの一つになっています。

SNSやポータルサイトではダイエットを実践している人向けに、日々のダイエット記録を管理したり、同じ手法を実践して成功した人の食事メニューを参考にしたりするサービスが数多く提供されています。それらのダイエット管理サービスとの相性に目をつけたWeightViewは、アメリカの大手SNS「Facebook」内に公式のコミュニティを開設して、Facebook会員専用のサービスも提供しています。WeightViewの無料サービスは、Facebook会員の間でも人気の高い機能として知名度も高まりつつあります。

WeightViewのサービスは完全に無料で、ビジネスモデルとしては広告料収入で成り立っています。利用者のほとんどがダイエットに本気で取り組んでいる人というメディアの特性が明確であることから、業界を代表する大手企業がすでに広告を出稿しています。2009年6月には、アメリカのインターネット広告代理店との合弁で新しいサイト「Dietitians.net」を開設しました。Dietitians.netは、ダイエットを実践している人向けに地元の栄養士を紹介するポータルサイトで、WeightViewとの相乗効果が期待できる新しいビジネスモデルとして注目されています。

第8回・WeightView
サイト名 WeightView
URL http://www.weightview.com/
事業内容 ダイエットの目標を視覚的にイメージできる「ビジュアルモチベーション」をコンセプトにした無料の写真加工サービス。
沿革 2008年に設立。すでに写真の加工を依頼した人は22万人を突破。
特徴 ダイエットに関心のある人が現在の自分の写真をサーバにアップロードして目標体重を設定すると、目標達成時の予想写真が72時間以内に送られてくる。アメリカの大手SNS「Facebook」内に公式のコミュニティを開設して、会員専用のサービスも提供。

WeightViewのサービスは無料ということもあり、加工された写真のクオリティは特別高いとはいえません。しかし、ダイエットに強い関心のある22万人以上を短期間のうちに集めることができたのも事実です。WeightViewは、Facebookにコミュニティを開設したり、ダイエット実践者を対象にした別のサイトを共同で立ち上げるなどのマーケティング戦略を素早く実行してきました。日本でもインターネットを活用したダイエット支援サービスは有望といえますが、今後はWeightViewのように、得意分野に特化したサービスで利用者を集めた後に、提携によって勢力を拡大していくビジネスモデルが増えると予想されます。

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 ◎初出:2009年8月31日
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2009/08/24

第7回・Contenture

Contentureは、有料コンテンツの購読会員を集めて収益源にしたいサイトのために、独自の少額課金システムを提供するアメリカのサイトです。2009年5月にサービスを開始しました。Contentureがユニークな点は、ネットワークに加盟するサイトのコンテンツを自由に閲覧できる会員をContentureが募集し、会員がコンテンツを閲覧した回数に応じて、会費が加盟サイト運営者に分配されることです。有料コンテンツを提供したいサイトは、Contentureのネットワークに加盟することによって、コンテンツ購読料を間接的に利用者から徴収できるようになります。

Contentureの会員に登録すると、加盟サイトの有料購読者専用コンテンツに自由にアクセスできるようになります。その対価として、会員はContentureに月額5.99ドル以上、最大49.99ドルまでの任意の月額固定会費を支払います。Contentureは徴収した会費のうち20%を運営費用として差し引き、残り80%を加盟サイトの運営者に分配します。会員が閲覧した回数に応じて分配されますので、人気のあるコンテンツを提供しているサイトは収入も多くなります。会費が月額5.99ドル「以上」となっているのは、よく利用しているお気に入りサイトにもっと利用料を払ってもいい、と思ってる人が自由意志によって増額できるという意味です。

加盟サイトにとってのメリットは、実質的にコンテンツを有料で配信できるようになることです。月額100円程度の独自の有料会員制度を作るのはシステム費用がかかる上に、なによりも有料会員を募集するのが大変です。Contentureに加盟すれば、会員はContentureが募集、管理しますので、アドネットワークに参加するような手軽さでコンテンツの有料化を実現できます。オプションを利用すれば、Contentureの課金システムを使った独自の有料会員制度も運営できます。また、サイト訪問者の中からContenture会員に新規登録する人が出るごとにアフィリエイト収入も得られます。

Contentureのビジネスは、加盟サイトが提供するコンテンツのために月額5.99ドル以上を払う会員をどれだけ多く集められるかにかかっています。優良コンテンツを提供する加盟サイトが増え、本来は各サイトごとに月額数ドル払わないとアクセスできないコンテンツが見放題ということであれば、会員は増えるでしょう。会員が増加すればアクセスの多い人気サイトに支払われる毎月の利用料も増え、加盟サイト、会員共にメリットがあるビジネスモデルが完成します。問題は、お互いメリットが感じられる規模に、いつ到達できるかというスピードでしょう。

第7回・Contenture
サイト名 Contenture
URL http://contenture.com/
事業内容 有料コンテンツの購読会員を集めて収益源にしたいサイトのための新しいタイプの少額課金システム。
沿革 2009年5月26日にサービス提供開始。
特徴 ネットワークに加盟するサイトのコンテンツを自由に閲覧できる会員をContentureが募集し、会員がコンテンツを閲覧した回数に応じて、会費が加盟サイト運営者に分配される。Contentureの課金システムを使った独自の有料会員制度も運営可能。

類似ビジネスとしては、同じIDとパスワードでログインできるオープンIDを導入して、その会費を徴収するという方法が考えられます。ただし、この方法だと加盟サイトにアクセスするごとにログインという手続きが必要になります。Contentureは、加盟サイトのHTMLソースに設置されたJavaScriptによって、Contentureの会員かどうかを自動識別する方式を採用しています。また、月額会費を会員が増額することで応援したいサイトに間接的に寄付できる仕組みは、ソーシャルコミュニティの特性を上手に活かしています。日本にも少額の金額をサイト運営者に寄付できる「投げ銭」システムが以前からありましたが、それを発展させたビジネスモデルと表現できるかもしれません。

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 ◎初出:2009年8月24日
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2009/08/17

第6回・NetHaggler

NetHagglerは、提携しているECサイトで価格の監視や値引き交渉を代行してくれるサービスを2007年から提供しているアメリカのサイトです。利用するには、まず「Hagglet」と呼ばれるブックマークレットをブラウザに登録します。提携ECサイトで関心のある商品を指定して希望価格を入力するだけで、即座にECサイトとの交渉結果を回答してくれる、消費者にとっては便利なサービスです。Haggletの利用や会員登録はすべて無料。現在では、提携ECサイトもAmazon.comやMacysなど大手を含めて100サイトを超えています。

ブックマークレットとは聞きなれないツールかもしれませんが、ブラウザのお気に入りに登録ができるJavaScriptのことです。主要なブラウザであれば簡単な手順でHaggletをブックマークに登録でき、使いたい時にツールバーの「リンク」からブックマークレットをクリックして起動できるのが特徴です。Haggletは、使い方も簡単です。提携しているECサイト上で起動させて希望の商品を指定すると、ページが遷移することなくポップアップ画面が表示されます。ポップアップ画面からは、「Tag」、「Nag」、「Haggle」の3つの機能を選択できます。

Tagは、いわゆるアラートサービスです。希望価格を登録しておけば、その価格まで値引きされた時にメールで通知してくれます。NagがNetHagglerのメインの機能で、利用者側からいくらなら買うという値引き交渉を取り次いでくれるサービスです。ECサイト側から、入力した希望価格は無理でもいくらまでだったら下げられる、というオファーが返ってくることもあります。Haggleは、NetHaggler利用者の注文をとりまとめて共同購入の仲介をしてくれる機能で、うまく購入希望者が集まれば、Nagで個別に値引き交渉するより格段に低い価格が実現することもあるようです。

ECサイトと値引き交渉できるという機能自体は、特に目新しいものではありません。たとえば、アメリカのオークションサイトeBayでは、即売出品のうち出品者が値引き交渉に応じる意思のあるものには値引き交渉ボタンが設置されています。しかし、ボタンが設置されている商品については、「定価での購入は損」という印象を与えるデメリットもあり、効果は微妙でしょう。その点、NetHagglerのサービスでは、Haggletを使っていない人には、そのECサイトが値引き交渉に応じていることもわかりませんので、安売りしているイメージを避けつつ、購入希望者を増やす効果が期待できます。

第6回・NetHaggler
サイト名 NetHaggler
URL http://www.nethaggler.com/
事業内容 提携しているECサイトで価格の監視や値引き交渉を代行してくれるサービス。提携ECサイトから販売手数料を受け取るビジネスモデル。
沿革 2007年にサービスを開始。現在、Amazon.comやMacysなど大手を含め100以上のECサイトと提携。
特徴 「Hagglet」と呼ばれるブックマークレットをブラウザに登録して利用する。提携サイトで関心のある商品を指定して希望価格を入力するだけで、即座にECサイトとの値引き交渉結果を回答してくれる。

NetHagglerの収入は、NagやHaggleを利用して購入に至った場合にECサイトから徴収される販売手数料です。ビジネスモデルとすればアフィリエイトに近いものといえます。値引き交渉が成立した場合、利用者はいったん定価をECサイトに支払い、後日、PayPalなどを通じて値引き分がキャッシュバックされる仕組みです。ECサイトの管理者に値引き交渉のメールを書くのは敷居が高くても、NetHagglerのようなサービスなら気軽に値引き交渉する人も増えるでしょう。提携サイトが大手を含めて徐々に拡大していることから、ECサイトおよび利用者の双方に受け入れられつつあるのではないでしょうか。

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 ◎初出:2009年8月17日
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2009/08/03

第5回・Trackle

Trackleは、ショッピングや投資情報、ニュースなど約20のジャンルでTrackletと呼ばれる100種類以上のアラートサービスを無料で提供しているサイトです。アラートサービスといえば、登録したキーワードが含まれたニュースを配信してくれるGoogleアラートや、Yahoo!オークションに欲しい商品が新たに出品された時に知らせてくれるYahoo!アラートなどが有名ですが、Trackleのサービスは販売価格の変動など利用者のニーズに応じた細かい設定ができる点が最大の特徴です。ID登録してアカウントを開設すれば、誰でもすぐに利用できるようになります。

Trackleのシステムはとても洗練されていて、設定や利用方法も簡単です。たとえば、Amazon.comでの値引き販売を監視してくれるアラートでは、Trackleのサイトからジャンルやキーワード検索で監視の対象になる商品を指定できます。さらに、販売されている商品を選択してターゲットとなる価格を設定しておけば、その価格以下に値引きされた時にのみ、アラートが送られてきます。なお、アラートはTrackleにログインしなくても、設定によってメールやショートメッセージでその都度受け取ることも可能です。

Googleアラートでもこれに近いことは可能ですが、ターゲット価格や具体的な商品、条件など細かい設定はできませんので、より具体的な情報を求める人にとっては、欲しい情報とは関係のないアラートが大量に送られてくるという弱点がありました。しかし、Trackleでは高度なカスタマイズ機能により、利用者が欲しい情報だけを選択して受け取ることができます。たとえば求人情報の場合、勤務地域のほかに業種や希望年収のレンジを指定しておけば、条件が全く合わずに読んでも無駄になる求人情報はあらかじめ排除できるわけです。

Trackleは2009年4月より、APIを使ってこの機能を外部のECサイトなどに提供するビジネスを開始しました。外部サイトに設置された「Trackle It」ボタンをクリックすれば、利用者はサイト内の情報について、高度なアラートサービスを無料で受けることができるようになります。採用するECサイトにとってはSaaSの一種になりますが、ユニークなのは料金体系です。月額固定費用ではなく、「Trackle It」ボタンがクリックされた回数によるクリック課金です。利用者の数に比例して利用料金も増えるのが、Trackleの狙いと言えるでしょう。

第5回・Trackle
サイト名 Trackle
URL http://www.trackle.com/
事業内容 約20のジャンルで100種類以上のアラートサービスを無料で提供しているサイト。外部のECサイト向けにクリック課金形式で機能を提供する。
沿革 2009年2月にTrackle.comのサイトを公開。2009年4月から「Trackle It」ボタンのベータ版を外部サイトに提供を開始。
特徴 従来のアラートメールやRSSよりも、利用者が欲しい情報を高度にカスタマイズできる点が特徴。アラートはTrackleのサイトにログインして閲覧できるほか、メールやショートメッセージでその都度受信することも可能。

Trackleを導入するECサイトは、独自にシステムを開発することなく高度なアラートサービスを提供できることになり、見込み客の囲い込みに大きな効果が期待できます。Trackleによると、外部サイトに「Trackle It」ボタンを組み込むためのAPIが用意されているので、通常1時間以内に作業は完了するとのこと。新しくTwitterとの連携機能も追加され、TrackleのアラートをTwitterで簡単に発信することができるようになりました。RSSを使って更新情報を配信するサイトは増えていますが、通常のRSSよりも入手できる情報を細かく指定できるTrackleのアラートサービスは、今後ECサイトを中心に一気に普及する可能性もあります。

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 ◎初出:2009年8月3日
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2009/07/27

第4回・SeeWhy

SeeWhyは、買い物かごに商品を入れたものの購入せずにサイトを離脱するなどコンバージョンに至らなかった人を監視して、サイト運営者がリアルタイムに近いタイミングでフォローできるリターゲティング機能をインターネットで提供するアメリカの企業です。SaaS形式なので特別なソフトをインストールすることなく自社サイトに簡単に組み込めるのが特徴で、SeeWhyのサイトで会員登録をすれば機能の一部を制限した無料版をすぐに使えます。

SeeWhyは、Webサイトの行動履歴分析のプロであるCharles Nicholls氏によって2003年に設立されました。彼はこれまでの分析のノウハウを活かして、サイト運営者が離脱者を補足できるシステム「Abandonment Tracker」を開発しました。「Abandonment Tracker」は、商品購入やサービスの申し込み、資料請求、ファイルのダウンロードなどWebサイトのおける利用者の具体的な行動を記録・分析する機能を持っています。

「Abandonment Tracker」はWebビーコンのような形式で、個別に発行された専用のコードをWebサイトのHTMLソースに挿入するだけで、後は自動的に離脱者を監視してくれます。無料版では、1日に1回、サイトでの手続きを途中でやめた人のユニークIDと行動内容の詳細がメールで送られてきます。サイト運営者は、登録されている個人情報とユニークIDを照合して、メールを送ったり電話をしたりして手続きの再開を促すという仕組みです。有料版では、離脱者の報告をリアルタイムで受け取れ、行動を中止した直後にフォローすることが可能になります。なお、有料版の利用料金等は公開されておらず、個別の問い合わせとなります。

アメリカのForrester Researchが行った実験によると、ある金融サービスのWebでの申し込みにおいて手続きを途中でやめた人の割合は約54%でした。しかし、途中でやめた人に対して、直後にメールで2回に渡って再検討を働きかけたところ、途中でやめた人の約46%から最終的に申し込みを獲得することに成功しました。ただし、サイト離脱の翌日になると効果は1/3に、離脱から72時間経過すると1/7に減少してしまうこともわかりました。サイト運営者から直後に何らかの手段でアプローチできれば、離脱した人の最大5割をコンバージョンに結びつけられる可能性がある、というのがSeeWhyのサービスのコンセプトになっています。

第4回・SeeWhy
サイト名 SeeWhy
URL http://www.seewhy.com/
事業内容 商品購入や申し込みなどWebサイトでの手続きを途中で中止した人へのフォローをタイムリーに行える機能をSaaS形式で提供
沿革 アメリカで2003年に設立。2009年より「Abandonment Tracker」の機能制限版を無料で提供開始。
特徴 ECサイトなどの行動履歴分析の専門家である創業者が、「リターゲティング」を目的にしたマーケティング支援システム「Abandonment Tracker」を開発。リアルタイムでの対応が可能な有料版と、機能が制限された無料版がある。

ECサイトの買い物かごの場合は、ブックマークをつけるような感覚で気軽に買い物かごに入れる人もいて、これが買い物かごの途中離脱率を高めているという事情もあります。アマゾンでは、すべてのページに商品の閲覧履歴を表示して、利用者がもう一度見たい時にワンクリックで商品詳細ページが開けるような機能を導入しています。ECサイトにおいては、利用者が途中で手続きを中止する原因をできるだけ排除するという改善が重要です。SeeWhyのようなサービスは、途中離脱者にアプローチをするかどうかは別としても、自社サイトの問題点を改善するツールとしても有効と思われます。

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 ◎初出:2009年7月27日
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2009/07/21

第3回・淘宝商城(タオバオモール)

淘宝商城は、中国最大のオークションサイトとして知られる淘宝網のB2C版として、日本のソフトバンクも出資している阿里巴巴(アリババ)が2008年4月に開設したショッピングモールです。言語は中国語のみで、出店できるのは中国で登記されている法人に限られます。7日間は無条件で返品に応じるという消費者保障制度に加入が義務付けられるなど出店条件は厳しいものの、すでに日本からユニクロや千趣会、東芝などの企業が出店して中国市場向けにネット販売を行っています。淘宝は中国語読みで「タオバオ」なので、タオバオモールとも呼ばれます。

中国のEC市場は、淘宝網のような消費者間取引(C2C)サイトが中心になって発展してきました。中国のインターネット利用者はすでに約3億人に達していますが、市場調査によると中国のインターネット利用者のおよそ3人に1人が淘宝網を利用しているという結果が出ています。淘宝網の会員数は1億人を突破し、2008年の総取り扱い高は前年比2.3倍の約1兆3200億円と急成長しています。淘宝網は個人しか登録できませんが、無料で出店できるため企業が個人名義で淘宝網を使ってネット販売を行っているという現実がありました。そこで淘宝網を運営する阿里巴巴は、企業が本格的にビジネスを行えるB2Cプラットフォームとして淘宝商城の開設に踏み切ったのです。

2009年4月、ユニクロが淘宝商城での販売を開始したところ、開始10日間で3万着以上を売り上げ中国でも大きな話題になりました。現在、ユニクロの売上は1日約40万元(約600万円)に達しています。淘宝商城での決済は支付宝(アリペイ)と呼ばれる電子決済が中心です。阿里巴巴が運営している電子決済システムで、代金をいったん支付宝が預かり、購入者が商品を受け取ったことを確認した後に販売者に支払われるというエスクロー機能を併せ持っています。淘宝網や淘宝商城以外でも、様々なECサイトでの決済手段として中国を中心に広く利用されています。

淘宝商城に出店するには、前述のように中国で法人登記されていることが必須条件になります。また、販売する商品について正式な販売代理権を持っているか、メーカーであれば商品の商標登録をしているかなどを証明する書類が必要です。月額の固定費用はありませんが、売上の約8%が手数料として徴収されます。年間最低販売額として160万元(約2400万円)が設定され、実際の売上がこの額に達しなかった場合でも、年間最低販売額に対して所定の手数料が請求されます。手数料の担保として、出店時に5000~15000元の保証金を納める規則になっています。

第3回・淘宝商城(タオバオモール)
サイト名 淘宝商城(タオバオモール)
URL http://mall.taobao.com/
事業内容 中国市場向けの本格的B2Cショッピングモール(中国語サイトのみ)
沿革 オークションサイト淘宝網を運営する阿里巴巴が2008年4月に開設。現在は世界中から約1000社が出店。
特徴 中国市場におけるB2BやC2Cで圧倒的シェアを誇る阿里巴巴が満を持して開設したショッピングモール。販売手数料など出店条件は厳しいが、淘宝網の集客力を利用できるため出店直後から大きな売上が期待できる。

中国での登記や年間の最低手数料などハードルが高く、現時点で日本から淘宝商城に出店しているのは大手企業に限られています。しかし、2009年6月時点で淘宝商城には世界中からすでに約1000社が出店していて、今後も増えることは確実です。C2Cサイトで商品を購入することが多かった中国のインターネット利用者の間に、本格的なB2Cショッピングモールが根付いてくれば大きなビジネスに発展する可能性があります。短期間で圧倒的な枚数を販売したユニクロの成功は、その可能性を示してくれたといえるでしょう。

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 ◎初出:2009年7月21日
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2009/07/13

第2回・Fotomoto

Fotomotoは、オンラインでの注文受付、写真のプリント、注文者への郵送、代金決済など写真のネット販売に関する一切の作業を代行してくれる、プロの写真家やフォトエージェンシーのためのサービスを提供するサイトです。利用にあたって初期費用や月額基本料は一切必要なく、自分の運営するWebサイトやブログに数行のJavaScriptのコードを埋め込むだけで簡単に機能を組み込めることから、今年4月のサービス開始後2週間で150人の写真家が利用登録しました。今では50ヶ国以上の写真家に利用されています。

Fotomotoのビジネスモデルは、非常にシンプルです。Fotomotoの機能を組み込むことで、写真掲載ページに「Buy Print(写真を購入)」ボタンが自動的に表示されるようになります。写真の購入希望者がボタンをクリックすると、別ウィンドウで写真のサイズや枚数、送付先の住所などを入力するフォームが開きます。代金の支払いには、eBayの子会社が提供するオンライン決済サービスPayPalや主要なクレジットカードが利用できます。写真のプリントから梱包、郵送まですべてFotomotoが代行してくれますから、写真家は実質的に何もする必要はありません。

サイズ別のプリント代と郵送料はあらかじめ決まっていますので、写真家はこれらの「実費」を加算した販売価格を自由に設定します。サービス開始当初は、販売価格として設定できる通貨はアメリカドルのみでしたが、6月からはユーロや日本円など主要通貨でも設定できるようになりました。売上代金から、実費分と売上の15%の手数料を差し引いた額が毎月、写真家に支払われます。ただし、当月の支払額が200ドル未満の場合は、200ドルを超えるまで翌月に持ち越されます。

プロの写真家を意識した高度な管理機能が人気につながっています。コントロールパネルからサイズごとに販売価格を細かく設定できるほか、限定数販売のためのエディション管理ができるようになっています。近い将来、限定プリントに写真家のサインを入れる機能も加わる予定です。利用者の意見を取り入れて、サービス開始直後からバージョンアップしている点も評価できます。たとえば、サービス開始時は複数の写真を同時に注文することはできませんでしたが、6月にショッピングカートが追加され、1回の手続きで複数の写真を注文できるようになっています。

第2回・Fotomoto
サイト名 Fotomoto
URL http://www.fotomoto.com/
事業内容 プロの写真家やフォトエージェンシーのための写真オンライン販売代行サービス
沿革 2008年10月にカリフォルニア州で設立。2009年4月にFotomotoサービスを開始。現在、50ヶ国以上の写真家に利用されている。
特徴 初期費用や月額基本料なしで、写真のネット販売に関する一切の作業を代行する。販売代金から販売価格の15%とプリントや郵送料の実費が差し引かれて、毎月写真家に支払われる。

Fotomotoが対象にしている写真のオンライン販売は、注文があれば預かったデジタルデータからプリントして発送すればいいので商品の在庫を持つ必要がありません。このビジネスモデルは、ページ数のあまり多くない書籍やレポート、オリジナルの楽曲が入ったCDなど、類似の商品には応用が利くかもしれません。オリジナルの絵本や小説を注文に応じて印刷して発送するビジネスは日本でも以前から存在していましたが、購入者からの代金回収にコストがかかることもあって普及しませんでした。Fotomotoのような仕組みを使って、少額の代金の回収や注文処理の代行を低コストで行えば、ネット販売できるコンテンツの幅も広がってくるのではないでしょうか。

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 ◎初出:2009年7月13日
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2009/07/06

第1回・Swoopo

今回より「最新Webビジネス-海外編」の連載を開始いたします。海外で注目されているWebビジネスを毎回1つ取り上げ、そのビジネスモデルやマーケティング手法の特徴をわかりやすく紹介していきたいと思います。
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Swoopoは、オークションの楽しさを取り入れたショッピングサイトです。誰もが知っている人気商品を購入する権利の入札を競い、落札した人が最終価格で購入できます。一見するとオークションサイトのようにも見えますが、従来のオークションと決定的に異なる点は、入札ごとに入札者が75セント(約75円)の手数料を支払うことです。入札手数料は戻ってきませんが、その代わり人気商品を小売価格の数分の1で購入できるチャンスもあり、Swoopoでは自らを「エンタテイメント・ショッピング」と表現しています。

Swoopoに出品されるのは、たとえばiPod TouchやニンテンドーDSなど、誰もが小売価格を知っているような有名な商品の新品のみです。数百ドルする商品であっても、15セントから入札が開始され、入札ごとに価格が15セント上昇します。入札者が「払ってもいい上限価格」を提示できない点も、従来のオークションとは全く異なります。現在の価格+15セントで買う権利を75セントの手数料を払って入札する形になります。入札すると、終了時間が15秒に延長されます。その15秒間に他の誰かが入札しなければ、最終価格で商品を購入する権利を獲得できるという仕組みです。ただし、入札手数料は結果いかんにかかわらず戻ってきません。15秒以内に他の誰かが入札してしまうと、支払った75セントは無駄になってしまいます。

Swoopoが公表している数字によれば、毎月1万アイテム以上の商品が出品されていて、平均すると希望小売価格より65%も安い価格で落札されているそうです。人気商品を安く販売しても、Swoopoは販売価格とは別に入札手数料の収入があり、それがこのビジネスモデルの大きな収入源になっています。たとえば実際の例として、8GB iPod Touch(希望小売価格229ドル)は187ドル65セントで落札されましたが、その時の入札回数は1251回で、手数料総額は1100ドルを超えました。希望小売価格で販売するよりも、入札手数料の総額の方がはるかに大きいことがわかります。

Swoopoは2005年にドイツで設立された会社です。2007年12月にはイギリス、2008年9月にはアメリカに上陸を果たしました。Swoopoの会員は全世界ですでに200万人を超えています。その一方で、人気商品が安く買えるという射幸心を煽り入札手数料で不当に儲けているという批判の声も上がっています。そこでSwoopoは、通常価格で商品を販売するコーナーを設け、入札手数料として支払った金額を購入に充当できる制度をドイツ語サイトで試験的に開始しました。入札手数料を無駄にしたくないと考えて商品を通常価格で購入する人が増えると予想されますので、Swoopoにとっては一石二鳥の制度といえるでしょう。

第1回・Swoopo
サイト名 Swoopo
URL http://www.swoopo.com/
事業内容 オークションの楽しさを取り入れた「エンタテイメント・ショッピング」サイト
沿革 2005年にドイツで設立。2007年12月にイギリス進出を皮切りに、スペイン、アメリカ、オーストリア、カナダでサイトを運営。
特徴 人気商品を安く購入する権利を75セントの手数料を払って入札。入札すると商品価格が15セント上昇するとともに、終了時間が15秒に延長される。その15秒間に入札する人がいなければ、購入権を落札できる仕組み。

日本でもYahoo!オークションの会員数が700万人を超えるなど、ネットオークションは広く定着した感があります。また、ビッダーズなどではオークションサイトとショッピングサイトの融合が進んでいて、オークションはショッピングの一形態にもなりつつあります。楽天市場では、出店企業の販促手段としてオークションや共同購入の開催が頻繁に行われています。Swoopoのビジネスモデルは、日本でも受け入れられる可能性は十分にあると考えられます。

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 ◎初出:2009年7月6日
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