075-インターネット業界の最新市場予測・2008年度版

2009/03/30

第13回・SaaS市場

SaaS(Software as a Service)とは、ネットワークを介してソフトウェアの機能を提供するサービスのことで、1990年代後半に登場したASP(Application Service Provider)の進化系とされています。インターネットの普及によって、SaaSのようなソフトウェア機能だけでなく、プラットフォーム機能やハードウェアリソースについてもインターネット経由で利用する形態に徐々に移行しつつあります。プラットフォーム機能の利用をPaaS(Platform as a Service)、ハードウェアリソースの利用をIaaS(Infrastructure as a Service)と表現し、SaaSを加えた3つの形態をすべて含めた概念を表す「クラウドコンピューティング」という言葉も定着しつつあります。

SaaSベンダーとしてはSalesforce.comやGoogleなどが有名です。これら大手のベンダーはすでにPaaS分野にも進出しているため、SaaS市場とPaaS市場の境界があいまいになっている感があります。調査会社による市場規模予測では、SaaS市場単独、SaaS市場とPaaS市場の合計、SaaS、PaaS、IaaSの3つを含めたクラウドコンピューティング市場全体について各社から予測が発表されていますが、微妙に定義が異なるためか予測数字に大きな違いが見られます。

富士キメラ総研は、SaaS関連事業者67社を対象にした「2008 ASP・SaaS関連企業総調査」結果において、2008年度の国内SaaS市場規模を1236億円と推定して、2012年度には2194億円に拡大すると予測しています。IT市場調査会社のノークリサーチが2008年12月に発表した「2009年版SaaS市場の実態と中期予測」によると、国内のSaaSとPaaSを合わせた市場規模は2008年に900億円ですが、2012年には9348億円と急成長すると予測しています。2012年の内訳ではSaaS市場が7746億円となっていて、富士キメラ総研の予想(2012年度に2194億円)の3倍以上の数字です。

これに対して、控えめな数字になっているのが2009年3月に発表されたIDCの市場規模予測です。SaaS、PaaS、IaaSを合計した2008年のクラウドコンピューティング市場規模を495億円、2013年には1436億円と予測しています。おそらく前述の2社とは、SaaSやクラウドコンピューティングの定義や集計の方法が異なるものと思われますが、2008年後半から2009年に深刻さを増した金融危機の影響を多めに織り込んでいるのかもしれません。

第13回・SaaS市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本
(SaaSのみ)
1236億円 2012年度に2194億円 富士キメラ総研
(2008年10月)
日本
(SaaS+PaaS)
900億円 2012年に9348億円 ノークリサーチ
(2008年12月)
日本(クラウドコンピューティング) 495億円 2013年に1436億円 IDC Japan
(2009年3月)
世界
(SaaSのみ)
64億ドル
(約6400億円)
2012年に148億ドル
(約1兆4800億円)
Gartner
(2008年10月)
世界(クラウドコンピューティング) 162億ドル
(約1兆6200億円)
2012年に423億ドル
(約4兆2300億円)
IDC
(2008年9月)

世界のSaaS市場規模については、Gartnerが2008年10月に調査結果を発表しています。それによると、2008年の市場規模は64億ドル(約6400億円)で、その後2012年に148億ドル(約1兆4800億円)に拡大することが見込まれています。一方、IDCからはクラウドコンピューティング全体の市場規模予測が発表されました。2008年の市場規模は、IT関連支出全体の約4.2%にあたる162億ドル(約1兆6200億円)と推計されていますが、2012年には全体の8.5%にあたる423億ドル(約4兆2300億円)に成長すると予測されています。今後、IT関連支出のクラウド比率はさらに高くなることは間違いないでしょう。

※「インターネット業界の最新市場予測・2008年度版」は今回が最終回となります。新年度からは新しい企画がスタートいたします。お楽しみに。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年3月30日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/03/23

第12回・国内Webインテグレーション市場

イギリスのNetcraft社が毎月発表しているデータによると、2009年3月1日の時点でインターネット上に約2億2475万サイトの存在が確認されています。そのうち、Webサイトとして活動中のものは7000万サイト前後と推測されています。日本でも数多くのWebサイトが存在していますが、企業がビジネス目的で運用しているものが何サイトあるのかについては不明です。それを知る手がかりになるのが、ドメイン登録数です。日本レジストリサービスによると、登録されているJPドメインの数は2009年3月1日時点で約107万6000件となっていて、1年前に比べて約7.2%増加しています。

Webサイトの増加に伴い、Webサイト構築や運営支援などの市場が拡大しています。市場規模に関しては、「Webサイト構築」の範囲をどこまで含めるかによって大きく変わってきます。矢野経済研究所によると、2006年の対消費者向け(B2C)ECサイト構築市場規模は約3兆5800億円となっています。この数字には、サーバなどのハードウェア、ECサイト用のソフトウェア、各種システムインテグレーション、サポートやアウトソーシングなどが含まれていますが、Webのデザインや制作などは含まれていません。同社では2010年に市場規模が5兆4000億円まで拡大すると予想しています。

この数字と比較するために、国内のIT市場全体の規模を見ておきましょう。IDC Japanが2008年6月に発表した調査結果によると、2008年の国内IT市場全体の市場規模は約12兆7000億円、その後2012年に約13兆5000億円になると予測されています。また、経済産業省の発表した「平成19年度我が国のIT利活用に関する調査研究」では、2007年度のサイト構築支援などの「B2C事業者支援ビジネス」市場規模を2090億円と算出しています。これにはハードや回線などのインフラは含まれません。

国内のWebインテグレーション市場に特化した市場調査としては、ミック経済研究所の「ネット広告&Webインテグレーション市場の現状と展望2008年」があります。それによると、サイト構築、制作、運営までのすべてのソリューション提供を行うWebインテグレーション市場規模は、2008年に796億4000万円(内訳:Webサイト627億6000万円、モバイルサイト168億8000万円)、2011年に1151億円(内訳:Webサイト887億円、モバイルサイト264億円)になると予測されています。なお、この数字は国内Webインテグレーション事業者計50社の売上をもとに市場規模を推計したものです。

第12回・国内Webインテグレーション市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
IT市場全体 12兆7032億円 2012年に13兆4928億円 IDC Japan
(2008年6月)
対消費者向け
ECサイト構築
3兆5800億円
(※2006年)
2010年に5兆4000億円 矢野経済研究所
(2006年11月)
Webインテグレーション 796億4000万円 2011年に1151億円
※いずれもモバイル含む
ミック経済研究所
(2008年9月)
Webサイト売買 23億円 2010年度に85億円 矢野経済研究所
(2009年1月)

Webサイト構築に付随する市場として成長が見込まれているのが、活動中のWebサイトを譲渡するサイト売買市場です。矢野経済研究所が2009年1月に発表した調査結果によると、2008年度のサイト売買件数は約500件、金額にして約23億円になる見込みです。同研究所では、2010年度には1500件、85億円規模に拡大すると予測しています。今後は、すでに完成したWebサイトを買収して、必要に応じてリニューアルや機能の追加を行うケースが増えると思われます。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年3月23日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/03/16

第11回・ブログ市場

2005年以降、日本ではブログ利用者数が急増しています。ビデオリサーチインタラクティブの視聴動向調査によると、2007年1年間にブログを訪問した人は前年比28%増の3527万人となりました。訪問者1人あたりの月間接触回数は約40回、平均視聴ページは約110ページと、ブログを閲覧する行動が広く定着していることがわかります。

総務省情報通信政策研究所が2008年7月に発表した調査結果によると、2008年1月時点でインターネット上で公開されている国内のブログの総数は約1690万サイトで、そのうち月に1回以上記事が更新されているアクティブなブログは約300万サイトとなっています。新しく開設されるブログも毎月40万~50万サイトで推移していて、今後も増加傾向が続くものと思われます。総務省の調査では、「ブロガー」数は調査対象になっていませんが、後述のようにアメリカではブログ閲覧者数の約24%がブロガーであり、中国ではブロガー1人が平均して約2つのブログを運営しているというデータがありますので、その数字から推測すると日本のブロガー数は850万人~900万人程度ではないかと思われます。

矢野経済研究所が2008年8月に公表した「ブログサービス市場の動向に関する調査結果 2008」では、ブログポータルサービスの広告料収入や有料サービス収入を合計したブログサービス市場規模を予測しています。それによると、2008年度の国内ブログサービス市場規模は63億5000万円で、2010年度には91億5000万円に拡大すると見込まれています。同調査結果では、2008年3月末時点でのブログ開設総数は約1985万サイトと推計しています。

アメリカのブログ市場については、eMarketerから2008年5月に詳細なレポートが発表されています。2008年におけるブログ閲覧者は1億470万人、そのうちブログを開設しているブロガー数は約24%にあたる2520万人になっています。ブロガー数は、2012年にはネットユーザ全体の16%に相当する3470万人まで増えると予測されています。ブログ閲覧者数が1億人を超えているアメリカでは、ブログ広告市場も大きくなっています。eMarketerでは、アメリカのブログ広告市場規模は2008年に4億1100万ドル(約370億円)、2012年に7億4600万ドル(約670億円)と予測しています。

第11回・ブログ市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本
ブログサービス
63億5000万円 2010年度に91億5000万円 矢野経済研究所
(2008年8月)
アメリカ
ブロガー数
2520万人 2012年に3470万人(※ネットユーザーの16%) eMarketer
(2008年5月)
アメリカ
ブログ広告
4億1100万ドル
(約370億円)
2012年に7億4600万ドル
(約670億円)
eMarketer
(2008年5月)
中国
ブロガー数
5000万人 2008年11月に前年同月比6.4%増の5000万人突破 中国互聯網協会
(2009年1月)

ブロガー数ですでにアメリカを超えているのが中国です。中国互聯網協会(中国インターネット協会)は、2008年11月末時点の中国のブロガー数は前年同月比6.4%増加して5000万人を突破したと公表しました。ブログ開設総数が約1億サイトに達していることも明らかになりました。ただ、中国では政府がブログ開設にあたっては本人の登録を義務化するなど規制を強めていて、中国のブログ市場の成長率は鈍化するという予想もあります。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年3月16日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/03/09

第10回・SNS市場

2004年2月に日本でmixiとGREEのサービスが開始されて以来、Web2.0の代表的なサービスとしてSNSの利用者は急増しました。矢野経済研究所が2008年9月に発表した「SNS市場の動向に関する調査結果 2008」では、2008年度の日本のSNS市場規模は、前年度比49.8%増の413億8000万円に達すると推計しています。SNSの収入源は、「広告売上」と月額会費やオプションサービス、デジタルアイテム売上などの「その他売上」に大きく分類することができます。2008年度の市場規模413億8000万円の内訳は、広告売上269億2000万円、その他売上144億6000万円となっていて、広告売上が約65%を占めています。なお、同調査結果では、2009年度の市場規模を前年度比31.5%増の544億4000万円と予測しています。

急成長を続ける日本のSNS市場ですが、世界的に見ると日本はSNS利用率においてむしろ遅れているというデータもあります。2009年2月にcomScoreは、2008年12月のヨーロッパおよびアジア諸国のSNS利用率のデータを公表しました。それによると、日本のSNS利用率は50.9%で、中国の45.6%より若干高いものの、シンガポールの74.3%や韓国の68.0%を大きく下回っています。ちなみに、ヨーロッパでの平均利用率は74.6%で、もっとも高いイギリスでは79.8%となっています。

アメリカおよびイギリスのSNS市場規模については、eMarketerが定期的に市場規模予測を公表しています。ただし、eMarketerの予測は、SNSの広告売上のみを集計したもので、月額会費などの「その他売上」は含まれません。アメリカのSNS市場規模は2008年に11億7500万ドル(約1060億円)、2013年には16億4000万ドル(約1480億円)と予測されています。一方、イギリスのSNS市場規模は2008年に2億2500万ドル(約203億円)、2012年には5億3300万ドル(約480億円)に拡大すると見込まれています。

SNS市場においても、モバイルSNSの市場の急成長が予想されています。Juniper Researchでは、世界のモバイルSNS利用者数は、2008年の5400万人から2013年には7億3000万人に急拡大すると予測しています。それに伴い、SNSやブログなどモバイルのUser Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)市場規模は2008年の11億ドル(約990億円)から2013年には73億ドル(約6570億円)になると予測しています。この数字はSNSだけの市場規模ではありませんが、モバイルのUGC全体が大きく伸びることは間違いありません。

第10回・SNS市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本 413億8000万円 2009年度に544億4000万円  矢野経済研究所
(2008年9月)
アメリカ 11億7500万ドル
(約1060億円)
2013年に16億4000万ドル
(約1480億円)
(※広告売上のみ)
eMarketer
(2008年12月)
アメリカ
(B2B)
4000万ドル
(約36億円)
2012年に2億1000万ドル
(約190億円)
(※広告売上のみ)
eMarketer
(2008年8月)
イギリス 2億2500万ドル
(約203億円)
2012年に5億3300万ドル
(約480億円)
(※広告売上のみ)
eMarketer
(2008年6月)

まだ市場規模はそれほど大きくありませんが、今後の成長が期待されているのがB2Bに特化したSNS市場です。2008年8月にeMarketerが発表した予測によると、アメリカのB2B専門のSNS市場規模(広告売上のみ)は、2008年には4000万ドル(約36億円)にすぎませんが、2012年には2億1000万ドル(約190億円)に成長する見込みです。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年3月9日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/03/02

第9回・オンライン決済市場

消費者向け電子商取引市場の拡大に伴い、日本でも急成長しているのがオンライン決済市場です。サイボウズ・メディアアンドテクノロジーが2008年6月に発表した「ネット決済サービス実態調査 2008年度版」によると、2007年度のオンライン決済市場規模は、決済手数料や初期費用・月額利用料金・オプショナルサービス費用など決済サービス提供会社が受け取る収入の合計として前年比12.6%増の約1880億円規模になりました。自動車や不動産など決済サービスが対応していない高額商品を除けば、オンライン決済サービス利用率はすでに40%程度に達していると記載されています。

2008年12月に野村総合研究所が公表した市場規模予測によると、オンライン決済市場はPCとモバイルの合計で2008年度に2220億円に、さらに2013年度には4562億円まで拡大する見込みです。2008年度から2013年度までの年平均成長率は15.5%となり、同時に公表された消費者向け電子商取引市場の年平均成長率(13.5%)よりも高くなっています。オンライン決済市場を牽引するのはモバイルで、2008年度に371億円(市場全体の約17%)が2013年度には21%にあたる965億円に拡大すると予測されています。

世界のオンライン決済市場については、いくつかの調査会社が予測を公表しています。日本の市場規模が「サービス提供会社が受け取る収入額」なのに対して、海外では「オンライン決済による取引額」が市場規模として集計されるのが一般的です。アメリカの調査会社Javelin Strategy & Researchが2008年11月に発表した予測によると、2008年の世界のオンライン決済額は1480億ドル(約13兆3200億円)となり、2013年には2680億ドル(約24兆1200億円)まで拡大するとしています。

中国では、アリババの電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を中心とした独自の市場を形成しています。中国の調査会社・易観国際が発表した「2008年第2四半期電子決算市場四半期観測」によると、2008年の第2四半期だけで中国のオンライン決済額は505億1200万元(約6570億円)に達しましたが、そのうち支付宝が実に58.3%に当たる294億3000万元(約3830億円)を占めています。艾端諮詢集団では、2008年の中国のオンライン決済額は2100億元(約2兆7300億円)に達すると予測しています。

第9回・オンライン決済市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本 2220億円 2013年に4562億円
(※手数料などの収入額)
野村総合研究所
(2008年12月)
中国 2100億元
(約2兆7300億円)
(※オンライン決済額)支付宝と騰訊財付通、中国銀聯電子支付で市場の4分の3を占める 艾端諮詢集団
(2008年9月)
世界 1480億ドル
(約13兆3200億円)
2013年に2680億ドル
(約24兆1200億円)
(※オンライン決済額)
Javelin Strategy & Research
(2008年11月)

オンライン決済でもっともオーソドックスな手段はクレジットカード決済ですが、アメリカeBay傘下のPayPalや中国の支付宝など、クレジットカード番号を入力しなくていい決済方法が広がりつつあります。PayPalは全世界で約2億人、支付宝は中国を中心に約1億人のユーザを擁しています。アメリカでは、PayPalなどを含めた新しい決済手段がすでにオンライン決済の約2割を占めていて、近いうちに1/3までシェアを拡大すると予測されています。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年3月2日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/02/23

第8回・オンラインゲーム市場

まずPC向けのオンラインゲーム市場については、日本オンラインゲーム協会(JOGA)が毎年詳細な市場調査を行い、その結果を公表しています。2008年7月に行われた「オンラインゲーム市場統計レポート2008発表会」で、2007年のPC向けオンラインゲーム市場規模が1121億6200万円になったと発表されました。内訳は、運営サービスが831億4800万円、パッケージ売上が290億1400万円となっています。

2008年以降のPC向けオンラインゲーム市場規模予測については、2008年12月に野村総合研究所が発表しています。それによると、2008年に1150億円、その後2013年に2030億円になると予測されています。この数字には、ダウンロードしてPC内で単独でプレイするタイプのものや、「セカンドライフ」に代表されるバーチャルワールドは含まれていません。

オンラインゲームの市場は、アジア3国(日本、韓国、中国)でのシェアが高いのが特徴です。2008年のPC向け市場規模予測を見ると、中国が191億元(約2480億円)、韓国が2兆7556億ウォン(約1650億円)となっています。韓国の人口を考慮すると、韓国では日本よりもオンラインゲームがかなり普及していることがわかります。2009年以降は中国の成長率が高くなり、中国の市場規模は2011年に401億元(約5210億円)に急成長すると見込まれています。

一方、日本が最先端を行っているのが携帯電話向けのオンラインゲーム市場です。2008年2月に矢野経済研究所が公表した国内オンラインゲーム市場に関する調査結果によると、2007年度のモバイルゲーム市場規模は957億4000万円になっています。同研究所では、2008年度には1149億円、2011年度には1731億円に拡大すると予測しています。なお、キャリアの公式サイトのみを集計対象にしているため、勝手サイトでの売り上げは含まれません。一方でダウンロード課金など非オンラインゲームも一部含まれますので、その点は注意が必要です。

第8回・オンラインゲーム市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本(PC) 1150億円 2013年に2030億円(バーチャルワールドは除く) 野村総合研究所
(2008年12月)
中国(PC) 191億元
(約2480億円)
2011年に401億元(約5210億円) 易観国際
(2008年4月)
韓国(PC) 2兆7556億ウォン
(約1650億円)
2010年に3兆9360億ウォン(約2360億円) 「2008 大韓民国ゲーム白書」(2008年8月)
日本(携帯) 1149億円 2011年度に1731億円 矢野経済研究所
(2008年2月)
中国(携帯) 13億6500万元
(約177億円)
2011年に42億800万元(約547億円) 易観国際
(2009年1月)
世界(携帯) 54億ドル
(約4860億円)
2013年に100億ドル超(約9000億円) Juniper Research
(2008年11月)

世界のモバイルゲーム市場規模については、Juniper Researchが2008年11月に2013年までの予測を発表しています。それによると、2008年の54億ドル(約4860億円)から2013年には100億ドル超(9000億円超)に成長すると予測されています。モバイルゲームの分野でも中国の成長率が高くなる見込みです。2009年1月に中国のIT関連調査会社・易観国際は、中国の2008年モバイルゲーム市場規模が前年比62.7%増の13億6500万元(約177億円)に達したと発表しました。2011年には42億800万元(約547億円)まで成長すると予測していて、その成長率は驚異的です。欧米市場の成長率は鈍化していますが、iPhoneやスマートフォン向けの市場が大きく拡大する可能性もあり、モバイルゲーム市場ではここ数年で大きな変化が起きる可能性があります。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年2月23日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/02/16

第7回・電子書籍市場

2008年7月にインターネットメディア総合研究所が公表した「電子書籍ビジネス調査報告書2008」によると、2008年3月期の国内電子書籍市場規模は前年同期比173億円増の355億円になりました。内訳は、携帯電話向けが283億円、PC向けが72億円と圧倒的に携帯電話向けが大きくなっています。ちなみに、2008年7月に総務省が公表したモバイルコンテンツ市場の調査結果によると、2007年の携帯電話向け電子書籍市場規模は前年比220%増の221億円となっています。

シード・プランニングが2007年6月に公表した「コミック配信ビジネスと対応端末市場動向」には、2012年までの電子書籍市場予測が掲載されています。それによると、2008年の市場規模は530億円(携帯向け385億円、PC向け145億円)、その後2012年には930億円(携帯向け600億円、PC向け330億円)に拡大すると予測されています。930億円のコンテンツ内訳は74%にあたる710億円が電子コミックとなっていて、国内の電子書籍市場を牽引しているのは、携帯電話向けのコミックであることがわかります。

日本における2007年度の一般書籍の売上高は約2兆円といわれていて、書籍の電子化率は2007年度で2%以下にすぎませんが、今後電子書籍のシェアが急速に拡大することが予想されます。電子ペーパーコンソーシアムでは、年度の明記はありませんが将来的に期待できる電子書籍のコンテンツ市場規模として、「展開期に2500億円」という予測をしています。

アメリカの電子書籍市場については、電子書籍出版の業界団体であるThe International Digital Publishing Forum (IDPF)が四半期ごとの売上高を公表しています。すでに2008年10~12月期の数字も公表されていて、2008年の累計で5240万ドル(約47億円)となっています。ただし、この数字はIDPFに加盟している電子書籍出版社10数社の出荷価格を集計したもので、実際の小売販売額はほぼ倍になると思われます。中国でも電子書籍市場が形成されつつあります。中国図書商報社と電子書籍ポータルサイトの「du8.com」がまとめた「2007中国電子図書発展趨勢報告」によると、2007年の中国の電子書籍市場規模は1.6億元(約21億円)で、2008年には約2億元(約26億円)に拡大する見込みです。

第7回・電子書籍市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本(携帯) 385億円 2012年に630億円 シード・プランニング
(2007年6月)
日本(PC) 145億円 2012年に300億円 シード・プランニング
(2007年6月)
アメリカ 5240万ドル
(約47億円)
IDPF加盟10数社の「出荷価格」ベース The International Digital Publishing Forum (IDPF)
中国 約2億元
(約26億円)
「2007中国電子図書発展趨勢報告」より 中国図書商報社、du8.com(2008年4月)

今後の世界全体の電子書籍市場規模予測については、PricewaterhouseCoopersが2012年までに96億ドル(約8640億円)に達すると予測しています。電子書籍市場の成長は、電子ブックリーダーとも呼ばれる電子書籍端末の普及が鍵を握っているとみられています。アメリカのAmazon.comが発売している電子書籍端末「Kindle」は、アナリストの予測で2008年に38万台が出荷されました。今年に入って新型モデル「Kindle 2」が発売されていて、電子書籍市場拡大の追い風になるのではと期待されています。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年2月16日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/02/09

第6回・音楽配信市場

有料の音楽配信については、社団法人日本レコード協会が、四半期ごとに協会加盟全社の集計による有料音楽配信の売上実績を公表しています。2008年第3四半期(7~9月)の確定値は、PC向けの「インターネットダウンロード」が22億9700万円、携帯電話向けの「モバイル」が195億2200万円、月額定額サービスの「サブスクリプション」などその他が4億600万円となり、合計で前年同期比11%増の222億2500万円となりました。この数字と、すでに公表されている上半期の実績(449億6500万円)から2008年の市場規模は880~900億円程度と推測されます。

市場規模の大きい「モバイル」については、日本レコード協会では、「着うた」に代表される「Ringtunes」、「メロディーコール」や「EZ待ちうた」などに代表される「Ringback tunes」、「着うたフル」に代表される「シングル・トラック」の3つに分類しています。音楽系のデジタルコンテンツとしては、これら以外に「着メロ」がありますが、一般的に着信メロディは有料音楽配信には含まれません。ちなみに、総務省が2008年7月に公表したモバイルコンテンツ市場調査結果によると、2007年の「着信メロディ系」市場規模は前年比34%減の559億円となっています。

野村総合研究所が2008年12月に公表した調査結果によると、2008年度の音楽配信市場規模は611億円、2013年度には998億円になると予測しています。この数字は、PC向けとモバイル向けの合計ですが、フル楽曲のみが対象になっています。日本レコード協会の分類では、モバイルのうち対象になっているのは「シングル・トラック」のみということになります。

海外でも音楽配信市場は拡大を続けています。国際レコード産業連盟(IFPI)が2009年1月に公表した「Digital Music Report 2009」によると、2008年の全世界の音楽配信市場規模は前年比25%増の約37億ドル(約3330億円)と推測され、音楽市場全体に占める割合も前年の15%から20%に上昇しています。2008年上期のシェアでは、アメリカが39%を占め最大で、以下は日本19%、イギリス16%、フランス12%、ドイツ9%の順になっています。日本が2008年の市場規模37億ドルの19%を占めるとすれば、日本の市場規模は約7億ドル(約630億円)となります。

第6回・音楽配信市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本 880~900億円 2008年第3四半期売上実績(約222億円)より推測 日本レコード協会
日本 611億円 2013年度に998億円。PCとモバイルの合計。フル楽曲のみ 野村総合研究所
(2008年12月)
世界 37億ドル
(約3330億円)
音楽市場全体に占める比率は2008年に20%に 国際レコード産業連盟(IFPI)(2009年1月)
世界 N.A 2012年に48億ドル(約4320億円)。5年間で年平均23%成長 Forrester Research
(2008年2月)

Forrester Researchは、世界の音楽配信市場は今後5年間で年平均23%成長して、2012年には48億ドル(約4320億円)規模に達すると予測しています。その予測の中で、音楽配信市場の成長の鍵を握っているのは、音楽業界よりもむしろMP3プレーヤーなど関連のハード業界・ソフトウェア業界だと指摘しています。一方、前述の「Digital Music Report 2009」では、2008年に400億以上の音楽ファイルが違法にダウンロードされている問題を大きく取り上げています。音楽配信市場が健全に成長を続けていくためには、違法ダウンロード問題への取り組みが大きな課題となるでしょう。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年2月9日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/02/02

第5回・アフィリエイト市場

電子商取引の市場規模が拡大するにつれて、販促の手段として成果報酬型の意味合いが強いアフィリエイト・プログラムを採用するサイトが増えています。経済産業省が2008年8月に公表した「(電子商取引に関する市場調査)」結果によると、2007年の対消費者電子商取引の市場規模は5兆3440億円となりましたが、このうちアフィリエイト・プログラムを介して販売された商品・サービスの流通総額は5510億円となっています。つまり、対消費者電子商取引の約1割がアフィリエイト経由ということになります。

アフィリエイト市場規模としては、企業が支払う手数料の総額を指すのが一般的です。矢野経済研究所が2008年1月に公表したアフィリエイトサービス市場動向に関する調査結果によると、2007年の市場規模は前年比35.0%増の697億9000万円と推測されています。その内訳は、PC向けが468億9000万円(前年比27.8%増)、携帯電話向けが229億円(前年比52.5%増)で、携帯電話向けの伸びが大きいことがわかります。2008年の市場規模予測としては、前年比29.1%増の901億円(PC向け585億円、携帯電話向け316億円)を見込んでいます。

一方、アフィリエイトはネット広告の一形態と分類されることも多く、シード・プランニングが2009年1月に公表したインターネット広告市場動向調査の中では、「PCアフィリエイト広告」と「モバイルアフィリエイト広告」の2つの項目が含まれています。2009年の市場規模は、アフィリエイト全体で680億円(PCアフィリエイト広告430億円、モバイルアフィリエイト広告250億円)と予測されています。(2008年の市場規模については、一般公開されていません。)

ネット通販が盛んなアメリカでは、アフィリエイト市場規模も大きくなっています。JupiterResearch(現Forrester Research)が2008年6月に発売したアフィリエイト市場に関するレポートでは、2008年のアメリカのアフィリエイト市場規模は21億ドル(約1890億円)で、2012年には33億ドル(約2970億円)に拡大すると予測しています。

第5回・アフィリエイト市場
2008年予測 それ以降の予測 ソース(発表時期)
日本
PC向けサービス
585億円 2010年度に828億4000万円 矢野経済研究所
(2008年1月)
日本
携帯向けサービス
316億円 2010年度に497億円 矢野経済研究所
(2008年1月)
日本
PC向け広告
430億円 ※2009年のPCアフィリエイト広告の予測 シード・プランニング
(2009年1月)
日本
携帯向け広告
250億円 ※2009年の携帯アフィリエイト広告の予測 シード・プランニング
(2009年1月)
アメリカ 21億ドル
(約1890億円)
2012年に33億ドル
(約2970億円)
JupiterResearch
(2008年6月)

前述の矢野経済研究所の調査結果では、日本のアフィリエイト市場は今後も年25%程度の成長を続け、2010年度には1325億円の市場規模に達すると予測しています。アフィリエイト市場は、電子商取引市場の拡大に伴って順調に成長することが期待されています。また、アフィリエイト市場拡大の背景の一つとなっているのが、広告を設置できるWebページの増加です。同調査でも、ブログなど何らかのサイトを開設しているインターネットユーザは38.7%に達し、サイトを開設している人の約半数がアフィリエイトなど何らかの広告を掲載しているという結果が出ています。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年2月2日
-----------------------------------------------------------------

|
|

2009/01/26

第4回・モバイルコンテンツ市場

日本では携帯電話が独自の進化を遂げたこともあり、モバイル向けのコンテンツ市場が大きく成長しています。総務省が2008年7月に発表したモバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果によると、日本の2007年モバイルコンテンツ市場規模は、前年比16%増の4233億円になっています。内訳を見ると、着信メロディ(着メロ)系が大きく減少する一方で、着うた系、電子書籍、モバイルゲームの金額が大きく伸びています。総務省では、2008年の予測を公表していませんが、仮に2007年と同じ程度の伸び率(16%)と仮定した場合、2008年の市場規模は4900億円前後になると推測できます。

デジタルコンテンツ協会は毎年国内のデジタルコンテンツ市場調査を実施していて、デジタルコンテンツの分野別割合とともに、流通メディア別割合を発表しています。2007年のデジタルコンテンツ市場全体は2兆6947億円で、うち携帯電話流通が19.5%となっていますので、モバイルコンテンツの市場規模は5255億円という計算になります。ちなみに、同協会では2008年にはデジタルコンテンツ市場全体が2兆8870億円、うち携帯電話流通が21.6%になると予測していますので、2008年モバイルコンテンツ市場規模は6236億円ということになります。

一方、野村総合研究所が2008年12月に公表した予測では、かなり控え目な数字になっています。2008年のモバイルコンテンツ市場規模は3655億円で、その後2013年に4072億円になると予測されています。野村総合研究所では、モバイルコンテンツ市場を「携帯電話を使用して有料コンテンツを配信するサービスの売上」と定義していて、着メロ、着うたなどの「エンターテインメント系市場」とニュースや天気予報などの「情報サービス系市場」に大きく分類できると説明していますが、総務省やデジタルコンテンツ協会の定義と一部異なる可能性があります。

世界のモバイルコンテンツ市場も順調に拡大する見込みです。2008年11月にイギリスのJuniper Researchが発表した世界のデジタルコンテンツ市場予測によると、2008年の市場規模は230億ドル(約2兆700億円)となっています。さらに、モバイルコンテンツビジネスの基盤を「価値の共有」へ変革することができれば、市場規模は2013年には520億ドル(約4兆6800億円)になると予測しています。

第4回・モバイルコンテンツ市場
2008年予測 補足事項 ソース(発表時期)
日本 6236億円 2008年のデジタルコンテンツ市場規模予測2兆8870億円のうち、携帯電話流通割合21.6%から計算 デジタルコンテンツ協会
(2008年9月)
日本 3655億円 2013年に4072億円(※デジタルコンテンツ協会と定義が異なる可能性も) 野村総合研究所
(2008年12月)
世界 230億ドル
(約2兆700億円)
ビジネスの基盤を「価値の共有」にできるという前提で2013年に520億ドル(約4兆6800億円) Juniper Research
(2008年11月)

現在、日本のデジタルコンテンツ市場は欧州全体の規模には及ばないものの、アメリカ市場よりも大きくなっています。日本では2007年末でモバイル端末からインターネットを利用する人が82.7%と圧倒的多数を占めていることや、アメリカでは携帯電話の規格が1Gから3Gまで混在してことが理由としてあげられます。しかし、iPhone 3GやAndroidケータイの登場によって、モバイルコンテンツ市場は今後数年で大きく変貌する可能性があります。iPhone 3Gは2008年7月の発売からわずか3ヶ月間に全世界で690万台が出荷され、初代のiPhoneと合わせて2008年9月時点ですでに1200万台が販売されました。iPhone向けのアプリ開発を手がけるGclueでは、独自調査の結果から2008年12月の時点でiPhone向けコンテンツ市場はすでに300億円以上、3年以内に2000億円に達すると予測しています。従来の携帯電話向けとは別に、新たに大きな可能性を秘めた市場が育ちつつあります。

-----------------------------------------------------------------
 ◎初出:2009年1月26日
-----------------------------------------------------------------

|
|