25-2005年連載

2007/06/30

2005年 連載<目次>

■「Webアンケートのやり方」(2005年2月7日連載開始)

第1回・Webアンケートの企画
第2回・アンケートページとプログラム
第3回・アンケートの告知とデータ集計
第4回・アンケート集計結果の発表

■「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(2005年3月7日連載開始)

第1回・マーケティングサイトに必要なテクノロジー
第2回・汎用CGIの活用でかなりのことができる
第3回・CGIを使った機能例
第4回・クッキーの仕組みと使い方
第5回・クッキーを活用した行動履歴の取得
第6回・パスワード・コントロール
第7回・CGIを使った占いやゲーム
第8回・ECに適したWebサイトの条件
第9回・Webテクノロジーはどこまで実用化されているか
第10回・パーソナライズドWeb
第11回・オートレスポンダの活用
第12回・ファイルのアクセス権限
第13回・ルート権限とパスワード管理
第14回・ネットワークを不正アクセスから守る
第15回・クッキーの仕組みと使い方
第16回・クッキーを活用した行動履歴管理
第17回・ECに適したWebサイトの条件
第18回・情報処理型から情報活用型へ
第19回・情報戦略が効果を発揮できる前提条件
第20回・長期的な視野で情報戦略を考える

■「「Web マーケティングの基礎知識」(2005年8月1日連載開始)

第1回・バナー広告
第2回・メールマガジン広告
第3回・アフィリエイト・プログラム
第4回・アフィリエイト・プログラム運営の注意点
第5回・プレゼント企画
第6回・ヴァイラル・マーケティング
第7回・CRMとワン・トゥ・ワン・マーケティング
第8回・顧客情報の種類
第9回・コラボラティブ・フィルタリング
第10回・パーソナライズド電子メール
第11回・データマイニング
第12回・データの洗浄
第13回・データマイニングの分析結果を活かすには
第14回・分析の落とし穴
第15回・Webマーケティングの優位性
第16回・対消費者販売と企業間取引
第17回・中堅・中小企業にとっての選択
第18回・Webマーケティングを導入する際の注意点

■「「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」(2005年12月5日連載開始)

第1回・高額商品で購入層がある程度限られているケース
第2回・会場や店舗への誘導が必要なケース
第3回・サンプルの配布が効率的なケース
第4回・買い替え需要が期待できるケース
第5回・店頭で購入したり相談したりしにくいケース
第6回・スペースの予約を受け付けることが可能なケース
第7回・事業所や企業をターゲットにするケース

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「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」 (7)

第7回・事業所や企業をターゲットにするケース

これまでは、消費者に直接商品やサービスを販売する例を中心に取り上げてきた。ところが、実際の商売では、お客さまが個人ではなく、会社であったり、個人商店であったりするケースも多い。対事業所向けの商売は、B-B(Business to Business)とか、企業間取引などと呼ばれている。

インターネット利用者のうち、会社員の比率は高いが、個人店主や商工自営業者となると、その数はガタッと少なくなってしまう。大手企業では、利用率は9割を越すが、それはあくまでも会社単位のこと。企業の中に数名存在する「購買担当者」に到達するには、そう簡単ではない。事業所や企業をターゲットにする場合、決裁権を持つ担当者が集まるコミュニティを作ることが鍵になる。

実は、個人商店や自営業者をターゲットにしたプロモーションは難しい。すでに触れたように、利用率が低いことの加えて、彼らは仕事で忙しく、なかなかアンケートにも答えてもらえないという事情があるからだ。そこで、B-Bのビジネスを考える場合、本人をピンポイントで狙うより、誰かより紹介してもらう方法を考えた方が早いかもしれない。

紹介手数料を強調しすぎると、マルチ商法のような胡散臭さがつきまとう恐れがあるものの、紹介者に成功報酬ベースでキックバックする方法は有効である。あまり、販売代理店という色を出さず、個人的に紹介してください、という軽いノリで個人のネットワークをうまく使わせてもらうことを考えよう。

すでに触れたように、大手企業のインターネット導入率は約9割に達しているが、個人商店や商工自営業者の利用率となると極端に低くなる。そこで、インターネットで個人商店や自営業者を狙うとなると、長期的な戦略が必要になる。やはり地道なアンケートとメールによる継続的なプロモーションは必要だろう。商品やサービスをできるだけ多くの人に知ってもらうこと、ブランドを確立することが取引先を増やす上で、遠回りのようで近道かもしれない。

最近では、日本でも徐々にB-Bの取引を仲介するコミュニティサイトが誕生している。これらのサイトは基本的に小規模企業が受発注を行う場なので、バナー広告を出すには向いていると言える。期間限定で効果をテストしてみる価値はある。企業の担当者の割合が高いと思われる、有料のビジネス系メールマガジンなどに広告を出すことも検討したい。

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 ◎初出:2006年1月23日
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「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」 (6)

第6回・スペースの予約を受け付けることが可能なケース

店頭で販売するのは「モノ」かもしれないが、利用する人は、そのお店の雰囲気などを含めた「スペース」を買っているという商売もある。高級レストランもその要素があるだろう。支払いは、食べた料理の金額で計算されるが、利用者は料理以上に、食事の間に体験できたゴージャスな雰囲気に対して価値を認めることもある。

このように、スペースを貸して商売している業態は意外に多いものだ。スペースならば、予約を受け付けるという手が取れる。インターネットでは、すでに一部のホテルが予約受付けサービスを行っている。空いている部屋を指定したり、その部屋の窓から見える景色を仮想体験できるなど、高度なテクニックを駆使したホームページも登場している。

レストランで食事をするのは、もちろんおいしいものを食べたいという理由もあるが、中級以上のレストランの場合は、「記念日」に出かけるという人も多い。家族の誕生日や、夫婦の結婚記念日などは、ちょっとしゃれたレストランで外食を、というわけだ。特に、事前に予約を入れてまでレストランで食事をしたいという人には、必ず何らかの理由があるものだ。

記念日告知サービスは「リマインダ」とも呼ばれており、定期的にメールを送るための定番サービスである。その仕組み自体は簡単なので、少しプログラムを書ける人間がいれば、メールサーバと組み合わせて自社専用のシステムを構築することもできる。これらのサービスは、ギフト専門店のみならず、バーチャルモールなどでも無料で提供されている。まずは、利用者としてこれらのサービスを使ってみて、どのようなフォローメールが送られてくるのかを勉強するといいだろう。

レストランが予約をインターネットで受け付ける絶好のきっかけは、クリスマスやバレンタインデーなどの全国共通イベントの日だろう。その日だけのデコレーションを特別にデザインするなど、特別な気分を味わえる演出ができれば、インターネット上のニュースになる可能性もある。

他の業界ではよくあるが、たとえばクリスマスの特別な夜に特等席を借り切る権利を1円からオークションにかけるという手もある。クリスマスのデートの模様をホームページで掲載すると、落札したカップルにとってはいい思い出になるし、格好のお店の宣伝にもなるだろう。その時に入札してくれた人にフォローする。だたし、ここでも「オプト・イン」を基本にしなければならない。単に入札してくれただけの人に、許可もないのに、勝手に営業のメールを送りつけるのは慎まなければならない。

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 ◎初出:2006年1月16日
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「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」 (5)

第5回・店頭で購入したり相談したりしにくいケース

お客さまからのアプローチをひたすら待たなければならない業態もある。世の中には、家族とはいえ、なかなか周囲の人に相談できない悩みもある。もちろん、それらの人が相談を受けられる場所は存在するのだが、周りの目を気にして相談に足を運べない気の弱い人も少なくない。

これらの業界では、とにかくできるだけ多くの人に知ってもらうために、マス媒体での広告が販促の中心になる。マス媒体なので、広告の効果測定がやりにくいものの、広告を減らせば売上も下がってしまうので、広告を出し続けることになる。一般的に、この業界の利益率は高いので、「相談者」をインターネットで効率的に集めることができれば、その効果は大きい。相談者には、インターネットの匿名性が安心感を与えるので、インターネットを使った集客は理にかなっていると言えるだろう。

整形美容に関心があるのは、圧倒的に若い女性である。しかしながら、面談で悩みを打ち明けるには抵抗がある人が多い。そのような、悩める女性の警戒心を解き、本音レベルでの相談を受けるようにするにはどうすればいいだろうか。

整形美容は、基本的には保険が効かず、自己負担金額は高額になるというイメージが強い。また、極秘に相談したいという希望から、信頼できるクリニックかどうかが関心の的になる。女性側からすれば、一生を左右しかねないほどの重大事であると思っているから、相談をする相手の選別にも自ずと真剣になる。もちろん、すぐにでも相談に乗ってもらいたいという深刻な人をターゲットにすることも考えられるが、マーケットのボリューム的には、「美しくなることに関心はあるけど、整形となるとどこにどう相談していいかわからないし…」という普通の女性にアプローチする手が考えられる。

若い女性をターゲットにしたアプローチとして、きっかけ作りに効果的なのが「占い」である。占いの内容は深刻なことは避けたほうがいいだろう。むしろ、やや謎めいた文章で構成して、どのような意味にでもとれる内容の方が適しているかもしれない。若い女性は、潜在的にみんな美しくなりたいと思っているので、さりげなく美しくなるための秘訣ということで、肌の手入れや腕を細くする運動などのレポートを、希望者にオートレスポンダで請求してもらう。あまり営業色が出ないようにするのがコツである。

また、無料相談券を同様にオートレスポンダで配布し、具体的な相談を無料で受ける。クリニックの近くに在住している人には、無料診断の案内を定期的に配信するなど、相談したいという気持ちを盛り上げるようにフォローする。

メールで相談があれば、それに対してはできるだけ長い文面で返事をするといい。一から担当者が文面を考えて書くのは大変だから、あらかじめ返事に使える文章をパーツで豊富に用意しておき、いくつかを組み合わせて使うと省力化できる。ただし、肝心の部分は心をこめて返事を書くことが重要である。さらに相談したいというそぶりの人には来店を勧める。一度、足を運んでくれた人は、高い確率でお客さまになってもらえるだろう。

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 ◎初出:2006年1月10日
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「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」 (4)

第4回・買い替え需要が期待できるケース

小売り業者は、基本的には商品をメーカーや問屋から仕入れる。しかしながら、お客さまから仕入れる業態も数多く存在する。その代表例が、中古品業界である。中古品商売のうまみは、お客さまから安く仕入れられることもあるが、それ以上に、買い取りをしたお客さまに、別の商品を販売できるケースが多いという点である。

例えば、中古車ディーラーに車を売りに来る人の大半は、売却した代金で新しい車を買いたいという人である。一言で言ってしまえば、「買い替え」であるが、ここでミソなのは、「買いたい」という人を新たに見つけるより、「売りたい」という人を探した方が効率がいい、ということである現に、骨董品や古銭を扱う業者は、ちゃんと小売りの店舗を構えているのに、「高価買入れ」という広告だけを継続的に出しているところが多い。一度、買い取った人はいいお客さんになる。一方、一見の「買いたい」お客さまを広告で捕まえようとするのは、効率が悪い、ということなのだろう。

これらの商品は、一度固定客になると、何度も売買が行われる可能性が高い。過去の売買履歴を活かしたワン・トゥ・ワン・マーケティングがやりやすい業界でもある。

中古ゲームソフト販売店にとって、お客さまはズバリ、ゲームマニアである。マニアは、とにかくあらゆる種類のゲームを体験したいので、できるだけ購入費用を安くすませるために、積極的に中古のゲームソフトを購入している。さらに、増え続けるゲームを買い続けるために、攻略し終ったゲームソフトを売る人が多い。つまり、一人のマニアが売ったり買ったりを繰り返してくれるので、中古ゲームソフト販売店にとっては、マニアを何人つかむかが商売の成否をわけることになる。

新たなマニアを獲得するには、「中古ゲームソフトを高く買い取りますよ」というアプローチが効果的である。マニアに食い込むためには、ゲームに関する情報武装も必要になる。ゲームマニアが喜びそうなメールマガジンを発行して、その購読者を増やすためのプロモーションを考えてみよう。購読者の数が万人単位になれば、おのずと売りたい人、買いたい人からのニーズに対応するだけで、かなりの商売が成立するようになる。単にメールマガジンを発行するだけでなく、購買履歴やアンケートを組み合わせて、一人一人の好みを推測した上で、ワン・トゥ・ワンの対応ができれば理想的だ。

マニアックな人を対象としたコミュニティは、人を集めやすい。口コミで情報が広まるからである。しかし、そこまで認知されるには、購読者以上の知識が必要になる。たとえば、ゲームソフトを扱うのであれば、一般のゲームマニアから博識と一目置かれるくらいの存在にならなければならない。アンケートで購読者を募集するならば、懸賞付きの「人気投票」がいいだろう。好きなゲームソフト名、キャラクター名とその理由を記入してもらう形の人気投票なら、ゲームにあまり関心のない人は回答せずに帰ってしまう可能性が高いので、回答数は減るかもしれないが、ゲームマニアだけが残る。

注意すべきは、店舗を持たずに営業する場合でも、「古物商」の「行商」免許が必要になる。免許といっても許可制ではなく、申請すれば必ずもらえるので、最寄の警察署に相談に行けばいいだろう。ホームページやメールマガジンには、必ず正式の免許を所持していることを示す告知が必要だ。

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 ◎初出:2005年12月26日
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「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」 (3)

第3回・サンプルの配布が効率的なケース

新商品の販促では、まずサンプルを大々的に配布するという手法が取られることもある。よくあるのは化粧品業界であろうか。無料お試しセットを電話でお申込みください、というテレビCFを継続的に放送している化粧品メーカーもある。もっとも、テレビや新聞で「サンプル無料配布」のキャンペーンを打つには膨大なコストがかかる。

では、メーカーではなく、地域の一販売店が行うにはどうすればいいだろうか。よく行われているのが、店頭でのサンプル配布である。ところが、よほどのことがない限り、サンプルを受取ってくれた人が、その場で住所・氏名などの個人情報を教えてくれるということはない。あくまでも、サンプルを受取った人が後日、再度来店して商品を注文してくれるのを期待するだけだ。

インターネットでは、「タダなら何でももらう」という人も多いため、単にサンプルを無料で郵送します、という方法は効率的ではない。事前に、見込み客になり得る層であるかどうかを絞り込むことが重要である。そうしないと、サンプルそのものの費用に加えて郵送料が無駄になってしまう。インターネットでは、サンプルを使用する簡易モニターを千人単位で簡単に集められるだけに、無駄打ちすると、そのコストも馬鹿にならない。

モニターを募集する方法は、アンケート、懸賞とほぼ同じ。しかし、モニター応募に難しい条件を設けると、懸賞情報サイトで告知してもらえない可能性が高くなる。地域を特定したい場合は、アンケートやプレゼントをまず実施して、その回答者の中から希望者にモニター登録してもらうという方法もある。アンケートをモニター募集の「第一選考」とする場合は、アンケートのテーマをやや特殊なものにして、特定のテーマに関心のある人だけが回答できるようなものにするといいだろう。

某化粧品メーカーの例では、まず、ホームページでお肌について詳しいアンケートに回答してもらい、回答者の肌にあったサンプルをプレゼントすることで女性の心をつかんだ。その方法を応用して、モニターの特典として、個別診断したアドバイスなどを無料で進呈するようなサービスを付加すると効果的と思われる。

個人情報をホームページで入力してもらう場合は、情報の漏洩に細心の注意を払おう。最近、ホームページより個人情報が漏洩する事件が相次いでいる。特に、女性のプライバシーに関する情報なので、いったん漏洩してしまうと、致命的な信用の失墜を招く恐れがある。

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 ◎初出:2005年12月19日
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「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」 (2)

第2回・会場や店舗への誘導が必要なケース

高額商品の中には、まず現物をお客さまに見ていただいて、そのよさをわかってもらわないと商売にならないものもある。例えば、絵画、振袖、婚礼家具などがあげられるだろう。これらの共通点は、お客さまの好みに合うことが販売の鍵を握る。つまり、関心のある見込み客に対して、ニーズを聞き、その場でいくつかのバリエーションを提案することが必要になる。

ところが、絵画や呉服などは、一つのお店で豊富なバリエーションを揃えることは難しい。展示スペースもいるし、在庫リスクも伴うからだ。そこで、これらの業界では「展示会」が頻繁に行われている。問屋や業者仲間が集まって、広い会場に在庫を集めて、それぞれの業者がお客さまを会場に連れてくる。そうすれば、お客さまに、一度に豊富なバリエーションを見てもらうことができる。

問題は、会場や店舗に新しい見込み客を誘導する手段である。会場にさえ足を運んでもらえれば、成約率は高いが、それだけに新規のお客さまに来てもらうために四苦八苦している。よくあるのは、チラシや招待状を持参した人に、会場で粗品を進呈するという作戦である。この作戦は、それなりの成果が期待できるが、チラシ配布に加えて、進呈する粗品代が必要になるなど、二重にコストがかかる。粗品が安物だと来場誘導の効果が薄れるし、かといって高価なものを気前よく配れば、それだけを目当てに来場する人が殺到して、思わぬコスト増を招いてしまう。

集客にアンケートを行う方法もあるし、バナー広告と併用することで相乗効果も得られる可能性は高いが、ここではクリック保証型のバナー広告とオートレスポンダの組み合わせで集客するプランを立てた。

ホームページなしでもオートレスポンダを連携させる方法もあるが、ホームページはあった方がいいだろう。やはり、絵画を売るということは、長い目で見れば、アーチストの作風を広く知ってもらうことが不可欠だからだ。特に、契約している新鋭のアーチストを育てていきたいと考えるなら、事前にセンスのいいホームページは用意しておくべきであろう。

ここで注意すべきは、バナー広告のキャッチコピーは「タダでグッズがもらえること」だけを強調しすぎないことだ。あまりタダが全面に出てしまうと、全く地域が違うところからのアクセスが増え、無駄が増える。はっきりと、イベントの日時・場所を明確に表示したバナーを制作しよう。来場することでグッズが無料でもらえるのだということがはっきり伝わるようにすれば、物理的に来場が無理な人がクリックする確率を減らすことができる。

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 ◎初出:2005年12月12日
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「対象顧客別・Webマーケティングのヒント」 (1)

第1回・高額商品で購入層がある程度限られているケース

インターネットで高額品が売れるわけないと思っている人も多いかもしれないが、マンションや自動車など、高額品はかなり売れている。これらの商品は、一般的にはクロージングまでに手間がかかるが、一つ成約すれば利益も大きいため、潜在見込み客掘り起こしのために、チラシをばら撒いたり、営業マンが飛び込みで営業するなど、販売コストをふんだんにつぎ込んできた。これまでは販売コストがかさんできた業界だけに、インターネットで効率よく見込み客がゲットできれば、そのメリットも大きくなるのは容易に想像がつくところ。

高額ということは、購入の理由が明確である場合が多く、つまり、購入客の属性が絞り込みやすいという特徴があるということだ。

店頭販売であれば、立地や内装で高級感は演出できるし、来店した人の身なりからだいたい判断できる。ところが、インターネットでは、相手の顔がなかなか見えないだけに、最初から「お金持ち」だけをターゲットにした販促は難しい。もちろん、直接的に「マンション購入希望者」のみをターゲットにしたバナー広告展開も考えられる。が、費用とスピードの面で効率はあまりよくない。

こう考えたらどうだろう。インターネットを利用している人のうち、数%はマンション購入見込み客であることは間違いない。ならば、確率の問題と考えれば、わずか数%でも母数を増やせば、見込み客の「数」は集まる。最初は、誰でもウェルカムな姿勢でアンケートを取り、徐々にその中から見込み客を絞り込んでいく方法を考えてみよう。

メールでフォローするにしても、これらの情報を知った上で作戦を立てれば、攻略する方法はいくらでも考えられる。これらの情報を、1回のアンケートで聞きだそうとすると、答える側にかなり抵抗があることは容易に想像がつくだろう。

回答者に「営業先のリスト集めじゃないか」と警戒されずに、必要なデータを何回かにわけて収集するのがコツである。具体的に言えば、上記の「理想の住まいに関するご意見募集」では、回答者の年収や資産状況などに関する質問は一切省く。もちろん、回答者の電話番号や勤務先などを聞いてはいけない。

また、メールによるフォローは、あくまでも「オプト・イン」ベースで行わなければならない。アンケートに回答してくれた3回とも、「メールマガジン不要」という回答であれば、残念ながらフォローを諦めなければならない。高額商品を売るからこそ、お客さまとの信頼関係の構築には最も気を使うべきである。

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 ◎初出:2005年12月5日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (10)

第11回・データマイニング

広義のデータ処理には、「データの収集・整理」と「データの分析」という二つの局面がある。一般に、「データの分析」とされているもののほとんどは、データの整理に過ぎない。抽出して整理したデータを百分率表示するくらいで、分析と称している。データ・マイニングは、真の意味でのデータの分析を目指すものだ。

「データ・マイニングは統計学だ」と説明することがある。データ・マイニング関連の書籍や雑誌記事では、あれこれと定義もされている。それでわかれば結構だが、データのテクニカルな取り扱いに習熟したエンジニアから見れば、具体性と方向性を欠いた議論に思えるだろう。

「SQLで発見できる浅いデータ」とは、いわば生のデータだ。通常のデータベース・アプリケーションで検索、集計を行った結果、発掘できるデータのことだ。その下の層である「OLAPツールで発見できる多次元データ」は、単純な抽出・集計処理では現れないデータを指す。これを掘り出すためには、多次元でのデータ処理が簡単にできるようにチューニングされたOLAP(OnLine Analytical Processing)ツール類が必要となる。

さらに下には、「KDDで発見できる隠れたデータ」がある。ここで言う「KDD」とは、「Knowledge Discovery in Databases(データベースにおける知識発見)」のことだ。この層こそが、データ・マイニングの対象となる部分である。ここにダイアモンドが埋まっている。SQLやOLAPでは取り出せない情報を取り出そうという試みが、データ・マイニングということになる。

データ・マイニングは、基礎となるデータの存在を前提にする。広告効果を測定するために、データ・マイニングの依頼を受けたことがあるが、既存のデータベースに蓄積された情報からは、どうしても導き出せないことがわかり、あらためてアプリケーションを作り直した。情報がある程度貯まらなければ分析ができないため、実際にデータ・マイニングに取りかかれるのは、一年ほど先になった。

データがあっても使えないときがある。あるSFAソフトでは、商談がまとまるかどうかについて、五段階評価を入力するようになっている。この評価は、各営業マンが自分自身の感覚で判断した数値だ。当然ながら、人によって評価の基準は違う。事実よりも希望を優先したがる人もいる。何回も見込み客の元へ足を運んでいるのに、評価が最低の「1」であるのは気まずいので、なんとなく評価を上げておくという具合だ。

このようなデータを基礎として、「来年度の契約件数と金額」などを予測しても、まぐれ当たりくらいしか期待できない。分析できるのは、「どの人の評価が信頼性が高いか」ということくらいだ。結局、十分なデータが蓄積されていなければデータ・マイニングは行えないし、十分にあってもゴミのデータでは成果は期待できない。もちろん、ゴミの中からダイアモンドが見つかることはあるが、わざわざゴミをためる必要はない。

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 ◎初出:2005年10月11日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (9)

第9回・コラボラティブ・フィルタリング

明示されていない情報の推論を可能にするのが、コラボラティブ・フィルタリングというテクニックである。このテクニックは、単純な確率的手法を再調整によって最適化するもので、理論としても技術としてもあまり高度なものではないので筆者は買わないが、現時点では、この手法が有効とされている。

コラボラティブ・フィルタリングの基礎は、ルールに基づく類型化だ。最大の特徴は、データベースに蓄積された情報から自動的にルールを見つけだす点にあると言える。

一般的に、ルールの設定は人間が行うものだ。そのルールに基づいて、パターンを当てはめ、営業活動や生産活動を行う。例えば営業に関するルールを決めるとき、我々は頭の中で、顧客に関する様々なデータを相互に関連した一群の変数として定義し、その結果生まれた様々な変数を比較して、最適な値を決定する。実際には、それほど厳密な計算はしておらず、ほとんどは勘に頼っている。これをコンピューターでやろうというわけだ。

コラボラティブ・フィルタリングでは、新しい商品の購入やサイト内での行動など、顧客の新しい活動データを継続的に蓄積していく。そのため、顧客の情報が増えるたび変数の値の集合も更新されて成長していく。さらに、いろいろな変数の値を常に評価し、それぞれの重み付けを必要に応じて修正する。そして、どの変数が重要かをシステム自身が判断する。

ルール設定のためのアルゴリズムまでを含めてパッケージ化したソフトウェアも販売されている。実際には、ソフトウェア会社が販売する汎用ソフトは、過去の解析ソフトの焼き直しで、「レコメンデーション」や「ナレッジ・マネジメント」という謳い文句を連ねて、「コラボラティブ・フィルタリング・ツール」という名前で販売しているので、あらゆる業界に通用するわけではない。ある程度は、自分達の頭脳を使って対処しなければならない。

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 ◎初出:2005年9月26日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (8)

第8回・顧客情報の種類

既に何らかの形で実施されているため、比較的活用しやすいのが、カスタマー・サポートだ。通常、受注に際して照会番号を割り振り、その後、顧客が何らかのサポートを必要とするときに、その番号で処理が行えるようにする。ソフトウェア商品を扱っている場合には、購入商品に関する情報やバージョン・アップのお知らせが送られてくるようになる。

現在、インターネットにおけるワン・トゥ・ワン・マーケティングの切り札の一つとして注目されているのが、独自のアルゴリズムによって顧客の好みを類推して、具体的な商品やサービスを推薦する「レコメンデーション・サービス」である。レコメンデーションは、いわば店頭で熟練の店員が顧客の身なりや年格好から、好みを瞬時に類推して、タイミングよくクロス・セリングを行う。データベースが充実すると、会員の好みが細分化でき、より細かい対応ができるようになる。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングの基礎となるデータは顧客の情報だ。その情報は種類によって、「プロフィール」、「トランザクション」、「アナロジー」の三つに分けられる。

カスタマー・サポートは、その性質上プロフィールとトランザクションを用いる。一方、レコメンデーションはその二つだけでは機能しない。書籍サイトなどで試してみると、既に読んだことのある本ばかりを薦められたり、その分野については詳しい人に、初心者向けの本を、「あなたに最適」とばかりに薦めてくる。

履歴などから推論される情報とは、単純なものでは、自社内に置かれた自動車メーカーへのリンクをクリックしたことから、関心分野として、自動車が明示的に挙げられていないとしても、この人は自動車に関心があるのだろうと推測することだ。書籍のサイトであれば、自動車に関する書籍や雑誌などもレコメンドすることになろう。

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 ◎初出:2005年9月20日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (7)

第7回・CRMとワン・トゥ・ワン・マーケティング

ネット・ビジネスで行われている数々の手法は、残念ながら顧客志向ではない。理想としては、顧客志向なのであるが、実態は全く違う。課題の一つは、いかに理想に近づけた形で実践するかということになる。もう一つは、実態を顧客にいかに悟らせず、理想に近いものに見せるかというテクニックとなる。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングは、基本的には顧客を固定化し、自社の製品やサービスを購入してもらうための方法論である。ターゲットをグループではなく個人まで細分化し、顧客一人一人を別々に扱うことに他ならない。

現実のワン・トゥ・ワン・マーケティングは、顧客を意識していると言うだけである。そこで行われているのは、単にフィードバック・システムを盛り込んだ刺激-反応パラダイムに近い。交換パラダイムにまでは至っていない。こういう客にはこういう刺激を与えればよいというだけである。刺激の対象が以前はマスだったのが、個人になったというわけだ。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングの最大の問題点は、基本的にはデジタル版押し売り商法に成り下がっている点だ。顧客志向など考えてはいられない企業のための手法だ。ほとんどの企業の活動は、宣伝では交換パラダイムを採用しているかのように謳っているが、実際には刺激-反応パラダイムのレベルである。

単に顧客を固定化するという目的であれば、現実的で即効性のあるのは、ロイヤルティ・プログラムである。ワン・トゥ・ワン・マーケティングなど必要ない。量販店にせよ、航空会社にせよ、顧客一人一人に違った商品を提案しているわけではないが、成功を収めている。ロイヤルティ・プログラムがうまく機能しないビジネスが、ワン・トゥ・ワン・マーケティングを行うというのが現状だ。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングという概念は、昔から提唱されてきたが、従来のデータベース・マーケティングなどにおいては、単なる理想論だった。ダイレクト・メイルが基本になるデータベース・マーケティングでは、個々に内容の異なる印刷物を作って郵送することはコスト面で不可能に近かったし、それ以上に、顧客の行動データを収集することが困難であった。

その点、ネットでは、WEBにアクセスしてくれた人に関しては、ログから行動追跡ができる。いわば、カタログのどのページを見てくれたのか、きっちり情報が取れる。開いたページと、その滞在時間を記録して、データとして蓄積することで、注文をしなかった人であっても、何に興味を持っているかを類推することが可能になる。

ワン・トゥ・ワン・マーケティングは、基本的には継続性のある手法なので適用できないビジネスもある。購買のリピート性が高いビジネスには有効だが、リピート性が低いビジネスでは、あまり期待はできない。

例えば、結婚式場などの婚礼サービスは、常識的に見て、リピート・オーダーはない。せっかく、顧客を獲得でき、しかも、かなりの個人情報と将来の需要予測(たとえば、何年か後には子供もでき、ベビー用品を揃える必要が生ずるだろう)を得られる立場にあるのに、残念なことである。このような場合は、本人達ではなく、その周囲の人を狙えるコンテンツ作りを心がける。例えば、顧客ごとに、婚礼の模様を撮影したビデオや写真を掲載したページを作成する。パスワードなどでアクセス制限をする程度のローテク仕様だから、すぐに実施できる。

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 ◎初出:2005年9月12日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (6)

第6回・ヴァイラル・マーケティング

ヴァイラル・マーケティングとは、ウィルス性のように伝染力のあるマーケティングという意味だ。実態としては、無料で何らかのサービスを提供することで、ネット上のクチコミが広く伝わり一般ユーザーを短期間で多数獲得する手法を指す。

ヴァイラル・マーケティングという言葉を誕生させるきっかけとなったのが、米国のホットメイルの無料電子メイル・アカウントだ。わずか4年間に1400万人の登録者を獲得してしまった。

これまで、プロバイダーや会社から割り当てられたアカウントを使っていた人が、無料で取得できるアカウントを使用する。そのアカウントからメイルを受け取った人は、自動的に添付されるフッタ情報から無料アカウントの存在を知り、自分も使ってみようと思うようになり、ねずみ算式に膨らんでいった。ウィルスが伝染するように、あっと言う間に広がる様を「ヴァイラル」と表現した。

ホットメイルは、その後マイクロソフトによって買収された。当時、それほど売上を計上できていないビジネスだったが、マイクロソフトにとってはユーザーの多さにそれだけの価値を見出したのだろう。

このように、便利な無料のサービスは、インターネットにおいて爆発的に普及する可能性を秘めている。類似するサービスとしては、好きなページに自分のアドレスを登録しておけば、ページの更新記録を自動的にメイルで知らせてくれる「Mind-It」(アメリカを中心に400万人の登録者)、自分の知人を登録して、さらにその知人が知人を登録することで、「友達の友達」ネットワークを作っていける「SixDegrees」(開始1年で50万人の登録者)などがあげられる。電子メイルを使ったクリスマスカードなどは、各社が取り組んでいる。

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 ◎初出:2005年9月5日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (5)

第5回・プレゼント企画

プレゼント企画を作り、プレゼント情報を掲載するサイトへ登録する。これだけで、一万人程度の集客が可能だ。概ね、自社のサイト内に応募フォームを用意し、それに記入させるというスタイルをとる。アンケートや個人情報の収集もできる。プレゼントがあまりに貧弱だと集客力も弱い。なんと言っても、現金や商品券が最も威力を発揮する。一万円程度の現金数本で、一万人の程度の集客を見込める。

ただし、顧客は自社に関心を持って見に来ているのではなく、プレゼントに関心を持っているという点は了解しておかなければならない。ほとんどの訪問者は、プレゼントのページしか見ない。プレゼント情報に対して自動的に応募してくれるサービスもあるくらいだ。したがって、訪問ついでに、サイト内のページを見てくれるだろうとは期待しない方がよい。見てもらいたいならば、それなりの魅力にあふれたコンテンツを用意する必要がある。

広く誰もが参加できる「オープン懸賞」にせよ、購入者や来店者に対してのみ提供する「クローズド懸賞」にせよ、懸賞は法律の規制を受ける。景品表示法と公正取引委員会の告示等は、一応、目を通しておいた方がよい。

プレゼントは顧客誘因法としては有効である。ただし、主催者側がモラルを失ってはならないのは当然のことだ。また、プレゼントによる集客に依存するのは邪道である。まずは、その企業の信頼性が問われることになり、集めた顧客が固定化するためには、コンテンツの魅力が鍵となる。 Webアンケートが費用をあまりかけずに、短期間で多くの回答を集められる理由は、一言でいえば懸賞情報サイトに無料で情報を登録できるからである。これらの懸賞情報サイトに登録するだけで回答が集まるのだが、登録にはちょっとしたコツがある。これらの懸賞情報サイトをいくつか観察すればわかることであるが、ほとんどのサイトが、「賞品別」と「締切日別」の検索ができるようになっている。回答者の心理として、どうせ狙うなら「現金・金券」を優先して応募したいと考える人が多い。1本でもいいから「現金・金券」に属する賞品を加えておく。そうすることで、賞品別では「現金・金券」のコーナーに登録されるので、回答者の優先順位が高くなることが期待できる。

締切日も意外に回答数を左右する。企業が実施するアンケートやプレゼントは、機械的に月初めに開始して、月末締切というパターンが圧倒的に多い。よって、月末には締切日が集中することになる。ところが、回答者は、締切日検索で締切日が近いものに駆け込み応募する傾向がある。締切日を月末にしておくと、締切日検索で膨大な情報の中に埋もれてしまって駆け込みが少なくなってしまう。締切日は、月末で情報がごそっと減ってしまった直後の3日や4日に設定するといいだろう。

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 ◎初出:2005年8月29日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (4)

第4回・アフィリエイト・プログラム運営の注意点

以前は、アフィリエイト・プログラム用のソフトウェアは、自社開発なり外注なりの手段により、自分たちで用意しなければならなかったが、最近ではカスタマイズしたソフトウェアをレンタルしてくれる事業もある。アフィリエイト・プログラムの実施は比較的簡単になった。運営上での注意事項は以下の四点だ。

1、モラルの徹底

自社のサイトに潜在顧客を誘導するために、まず、アフィリエイトが自分自身のサイトへの誘導をはかるはずだが、実際には、そのようには進まない。アフィリエイトの少なからぬ人達が、もっと手っ取り早い方法を用いる。掲示板やメイリング・リストに、バナーに相当するURLを書き込む。「絶対安い」などと大げさな見出しだけで、ろくに説明もしない。覗いてみると、たいしたことはない。たいていの人は落胆する。ときには、アクセスの多いアダルト・サイトの掲示板に、「マニア必見、ここをクリック」と投稿されているケースもあるという。

ただでさえ、宣伝のための書き込みというのは嫌われる。しかも、掲示板のテーマや、そのときのトピックの流れを無視して、唐突に書き込まれるのだから、落胆どころか不興を買う。さらに、この種の書き込みには、掲示板一斉書き込みツールが使われる。そのため、同時期にあちこちの掲示板に同じ書き込みが登場する。顰蹙を買うのは書き込んだ本人だが、結果的には、主催している企業も評判を落とす。このような行為は、アフィリエイトとの契約で明確に禁止しなければならない。

2、他社との競争

競合他社がアフィリエイト・プログラムを既に実施している場合は、条件面での不利は参加を鈍らせる。それは当然のことで、かたや5%のコミッション、かたや10%のコミッションであれば、10%の方に誘導した方が報酬が多くなる。

条件面だけの競争だけではなく、商品や価格などの競争力も問われる。アフィリエイト・プログラムに参加しようとする人は、概して、この種のことには事情通なので、アフィリエイト・プログラムを実施している同業他社のサイトもチェックする。その際、「こんなサイトじゃ駄目だろうな、こんな価格で売ってるんじゃ無理だな」と判断されれば、コミッションが同じでも、候補者は他社のアフィリエイトになってしまう。

3、リアル・タイムのレポート提供

アフィリエイト達は、自分がどの程度のコミッションを稼いでいるのか確認したいものだ。それがわかれば、動機付けにもなる。クリック数やコミッションなどに関するリアル・タイムなレポートを、WEB上から確認できたり、メールで送られてくるシステムが望ましい。

4、複数のバナーを用意

通信事業者やその代理店に多いのだが、いかにも宣伝臭の強いバナーになっている。アフィリエイト達は、特に何も気にならないのか、そのまま自分のサイトにバナーを設置する。サイトの内容やレイアウト、デザインにはまったくフィットしない。場違いで唐突だ。いかにも小遣い稼ぎ目的の露骨な宣伝という感じに見える。これをクリックしたいと思う人は少ない。

「最新の人気商品やプロモーションなどの情報を、アフィリエイトに提供し、プログラムが効果を生むように指導せよ」という理想論もあるが、実際は不可能だろう。そんな努力を受け入れる人ならば、そもそもアフィリエイト・プログラムに参加していない。相手は努力なしで金を稼ぎたい人達なのである。実施企業側で対策を考えておく他ない。バナーはデザインもコピーも異なるものを少なくとも数種類は用意し、アフィリエイトが、自分のサイトに適したものを選べるようにしておくべきだ。

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 ◎初出:2005年8月22日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (3)

第3回・アフィリエイト・プログラム

バナー広告は自社サイトへの入り口である。これがたくさんあればあるほど、リード・ジェネレーションにつながりやすい。ところが、予想外にバナー広告料は高い。しかも、効果あるかどうかはやってみないとわからない。

ネット通販において、一躍脚光を浴びたのがアフィリエイト・プログラムである。アマゾン・コムが「アソシエイト・プログラム」という名称で始めた手法は、アマゾンへのバナーを貼ったサイトを経由した顧客がアマゾンで購入すると、サイト・オーナーに5%から15%のコミッションを進呈するというものだった。

WEB通販を行う企業が、個人サイトにバナー広告を貼り付けてもらう。そのバナーからリンクされる専用の入り口を作る。誰かがその入り口を経由して、買い物をしたならば、購入金額の一部がコミッションとして支払われる。コミッション・ベースなので、バナーを表示しただけでは報酬は支払われない。実際に買い物をして初めて報酬となる。リスクは少ない。アフィリエイト側には、バナーを貼るという容易な方法で収入を得られるというメリットがある。

アフィリエイト・プログラムは、B2Cビジネスにおいて、かなりの割合で導入されている。例えば、ネット上でギフト商品を販売する有力サイトを調査したところ、5社のうち4社がアフィリエイト・プログラムを採用していた。

アフィリエイト・プログラムが普及した最大の理由は、このプログラムの斬新さにあるのではない。それがリアル・ワールドではありふれた手法だからだ。誰もが知っているので模倣しやすい。

アフィリエイト・プログラムは、サイト・プロモーションの手法としては、賛否が分かれる。最も否定的な意見は、行き着く先がマルチレベル・マーケティングであるとする見方だ。その可能性を見せている企業もあるが、自分で販売までしなければならないマルチ・ビジネスと違い、アフィリエイト達は営業を一切しなくていいという気軽さで参加しているのだから杞憂だと思う。

アフィリエイト・プログラムを導入したサイトからは、誰も定価で買わなくなるという懸念も聞かれる。つまり、自家消費のため、自分がアフィリエイトになってから購入するようになる。これもマージンが十分に確保できているかどうかの問題だ。

また、素朴なものとしては、アフィリエイトに支払うコミッションがあれば、その分、価格を下げた方が顧客は喜ぶという意見もある。コミッションを数パーセントないしは十数パーセントも支払えるということは、それだけマージンがあるということだ。心理としては、アフィリエイト経由ではなく直接サイトへ行くから、ディスカウントして欲しいという要求がおこるのも無理はない。しかし、どの企業も、広告費を価格に転嫁させることにより、価格競争上の不利が生まれるのを覚悟の上で、テレビや雑誌で広告を行うのである。広告宣伝や販促費を削減すれば低価格になるはずだと提案しても、企業には無理な要求だ。

技術的な困難が指摘されることもある。アフィリエイト・プログラムを開始すると、アフィリエイト契約を結ぶということから始まり、毎月売上を管理して、コミッション分を送金しなければならない。これが万単位のアフィリエイトを抱えると、そのコストや手間暇は莫大なものだ。管理用のプログラムを開発しなければならないし、既存のシステムとの連携も必要になる。開発コストだけで数千万円になる、メンテナンス費用も必要だ。しかし、これが高いか安いかは企業規模による。

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 ◎初出:2005年8月18日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (2)

第2回・メールマガジン広告

メールマガジンはネット上で数多く配信されている。広告をその文中にテキスト形式で挿入する。バナー広告と同じように、クリックすると、広告主のサイトに即座にジャンプするという仕組みになっている。 メールマガジン広告は、バナー広告よりも有効だという声がある。

メールマガジン広告は配信されてから3日で効果が測定できる。金額的にも比較的小さいので、さまざまな媒体を試してみることができる。記事との連動もさせやすい。 メールマガジンの広告料は、紙媒体と同様に発行部数でほぼ決まる。10万円から数十万円というところが多い。部数から逆算すると、一部当たり1~2円程度が目安のようだ。

購読の終了がしにくいメールマガジンも少なくない。配信を停止してもらいたいと思っても、お金がかかるわけではないので、放っておかれることが多い。そのため、試しに取ってみたが、全然読まないというものも多数ある。 このようなメールマガジンの実読者数は少ない。広告主が二の足を踏むので、まともなメールマガジンであれば、読者向けに配信停止方法についての説明が付されている。もし、このような説明がないか、不十分なメールマガジンならば、読者の実数は公表数の10分の一程度と考えた方が無難だ。

メールマガジンにも特徴があり、記事のテーマが特定されているものもあれば、一般的な記事で構成されているものもある。読者の関心事がはっきりしているものもあれば、特定できないものもある。 媒体選びは、定石通り、テーマで選ぶ。読者層が特定できた方がやりやすい。次に候補の現物をチェックする。記事の傾向やボリュームがわかる。配信停止方法なども確かめて、実際に試してみると良い。容易に配信停止ができるものほど良いメールマガジンである。

広告文は5行程度が一般的だ。記事の傾向を把握していれば、どのような切り口の広告文がよいかは判断しやすい。ただし、テキスト・ベースなので、デザイン面では凝りにくい。目立たせるためには、「●■▲◆」などの記号や、アスキー・アートを使うことになる。受信者によっては、意図通りに表示されないのが難点だ。

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 ◎初出:2005年8月8日
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「Web マーケティングの基礎知識」 (1)

第1回・バナー広告

バナー広告は社名や商品名などを記載した小さな画像に過ぎない。バナーにはさほど情報を詰め込むことはできないが、このバナーをクリックすると、広告主のサイトに即座にジャンプするのが基本的な仕組みである。バナー広告の費用は、雑誌広告などと同じだ。多くの読者を抱える有力メディアほど料金は上がる。バナーの大きさ、バナーが表示される位置(トップ・ページかそれ以外のページか)も料金に反映する。常時、表示されるものもあれば、顧客がアクセスするごとにバナーが入れ替わるものもある。

広告を出稿する立場としては、費用に比してページ・ビュー実績が多い広告サイトを選ぶ。しかし、ページ・ビューそのものも問題だ。雑誌などの実売部数とは明らかに異なる。100万ページ・ビューがあると言っても、100万人が見ているわけではない。雑誌の部数ならば、1人が複数購入するということは考えにくいが、ページ・ビューでは10万人が平均10ページ分を見ているのかも知れない。気の利いた広告サイトならば、ユーザー数も示してくれるが、これはのべ人数である。のべ人数は10万人であっても、実数は1万人かも知れない。そのため、テレビのように視聴率という形で人気を測定することもある。

広告サイトには特徴がある。婦人雑誌に男性向け商品の広告を出す人はいない。自社の事業の顧客層は、既に見えているはずだ。それならば、そのような人達が多いと予想される広告サイトを選択すべきだ。 パソコンに関心のある人を集めるサイト、自動車に関心のある人を集めるサイトのように、ユーザーの関心が明確になっているサイトならば、より適切だ。万人向けのサーチ・エンジン・サイトでも、ディレクトリなどを選ぶことができる。既に他社がおさえているならば、利用できない。空くまで待つことになる。

近年、バナー広告は、クリック保証型の割合が高くなっている。予算の大小にもよるが、一クリックあたり数十円から100円弱となる。通常のバナー広告が期間に対してのチャージであるのに対して、クリック保証型は規定された回数に達するまで、バナーが表示されることになる。一日で終了と言うこともあれば、一週間続くこともある。

クリック保証型は、バナー広告が登場した頃には広告モデルとしては邪道であるとされてきた。クリックされるかどうかは、広告主の魅力、商品の魅力に依存する。魅力のない広告主に対してほど、長い期間スペースを提供しなければならない。通常のバナーだと、CTRが上がっても追加料金が取られることはないが、クリック保証型ではある一定数で打ちきりだ。しかし、それでも広告主としてはクリック保証の方が数値が計算できる分、ありがたい。そのような需要があるならば、それに応じるのはビジネスとしては正当な考え方だ。

クリック保証型の場合、アフィリエイト・プログラムに近い形態で運用する。バナー広告スペースを提供してくれる個人WEBオーナーを集める。一クリックに対して5~30円のコミッションを与えることを約束し、彼らにバナーの宣伝をさせる。コミッションほしさにサイト・オーナーが自分で何度もクリックしないように、ログをチェックして、同一IPからのクリックはカウントしないなどの処置を施している。サイト・オーナーとの間にさまざまなトラブルが発生しているが、クリック保証型は一応機能している。従来は、WEBまで誘導できるかどうかがバナー広告の効果を測定するための指針だった。しかし、通りすがりのユーザーではなく、買い物をしてくれる顧客が欲しいというのが企業の本音である。

トランザクション・バナーと呼ばれるバナー広告は、クリックするとその場で電子カタログが開き、複数の商品を閲覧できるだけでなく、注文を完了することもできる。こうなると、バナー広告がサイバー・モールと同じような役割になってくる。自社のサイトそのものが不要になる。リアル・ワールドにおいても、店舗を設け広告で宣伝するという形態だけでなく、広告スペース上に商品や取引方法を掲載する無店舗販売もある。無サイト販売はあり得ることだ。

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 ◎初出:2005年8月1日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(20)

第20回・長期的な視野で情報戦略を考える

企業は、インターネットの普及により、人類がかつて経験したことのない変革期に直面している。はっきり言えることは、情報戦略を誤ると一瞬のうちに競争から脱落してしまうくらい、企業を取り巻く環境が厳しくなってきていることだ。

もう一つ、高度成長期やバブルの一時期のように、景気がよければみんな儲かる、という時代は終焉した、ということだ。ダメな企業は確実に衰退する。しかも、その差はすぐに拡大する。「勝ち組」として残り続けるのは大変である。逆に、「負け組」に転落するのは一瞬である。

厳しい情報化時代の競争に生き残るための戦略として、次の5つの点を掲げる。

(1)情報化投資の優先順位を決定する

情報化と言っても、その範囲は広すぎる。アメリカでは、「ナレッジ・マネジメント」か「エレクトロニック・コマース」か、という切り口で論議されることも多いが、必ずしも同調する必要はない。自社や業界を取り巻く現状を客観的に見る目があれば、おのずとウェイト配分は決まってくる。

(2)優秀なCIOを据える

情報化には、少なくない投資が必要である。時には、痛みを伴う決断もしなければならない。戦略の採用、即実行でなければ前に進まない。経営トップがプロジェクトに主体的に参加すべきである。そのためには、ウェブマスターやシステム部を統括する情報戦略担当役員(CIO)に、優秀な人材を据えることが大切である。スピードアップが期待できる、行動力のある人間をあてることを言うまでもない。

(3)ナレッジを積極的にデータベース化する

「情報を共有する」ことの必要性は頭で理解できていても、どのような情報を共有すべきか、については意外なほど軽視されている。なぜ情報を共有しなければならないのか、情報を共有することで何が変わるのか、社員一人一人が意識することも重要であるが、体系的なアプローチでナレッジをデータベース化する仕組みを導入するのがベターである。これが「ナレッジ・マネジメント」の基本である。

(4)高付加価値を創造できる企業文化を育てる

イントラネットやグループウェアは、ナレッジの発掘を支援してくれるツールである。しかしながら、いくら技術やシステムが導入されても、自発的に創造性を発揮するという「企業文化」が未熟だと社員はアクションを起こせない。社内の電子コミュニティを上手にリードするなど企業文化を育成することは、チームリーダやマネージャにとって、新しい任務となる。

(5)外部のコンサルタントを上手に利用する

情報戦略を立案、遂行するために必要な人材が揃っている企業は、とても恵まれている。限られたスタッフで、不足するスキルを補いながら情報化を進めていくのが一般の企業の現実だ。スキルの不足を痛感する場合は、外から優秀な頭脳を借りてくればいい。コンサルタントの活用は、情報戦略の「高速化」をもたらしてくれる大きな武器だ。

30年後、50年後の経済環境がどうなっているかを正確に予測するのは、困難というより不可能だ。しかし、「われわれはこういう企業を目指そう」という理念は持つことができるし、計画を実行に移すこともできる。要は、どのような企業文化を持っているか、で方向性は決まる。

情報戦略は企業文化を大きく変えることができる一方、企業文化の進化を伴わない情報戦略では、単に情報処理システムを導入しただけに終わる危険性が高い。

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 ◎初出:2005年7月25日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(19)

第19回・情報戦略が効果を発揮できる前提条件

情報戦略や情報化という話になると、どうしても総論的な「こうあるべき」という展開になりがちである。先ほど、「情報化=情報系システムの導入ではない」と書いたが、現実問題として、情報系システムなくして情報化を進めることはできない。情報戦略は、情報系システムが導入されていることが前提条件となる。

しかし、これから情報系システムを導入しよう、という企業にとっては、その情報系システムをどう入れればいいのか、というのはきわめて現実的で重大な問題だ。

戦略に基づいてシステムの仕様を決めればよい、というと聞こえはいいが、建前論にすぎない。そこで、これから情報系システムを導入される方は、「情報戦略を立てるのは、情報系システムを使いこなせるようになってから」と割り切って、できるだけ早急に導入すべきだろう。

理由は2つある。これから情報系システムを入れよう、という時点で大きく出遅れてしまっている。その遅れを一日でも取り戻すためには、計画を前倒しでスピードアップするしかない。これが第一の理由である。もう一つの理由は、情報系システムは、業務系システムに比べて、導入後に柔軟性がある。どうせ変更や追加があるなら、最初はプロトタイプのつもりで導入して、徐々にカスタマイズする方が実践的である。

しかしながら、情報系システムを導入する以上、ある程度の受入れ体制の整備も必要になる。その一つの基準が、各職場でシステム的な考え方ができていること。紙媒体でもいいからファイリングシステムが職場単位に共有されている、あるいはファイルの管理がきちんと構造化されて流れていれば、比較的システムが乗りやすい。

情報戦略を考える上で、ナレッジ・マネジメントでもそうであるが、職場単位や部署単位の「各論」をベースにすることが重要である。全社一斉に同じシステムや同じ仕組みを導入すると言えば、カッコよく聞こえるかもしれないが、「総論」だけの戦略では現場で混乱を生むだけである。

全社で共有すべきは「ナレッジ」と「企業文化」であって、実際のオペレーションはタスク別に一番適した方法を考えなければならない。情報化が「万能」とは思わないことだ。

情報化を進める具体的なシステムとしては、イントラネット、ERP、プラットフォームなどが考えられるが、情報戦略に「差別化するための戦略」という経営戦略的要素を盛り込もうとするなら、少なくともイントラネットを導入して、データベースの情報をインターネット経由で共有できるような環境が欲しいところである。

キーワードとして何度も登場している「ナレッジ・マネジメント」は、専用のソフトが登場しているが、実は、データベースとインターネット・サーバ、つまりイントラネットさえあれば十分に実践できるのである。

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 ◎初出:2005年7月19日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(18)

第18回・情報処理型から情報活用型へ

企業の情報戦略を考える上で、まず「情報化」とは何か、を理解しておくことが大事だ。

かつての情報化というのは、いわば情報処理が中心で、人間が行っていた大量の単純作業をコンピュータに置き換える「機械化」のことを指していた。しかし、そのような「情報化」は、ほぼ行きつくところまで行ってしまった。次の段階として、コンピュータに蓄えられたデータをどう活用するか、コンピュータのネットワークをどう活用するか、つまりデータベースとネットワークの活用が焦点になってきている。

これらの情報技術は、IT(インフォメーション・テクノロジー)と呼ばれているが、ITを取り入れること、あるいは情報系システムを導入することイコール情報化ではない。ITは、ビジネス・ソリューションの道具にすぎないのである。現在のビジネス・ニーズにどのような技術で対応していくのか、また、技術の進歩からどのようなビジネスやサービスを創造できるのか、という2つの視点を忘れてはならない。

企業の戦略には、「差別化されないための戦略」と「差別化していくための戦略」がある。「差別化されないための戦略」とは、業界内でライバル企業に取り残されないための戦略である。コンピュータによる単純なデータ処理を行ったり、サーバに蓄積された情報を社内で共有するといった従来の「情報化」は、この「差別化されないための戦略」に属する。

これから目を向けるべきは、「差別化するための戦略」である。そのためにはデータベースに蓄積された情報を高度活用するための仕組み作りが必要になる。しかし、これまでの企業文化に沿った業務プロセスでは、重要度の低いデータは共有できるが、そこから新しい智恵やアイデアはなかなか生まれてこない。

まず、データベースを高度活用して、差別化するための戦略とするには、データベース化する情報そのものを高度化しなければならない。これまで、個々の経験や勘については、文書化されることは少なかったし、文書化さらにデータベース化しようと思えば、莫大なコストが必要だった。おそらく、企業にとって、必要な知識のうち、データベース化されている情報はせいぜい数%ではないだろうか。ほとんどの知識は、社員の脳みその中で保管されているにすぎない。これでは、いくらITが進化しても、社員の脳みその中までは検索できないから、企業が保有する情報を社員全員が共有して有効活用しているとは言えない。

その上で、これまでの企業文化を変革する必要がある。自分が持っている知識を積極的に文書にしてデータベース化する、あるいは、他人の知識をデータベースから検索することで自分自身の知識や経験として消化して、そこから新しいアイデアや知識を生み出す。これらは、社員一人一人の能力というより、企業文化にかかわる問題だ。そういう企業文化が醸成されていなければ、いくら豊富な情報や知識が共有されていても、ビジネスに高度活用されることもないに等しいだろう。

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 ◎初出:2005年7月11日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(17)

第17回・ECに適したWebサイトの条件

インターネットを導入するメリットと言えば、販売促進や物流コストの削減があげられるが、メリットはそれだけにとどまらない。むしろ、Webというインタラクティブな受注窓口(フロントエンド)と、在庫管理、経理管理を行うバックエンドを連携させることで、企業の情報システムそのものを一新して業務の仕組みそのものを変革できることに最大のメリットがある。

例えば、アメリカ流通大手のサイトでは、注文者の郵便番号から全米6ヵ所の物流センターでもっとも近いところを選び、在庫管理データベースに参照して、注文の商品があるかどうかを即時に確認できる。もし、最寄りの物流センターに在庫がないことがわかれば、他の物流センターの在庫状況をチェックして、いつまでに商品を発送できるかを調べる。

ECサイトを構築する上で、技術的なハードルとなるのが、「在庫確認」と「決済」の2つである。

在庫確認の重要性は改めて強調する必要もないだろう。Webで注文が通ったのに、後日「ご注文いただいた商品は品切れです」という連絡が来るのでは、注文した人が怒るのはもっともである。

最低限、明らかに品切れ状態の商品については、Webでは注文できないようにして、入荷予定を知らせるような仕組みが必要だろう。リアルタイムで在庫を把握するのが難しい場合は、新幹線の座席予約状況を示すマークのように、「○=十分に在庫あり、△=残数わずか、品切れの可能性あり、X=現在品切れ」のような表示でもかまわない。

実際問題として在庫確認を完璧に実現しようとするとかなり大変だ。在庫確認では試行錯誤を繰り返している企業が多い。現時点では、オンラインショッピング専用の物流センターを独立させて、在庫を一元管理するというところが多いようだ。

例えば、大手衣料販売店のサイトでは毎朝、前日の注文状況を見て、インターネット用在庫を補充する形を取っている。これだと、インターネットで販売する在庫を集中管理できるが、店頭と物流が完全に分離するため、インターネットで注文した商品は、最寄りの店頭で返品、交換はできない。

特にクリック・アンド・モルタル型と呼ばれる、店舗との併用でECサイトを運営する企業にとって、店頭用とインターネット用の在庫管理をどのように連動させるかは大きな課題といえるだろう。

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 ◎初出:2005年7月4日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(14)

第14回・ネットワークを不正アクセスから守る

Webサーバを立ち上げる時に必ず問題になるのが、セキュリティの問題である。インターネットに常時接続しているということは、インターネットにつながっている膨大な数のホストコンピュータにつながっているのに等しい。当然、招かざる客が侵入を試みることもある。外部からの不正な侵入をシャットアウトするのが、一般に「ファイアウォール」と呼ばれている装置である。

ファイアウォールは、ネットワークの外との境界を流れるデータを監視し、不正なアクセスを検出・遮断することが最大の役割である。ファイアウォールは、基本的にはソフトウェアの一種であるが、高度な機能が要求されるために、専用のハードウェアが使われることも多い。つまり、ソフトウェアというよりも、特別な装置のようなイメージが強い。

ECの普及により、ファイアウォールも進化してきた。よって信頼性は高くなってきているが、残念ながら、外部からの不正侵入を100%防ぐことはできない。

不正侵入される原因にはいろいろな要因が考えられる。OSやアプリケーションにバグがあり、ある操作を行うと侵入が許可されるようなケースもある。これを「セキュリティホール」と呼ぶ。しかし、不正侵入を許す最大の要因は、パスワードを破られたことによるルート権限の盗用である。

ファイアウォールを設置することは、ある意味で常識になりつつある。しかし、ファイアウォールは、業務システムに新たにセキュリティシステムを付加することを意味する。つまり、業務システムとセキュリティシステムを別々に構築することになる。

管理者がルート権限を持ち、システム全体を管理する場合が多いが、すでに触れたように、ルート権限を持つ人を認識するのはパスワードであり、パスワードが破られると、簡単にシステムを乗っ取られてしまう。

すでに触れたように、ルート権限があることが、セキュリティを弱体化する要因にもなっている。そこで、自衛手段としてトラステッドOSの導入を検討するのも一つの手かもしれない。

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 ◎初出:2005年6月13日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(13)

第13回・ルート権限とパスワード管理

アクセス権限を表現する際に、ルート権限という言葉が使われることもある。ルートとは、UNIXにおいて無制限の特権を持つスーパーユーザのアカウントを意味する。つまり、ルート権限を持った人は、システムの変更から、あらゆるファイルの削除、書き換えまで、ほとんどのことが自由にできる権利を持つ。

このように強大な権利を持つルートも、実はログインする際のパスワードでのみ識別されているにすぎない。ルートのパスワードが他人に使われると、マシン全体が簡単に乗っ取られてしまう危険性がある。

よくクラッカーと呼ばれる悪質なハッカーにマシンを乗っ取られてしまった話が報道されているが、ほとんどのクラッカーは、まずルート権限盗用に最大のエネルギーを注ぐ。なぜなら、ルート権限さえ手に入れれば、ハードディスクに保存されたファイルのコピーや消去はもちろん、自作のプログラムの実行や侵入の痕跡を消去することなどやりたい放題だからである。

そう考えると、あるIDとパスワードに対して、ルート権限を与えるよう設定すること自体にリスクがあることがわかる。もちろん、ルート権限を持つ管理者は、複雑なパスワードを使い、しかも頻繁にパスワードを変更するなどの努力が不可欠だが、セキュリティを重視する場合には、自衛手段としてトラステッドOSの導入を検討するのも一つの手かもしれない。

トラステッドOSの最大の特徴は、ルート権限が存在しない点だ。パーミッションをユーザごとに細かく設定できる。つまり、一つのパスワードが破られてしまっても、そのパスワードでできる範囲を限定しておけば、被害も限定されるという考え方だ。

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 ◎初出:2005年6月6日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(12)

第12回・ファイルのアクセス権限

アクセス権限とは、コンピュータのハードディスクのディレクトリやファイルに対するアクセス権のことを指す。一般的にはUNIXにおけるアクセス権のことで、NTにおいてはアクセス権という概念はない。

UNIX系のサーバでは、ファイルやディレクトリの所有者である「Owner」、同じマシンにパスワードでログインできる人全員を指す「Group」、ブラウザから閲覧のみできる「Other」の3種類の利用者ごとに、それぞれ「読み込み」「書き込み」「実行」ができる許可(パーミッション)を設定することができる。

Webサーバの場合は、サーバ管理者であるOwner権限と、ブラウザでアクセスする一般閲覧者のOther権限の設定が重要になる。(Group権限はOther権限と同じ設定でよい。)

例えば、サーバで動作するCGIの場合、管理者は、「読み込み」「書き込み」「実行」のすべてができるのに対して、閲覧者は、「読み込み」「実行」はできるが、「書き込み」(上書き)はできない、という設定にするのが一般的。ブラウザからの指示で実行できないとCGIの用を成さないし、かと言って、書き込みを許可すると、ソースの内容を書き換えられてしまう恐れがある。よって、Other権限は、「読み込み:可」「書き込み:不可」「実行:可」という表現になる。

パーミッションは、それぞれの許可を数字で表わすことができる。それぞれを許可する場合、「読み込み=4」「書き込み=2」「実行=1」の数字を合計する。先ほどの「読み込み:可」「書き込み:不可」「実行:可」なら5ということになる。

この数字を、左からOwner権限、Group権限、Other権限の順で並べたものがパーミッションの表記となる。つまり、CGIでは、Owner権限はすべて許可で7、Group権限、Other権限は共に5なので、755ということになる。

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 ◎初出:2005年5月30日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(11)

第11回・オートレスポンダの活用

オートレスポンダは、アメリカでは広く使われていて、無料でレンタルしてくれる業者も存在する。なぜ無料かと言えば、自動返信されるメッセージに3行程度の広告が自動的に挿入されるようになっているからだ。

もっとも、変な英語の広告が入ってしまってはビジネスには使えないので、年間60ドルくらい払って、広告の付かない有料サービスに切り替えてもらう。まず無料サービスでいろいろと自分で実験してみて、その後に有料サービスに変更すればいい。

お客さまから資料の請求がある(指定のアドレスにメールが送られる)と、案内書や説明書などの文書が、通常数分以内に自動的に電子メールで返信される。普通のオートレスポンダならここまでの機能だが、一部のオートレスポンダは、資料請求者に対して、例えば24時間後に「資料は届きましたか?何かご質問がありましたらお気軽にどうぞ」、さらに48時間後に「資料をご請求いただいた方にのみ、特別お試し期間のご案内です」など、あらかじめ用意した文書を、あらかじめ指定した間隔で自動的にフォローしてくれる機能が付いているものもある。

資料請求者が10人程度なら手動でも苦にならないが、この数が数百人、あるいは千人となると、個別にメールを書いていたのでは、それ専任のスタッフが必要になる。オートレスポンダなら、その作業をほとんど自動でやってもらえるのが嬉しい。

オートレスポンダで資料を請求してもらう方法には、主に2つの方法がある。一つは、Webメール用CGIを使い、入力フォームに電子メールアドレスを入力して「送信」ボタンを押すと、オートレスポンダのアドレスにメールが送られるようにする方法。

Webメールはブラウザだけで操作が完了するため、利用者の負担は少ない。が、メールアドレスの入力を間違えると、せっかく請求したくださった人に資料が届かない。

もう一つは、mailto のコマンドを使って、請求者のメールソフトから通常のメール送信でオートレスポンダのアドレスに送信してもらう方法。この方法だと、メールソフトに請求者のメールアドレスが正確に登録されているはずなので、資料がほぼ確実に請求者に届くことが期待できる。

ただ、mailto のコマンドを使ってメールソフトを起動する方法は、メールソフトに登録された個人情報がヘッダに記載されて相手に届くので、嫌がる人も少なくない。個人的には、Webメール用CGIを使用することをお勧めしたい。

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 ◎初出:2005年5月23日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(10)

第10回・パーソナライズドWeb

インターネットにおける「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」で、まず思いつくものと言えば、おそらくパーソナライズドWeb、つまり会員専用ページだろう。

WebはHTML言語で書かれ、情報発信要求があって初めて発信される「オン・デマンド」型の手段である。インターネットが普及した初期においては、サーバに蓄積されたHTMLファイルを画一的に発信する形が主流であったが、テクノロジーの進化によってデータベースからその都度情報を引き出し、HTMLを自動生成して発信することが簡単にできるようになった。つまり、アクセスしてくれたその人専用のコンテンツを配信することが可能になったのである。

パーソナライズドWebは、特に証券会社など金融機関のサイトで先進的に導入された経緯がある。例えば、証券会社では顧客の最大の関心事は、すでに投資している株式の値動きと、新しい投資対象に関する情報である。手持ちの銘柄については、あらかじめ登録してもらうことでリアルタイムの値動きを表示させるは簡単だが、新しい銘柄や金融商品の情報については、お客さまの保有資産額、好み、性格などによって推奨する内容も異なる。その時の専用カウンターの役割を担うのが、パーソナライズドWebである。

すでにパーソナライズドWebは、物品を販売するECサイトにも普及している。会員登録をすれば、興味のあるジャンルだけの商品カタログを表示するようにカスタマイズできる他、過去の購買履歴や注文品の配送状況が確認できるのが一般的。また、未出荷の注文品については、キャンセルボタン一つで取消せるサイトも少なくない。

パーソナライズドWebには、主に2つのタイプがある。一つは、証券会社のように、お得意様の利便性を向上させ、満足度を高めること主目的においたタイプ。そして、もう一つは、アマゾン社のように、推奨商品を表示して、それに対する反応を記録していき、行動履歴を収集するタイプのものである。もちろん、前者の場合もサイト内の行動履歴を記録して、プロフィール分析に役立てることは必要だし、後者の場合もクロスセリングを目的においていて、結果としてはリテンション効果も高い。

これらのパーソナライズドWebは、専用のサーバソフトが数多く開発されており、既存のデータベースと連携させることで比較的簡単に導入できる。

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 ◎初出:2005年5月16日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(9)

第9回・Webテクノロジーはどこまで実用化されているか

インターネットビジネスが注目される大きな理由は、Webにアクセスしてくれた時点で、お客さまの属性、購買履歴などデータベースに蓄積されている情報を参照して、その人専用の対応が行えることにある。つまり、ワン・トゥ・ワン・マーケティングである。

そのためには、アクセスしてくれたお客さまを特定できるだけの情報があらかじめデータベース化されている必要がある。

もっとも確実な情報は、売買契約書などに記載された個人データや購買履歴などであるが、お客さまから直接提供される情報だけでは、好みや生活様式などはわからない。そこで、お客さまのサイト内での行動をクッキーでトレースして、「行動履歴」としてデータベースに蓄積する。どのページをどのくらいの時間開いていたかを記録するだけで、お客さまの関心はかなりの精度で把握することができる。

レコメンデーション(推奨)においては、収集するお客さまに関するデータを次の3つに分類している。

明示的行動(会員登録の際のプロフィールや興味分野などの自主的申告によるもの)
購買履歴(過去の購入実績の記録)
非明示的行動(いわゆる「行動履歴」。どのページを閲覧したかなどのデータ)

プライバシーの問題は残っているものの、最近では匿名性を保ちつつ集められた行動履歴の情報を実質的に相互利用する動きが出てきている。

さらに、行動パターンを他人のデータと比較して、モデリングする技術が実用化されつつある。インターネットで得られる様々なデータを解析することで、お客さまの好みのパターンを類推する技術も急速に実用化されつつある。

データベースを参照して情報を解析することで、お客さま対して的確なクロスセリングやアップセリングが自動的にできるようになれば、それはもはやマーケティングツールというより優秀な「バーチャル店員」と表現してもいいだろう。

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 ◎初出:2005年5月9日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(8)

第8回・ECに適したWebサイトの条件

ECサイトを構築する上で、技術的なハードルとなるのが、「在庫確認」と「決済」の2つである。

在庫確認の重要性は改めて強調する必要もないだろう。Webで注文が通ったのに、後日「ご注文いただいた商品は品切れです」という連絡が来るのでは、注文した人が怒るのはもっともである。

最低限、明らかに品切れ状態の商品については、Webでは注文できないようにして、入荷予定を知らせるような仕組みが必要だろう。リアルタイムで在庫を把握するのが難しい場合は、新幹線の座席予約状況を示すマークのように、「○=十分に在庫あり、△=残数わずか、品切れの可能性あり、X=現在品切れ」のような表示でもかまわない。

釣り具やアウトドアで国内屈指の売上を誇るナチュラムのサイトでも、初期の頃は店頭在庫を1日1回バッチ処理でカウントして、同様なマークで在庫状況を表示していた。

実際問題として在庫確認を完璧に実現しようとするとかなり大変だ。在庫確認では試行錯誤を繰り返している企業が多い。現時点では、オンラインショッピング専用の物流センターを独立させて、在庫を一元管理するというところが多いようだ。

例えば、ユニクロも毎朝、前日の注文状況を見て、インターネット用在庫を補充する形を取っている。これだと、インターネットで販売する在庫を集中管理できるが、店頭と物流が完全に分離するため、インターネットで注文した商品は、最寄りの店頭で返品、交換はできない。

特にクリック・アンド・モルタル型と呼ばれる、店舗との併用でECサイトを運営する企業にとって、店頭用とインターネット用の在庫管理をどのように連動させるかは大きな課題といえるだろう。

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 ◎初出:2005年4月25日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(7)

第7回・CGIを使った占いやゲーム

アンケートの基本は、全員同じ質問に回答してもらうことだが、CGIを使うと面白いことができる。回答の内容に応じて、次に表示する質問を変えたり、回答終了後に性格診断などの結果を自動表示させるなどのテクノロジーが実際に使われている。

例えば、以前WOWOWのサイトで実施された「ハリウッドデビュー診断」が面白い。あなたならどうするという設定で10の質問に回答すると、その場でハリウッドにデビューできる確率をはじき出してくれる。1問ずつページをめくっていく感覚で質問に回答していくが、その前の質問の回答内容によって、次に来る質問が一人一人異なる。

表示される確率に根拠はないが、数字の高かった人はハンドルネームがWebに掲載されるなど、ゲーム感覚で気軽に参加できることが受けた。しかも、遊びの中で、どんな映画を見るかとか、WOWOWを契約しているかなど、さりげなくマーケティングに活用できそうな情報を収集しているのがウマい。

このようにCGIを上手に活用すれば、一味違ったアンケートを実施して、普通のアンケートでは得られない生の声を集めることもできる。Webテクノロジーの進化によって、ますます多様な方法が可能になるだろう。

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 ◎初出:2005年4月18日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(6)

第6回・パスワード・コントロール

パスワード・コントロールとは、特定のページにパスワードでプロテクトをかける機能のことである。パスワードの照合から、新規パスワードの登録、発行まで、汎用のCGIを組み合わせれば意外に簡単に行える。無料の会員制度を作り、会員専用エリアを設けたい場合などに有効である。

パスワードコントロールを使えば、簡単に会員制のページが運用できる。会員として見込み客を囲み込みたいECサイトにとっては、会員制ページはサイト運用の大きな目玉にすることもできるだろう。

会員制ページを作る際にも、汎用のCGIが大いに役に立つ。会員制ページ運営のために必要な機能は、「パスワード認証」と「新規登録受付け」である。 パスワード認証はすでに触れたが、新規登録受付けについてもCGIの基本的な機能でカバーできる。

一般的に使われているCGIで、その手順を見てみよう。 まず、入会希望者の情報を登録フォームに記入してもらう。その際に、希望するIDとパスワードも書き込んでもらう。「登録」ボタンをクリックすると、CGIは新規申請のあったIDが登録済みかどうかを、パスワードファイルにアクセスしてチェックする。同じIDが登録済みならエラーとして返し、未登録なら「登録完了」のメッセージを表示すると共に、新しいIDとパスワードをパスワードファイルに追加する。さらに、登録フォームの内容をサーバ管理者にメールで送信、新規入会者にも、入会申込みのお礼メールを送信する、という流れである。人手は一切いらずに、登録作業が完了する。

ただ、これは「入会審査」が必要ないケースの場合。入会に審査が必要な場合は、メール送信CGIだけの機能で、まずは管理者に登録フォームだけが送られ、後日、結果を申込者に送り返すことになるだろう。 いずれにしても、パスワードコントロールCGIを使えば、会員ページを管理することが可能になる。

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 ◎初出:2005年4月11日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(5)

第5回・クッキーを活用した行動履歴の取得

クッキーに対する誤解として、クッキーのデータを他のサイトで読み取られると、自分の行動履歴を覗かれてしまうのでは、というものがある。だが、クッキーは、書き込んだものしか参照できないようになっている。よって、アクセスした人のブラウザから、他のサイトで書き込まれたクッキーの内容を覗き見することはできない。

クッキーが「プライバシーの侵害ではないか」と疑いの目で見られるのはこのような誤解もあるようだ。ただし、同じサイト内での行動や購買の記録はクッキーである程度補足できる。また、利用者は別のサイトを思って行動していても、クッキーの読み取り部分だけ別のサーバに飛ばして一元管理しているということも考えられるので、これらのデータを解析すると個人的な興味がくっきり浮かび上がる危険性もある。

事実、電子メールを使ったダイレクトマーケティング会社では、クッキーを使って得られた匿名の行動履歴と、アンケートやメールの返事によって得られた実名情報をデータベースですりあわせて、確度の高い個人情報をせっせと蓄積しているのである。

彼らのやり方は、一例としてはこうだ。ダイレクトで送信される電子メールに、透明の画像をブラウザで受信するように指示したスクリプトをしのばせる。(正確には、HTML形式の電子メールを利用する。)受信したメールを開封すると、いきなりブラウザが起動したという経験をお持ちの方もいるだろう。その際にストレートにスポンサーのサイトにアクセスさせるものもあるが、スマートなダイレクトマーケッターなら、何も表示させず、単に1ピクセルの透明画像を送り込みだけである。なぜ、そのようなことをするかといえば、そのやりとりでブラウザとサーバの間にセッションが成立して、その瞬間にクッキーを発行できるからだ。

つまり、メールを開封した人の数だけ、サーバからクッキーが発行されるので、ダイレクト電子メールの「開封率」もきちんとわかる。メールの本文には、当然ながら、いくつかのリンク先として、URLが記載されている。開封した時点でクッキーが書き込まれているので、その人が、どの文面を読んで、どのサイトにアクセスしたか、ほぼ正確にトレースできるというわけだ。

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 ◎初出:2005年4月4日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(4)

第4回・クッキーの仕組みと使い方

クッキーとは、ブラウザ使用者の許可をもらった上で、簡単なテキストファイルに情報を書き込むテクノロジーである。たとえるならば、ブラウザに付箋を貼らせてもらうようなもの。ショッピング・バスケットなどで、一般的に使われている。同一人物を特定できることから、リピーター管理の方法としても活用されている。

1つのクッキーファイルには4096バイトのデータを記録でき、1つのブラウザで最大で300個のクッキーを保存できる。また、同じサーバが、同じコンピュータに対して発行できるクッキーは20個。サーバは、自分が書き込んだクッキーのみを認識することができる。つまり、以前書き込んだクッキーを持ったブラウザでアクセスがあると、同一人物として認識して、以前書き込んだクッキーを参照したり、新たに情報を書き加えたりできる。クッキーは、ブラウザにつけられた印のようなもので、同じ利用者であっても、別のコンピュータを利用してアクセスすれば、別人として認識される。

クッキーの役割は大きく2つに分類できる。まずは、個人の識別機能である。同一人物であることが確認できるので、認証システムやパーソナライズド・ページなどに一般的に利用されている。有名な例としては、ヤフーのオークションやマイ・ヤフーなどがある。たとえば、オークションでは、特にIDやパスワードでログインしなくても、いつもと同じブラウザでオークションページにアクセスすれば、その時点で左上に「XXXXさん、ようこそ」というメッセージが表示され、すでにログインした状態になっている。つまり、クッキーを認識したことで、「顔パス」でログインしたのである。

もう一つの機能は、データの一時保存である。この機能としては、すでに触れたショッピングバスケットが最も身近な例だろう。ショッピングバスケットの基本的な機能は、買いたい商品をどんどん「買い物かご」に入れていき、最後にレジで精算することだが、「かごに入れる」という行為は、選んだ商品の品番をクッキーに一時的に書き込んで保存していることになのである。レジで「精算」すると、クッキーに書き込まれていた品番情報が読み込まれて、購入品リストが表示される仕組みになっている。

なお、クッキーには有効期限が設定されていて、期限を過ぎたクッキーは無効になり、無効クッキーは定期的に削除される。有効期限はまちまちで、個人認証をチェックするクッキーは、30分など短い設定が行われていることも少なくない。

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 ◎初出:2005年3月28日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(3)

第3回・CGIを使った機能例

ECサイトの構築において、強い味方となるのがCGIである。カスタマイズのコツさえつかめば、汎用CGIを使って、リアルタイム・オークション、ショッピング・バスケット、会員制ページの管理などの機能をWebに組み込むことができる。CGIを使った主な機能の例を見てみよう。

CGIがよく使われる例としては、アンケートの回収がある。具体的な機能としては、アンケートフォームに記入されたデータを、サーバに保管されたCSVファイルに書き込んでくれるというもの。

アンケートを実施する企業は、アンケート期間終了後、サーバに蓄積されたCSVファイルをダウンロードして、エクセルやアクセスなどのアプリケーションソフトにインポートすれば、何千件回答が集まろうが、簡単に集計をすることができる。ハガキなどのアンケートと違って、すべてデジタル化されているため、データベースに再入力する必要がない。

通常のアンケートCGIは、入力されたデータをそのまま書き込むだけだが、工夫次第で高度な機能も付加できる。例えば、回答した内容をその場で分析して、次に表示する質問を回答者ごとに変えたり、回答終了後に自動的に表示するページを変えたりと、回答者の興味や属性によって、パーソナライズされたアンケートを実施することも可能だ。

パスワードコントロールとは、パスワードを入力しないと、特定のページにアクセスできないように設定することである。

パスワードコントロールの原理もシンプルである。サーバ内に、正規利用者のIDとパスワードを書き込んだパスワードファイルを用意しておく。利用者がIDとパスワードを入力すると、パスワードファイルに参照して、同じ組み合わせがあると確認できれば、秘密のURLにジャンプさせるのである。

CGI制御のパスワードコントロールだと、いくらでもIDとパスワードの組み合わせを登録できるし、パスワード発行作業も自動化できる。これらのパスワードコントロールを利用すれば、簡単な会員専用ページを運営することができる。

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 ◎初出:2005年3月22日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(2)

第2回・汎用CGIの活用でかなりのことができる

CGIの最大のメリットは、インターネットで汎用CGIが数多く公開されていて、カスタマイズが比較的簡単にできるということである。わかりやすくいえば、モトになるプログラムが、ほとんどタダで入手できる。

これらのCGIは、一般にフリーCGIと呼ばれていて、作者の好意によって無料で公開されているものを指す。商用利用や改造も自由に行えるものが多いが、通常は有料レンタルや再配布などはライセンス料が発生したり、禁止されてたりしているので、ダウンロードする際に利用規約を確認したい。

もっとも、フリーとはいえ、著作権は作者に帰属するので、作者の著作権を侵害するような行為は禁止されている。(たとえば、プログラムのソースの中に記載されている著作権表示の部分は改変不可など)

フリーCGIの中には、バージョンアップを重ねて、十分にビジネスに使用できるレベルのものも少なくない。例えば、最近では、リアルタイムのオークションを自社サイトで運営できるCGIなどもフリーで公開されている。

百聞は一見にしかず、まずはフリーCGIを集めたサイトで、どのようなCGIが公開されているかを見るのがいいだろう。これらのサイトでは、フリーCGIがダウンロードできるだけでなく、CGIのカスタマイズやサーバの設定などの関する基礎知識の講座も充実しているので、Webマスターやマーケッターにも有益な情報源になるはずである。

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 ◎初出:2005年3月14日
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「Web マーケティングを実現するテクノロジー」(1)

第1回・マーケティングサイトに必要なテクノロジー

Webがこれまでのメディアと大きく異なる点は、インタラクティブ(双方向性)という点である。双方向性が実現できるのは、Webにアクセスした人の要求が、ブラウザを介してサーバに伝達されるからである。

例えば、サーチエンジンでは、利用者が入力したキーワードに合致する情報をデータベースから検索して表示してくれる。つまり、利用者が入力した文字列がデータとしてサーバに引き渡され、サーバの中で検索という作業が実行されていることになる。 これらのデータ引き渡しや、サーバ内で検索などを実行するプログラムがCGIである。サーバの拡張機能として、サーバソフトに含まれるものもあるが、一般的に、利用者との間でインタラクティブなやりとりを仲介してくれるのがCGIなのである。

ECサイトでは、様々な機能を持ったCGIが使われている。逆に言えば、どのような機能を持ったCGIを作ることができるのかがわかれば、Webでどのようなインタラクティブなやりとりが可能になるかがわかる。

CGIは一種のプログラムである。よって、簡単なものから複雑なものまで、実に多種多様なものが存在する。

最も簡単なCGIの例をあげるとすれば、メール送信CGIがまず思い浮かぶ。入力欄があって、そこに記入した文章が、サイトのウェブマスターにメールで届く、という機能を持っている。企業のサイトで、お問い合わせフォームなどによく使われている。

これらのメール送信CGIは、入力されたデータをメールとして送信する際に、日本語にデコードする機能が必須なので、これらのCGIはデコードCGIとかデコーダーとも呼ばれている。いずれにしても、ブラウザに入力されたデータを、いったん引き取って、それを処理(ここではメールの形で特定のアドレスに送信すること)を行うという点では、基本ともいえるCGIである。

もう少し複雑になると、電子掲示板のように、データの読み取りや書き込みを行う機能が加わる。電子掲示板のデータは、ログファイルに保存されているが、通常、CSV(コンマ区切りデータ形式)などの簡易データベース形式になっている。

電子掲示板を「読む」という行為は、CGIがその都度、データベースにアクセスして、ログを引き出してきて、その場でHTMLに生成することである。同様に、「投稿する」ことは、ブラウザに入力された投稿文を読み取って、その情報をデータベースに書き加えることを意味する。つまり、CGIがデータベースの内容を読み取ったり、書き込んだりしているのである。

高度なシステムを持つサーチエンジンも、データベースからキーワードに合致する情報だけを抽出してHTMLを自動生成する、という点では、全く機能的には同じである。ただ、サーチエンジンの場合は、膨大なデータを扱うので、CGIではなく、サーバの拡張機能(ASPやPHPなど)が使われるケースが多いだけのこと。

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 ◎初出:2005年3月7日
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