23-2003年連載

2007/06/28

2003年 連載<目次>

■「メルマガ広告活用術」(2003年2月17日連載開始)

第1回・インターネットで手軽に広告
第2回・メルマガ広告の特徴
第3回・広告に適したメルマガの探し方
第4回・レップを利用するメリット
第5回・リーチを最大にする媒体選び
第6回・メルマガ広告の効果測定
第7回・ホームページとの連動

■「インターネット広告・これまでの歩み」(2003年4月7日連載開始)

第1回・インターネット広告の誕生
第2回・日本のインターネット広告業界
第3回・インターネット広告企業の株式公開相次ぐ
第4回・アフィリエイト・プログラムの登場
第5回・インターネット視聴率調査の役割
第6回・多様化するウェブ広告
第7回・ウェブ広告の効果を測る指標
第8回・次世代インターネット広告のキーワード
第9回・検索エンジンとインターネット広告の新しい関係

■「消費者から見たインターネット最新トレンド」(2003年6月9日連載開始)

第1回・急速に普及するブロードバンド
第2回・手軽にできるホームLAN
第3回・手軽に参加できるネットオークション
第4回・オンラインゲームの魅力
第5回・タイプの異なる検索エンジンを使いこなす
第6回・ウィルス対策は万全ですか?

■「ITビジネスのニュートレンド」(2003年8月25日連載開始)

第1回・無線LANの普及でモバイル環境が身近に
第2回・ブロードバンド時代に求められるコンテンツとは
第3回・相次ぐ個人情報漏洩の原因は?
第4回・ウェブ・ユーザビリティの重要性
第5回・インターネットリサーチを活用する方法
第6回・実用レベルに近づくテキストマイニング技術
第7回・ホームネットワーク普及のカギは配電線搬送技術
第8回・SEO(サーチエンジン最適化)が注目される背景
第9回・多様化するドメイン名
第10回・マーケティング支援ツール活用のコツ
第11回・オンラインショッピングにおける電子決済の現状
第12回・インターネット広告とサーチエンジンの新しい関係
第13回・アメリカで定着するアフィリエイト・プログラム
第14回・ネットビジネスのマーケティングコストとリスク要因

■「メールマガジン配信入門」(2003年12月1日連載開始)

第1回・メールマガジンの基本を知っておこう
第2回・メールマガジンが配信される仕組み
第3回・メールマガジンを企画してみよう
第4回・目的・業種別メルマガ企画例
第5回・メルマガを発行するために必要なシステム
第6回・メールマガジン発行で注意したいこと(1)
第7回・メールマガジン発行で注意したいこと(2)
第8回・アンケートで購読者を集客する方法
第9回・HTMLメールマガジンのメリット・デメリット
第10回・パーソナライズに挑戦
第11回・メルマガ活用・成功事例(1)
第12回・メルマガ活用・成功事例(2)
第13回・メルマガ活用・成功事例(3)

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「ITビジネスのニュートレンド」(14)

第14回・ネットビジネスのマーケティングコストとリスク要因

本格的にネットビジネスに参入するとなると、様々なリスク要因が発生する。その一つに、意外とマーケティングコストがかさむことがあげられる。

ネットにおけるプロモーションは、どちらかといえばアクティブユーザをターゲットにしたものが主流になっている。ウェブアンケートで、オンラインショッピングの経験の有無を質問すると、おおむね8割以上の人が「経験あり」と回答する。懸賞サイトなどで情報を検索してウェブアンケートに回答する層と、オンラインで商品を積極的に購入する層はかなり重なっているといえる。ネットでの新規顧客獲得競争は、他のサイトでも購入した経験を持つ人たちを奪い合っているのが実情だろう。

有力サイトの購入コンバージョン率は、取り扱い商品にもよるが平均すると2%前後とされている。サイトに100人誘導することができれば、およそ2件の注文が得られるという計算だ。

ITバブルが最盛期だった1999年頃、アメリカの有力サイトにおける新規顧客獲得コストの平均は30ドルとも40ドルとも言われた。いくら顧客囲い込みを優先するとはいえ、3回のリピート注文によって得られる利益を先払いするようなコストをかけていては経営が成り立つはずもない。事実、マーケティングコストの負担に耐え切れずに破綻するドット・コム企業が相次いだ。

幸い、ここ数年で新規顧客獲得コストは大きく低下している。インターネット広告の料金(クリック単価)が下がったこともあるが、アフィリエイト・プログラムやサーチエンジンのキーワード広告など、コンバージョンに直接結びつきやすいプロモーション手法が確立されたことも貢献しているといえる。

ネットビジネス特有のリスク要因を事前に理解するには、アメリカのネットビジネスを参考にするのがいいかもしれない。アメリカの株式市場には数多くのネット関連企業が上場している。日本でも業界関係者ならみんな知っているメジャーな企業もあれば、アメリカでもあまり知られていないマイナーな企業まで、実にバラエティに富んでいる。

ディスクロージャー先進国であるアメリカでは、投資家向けに上場企業のデータは広く公開されている。特に参考になるのが、新規公開予定企業の目論見書に記載された「リスク要因」という項目である。今後の事業展開においてどのようなリスクが考えられるかを、こと細かに分析して公表している。もしも、公開後に目論見書に記載されていない要因で業績が悪化して株価が下がるようなことにでもなれば、株主から次々と訴えられるのは目にみえているからである。よって、「ここまで心配しなくてもいいんじゃないの」ということまで「可能性」として書いているのである。

これを読めば、その業界がどのような問題に直面しているか一目瞭然である。アメリカのインターネット広告業界のことを知りたければ、ナスダックで公開を予定しているインターネット広告関連企業の目論見書を読めばいい。どんな理論書よりもインターネット広告業界のことがわかるだろう。

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 ◎初出:2003年11月25日
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「ITビジネスのニュートレンド」(13)

第13回・アメリカで定着するアフィリエイト・プログラム

ここ数年でアメリカのECサイトにおいて、有力なマーケティング手法として定着しつつあるのが、アフィリエイト・プログラムである。アフィリエイトとは、「提携」という意味である。具体的には、ネット販売を行う企業(マーチャント)が、ウェブサイトを開設している企業や個人(サイトオーナー)にバナー広告を貼り付けてもらう。実際の作業は、数行のタグをHTMLに貼り付けるだけで、ほとんど手間もかからない。

アフィリエイト・サイトのバナーを経由してアクセスしてくれた人が、首尾よくマーチャントのサイトでお買い物をしてくれれば、購入金額の一部がキックバックとしてサイトオーナーに支払われるというシステムである。なお、アフィリエイトに加盟するには、加盟金や手数料は一切いらない。

アフィリエイト・プログラムの発祥は、1996年に書籍販売のアマゾン社が導入した「アソシエイト・プログラム」と言われている。

アメリカでは、アフィリエイト・プログラムは、特に物品を消費者向けに販売するネット通販サイトにおいて、かなりの割合で導入されている。例えば、ネット上でギフト商品を販売する有力サイトを調査したところ、5社のうち4社が採用していた。

なぜ、アフィリエイト・プログラムが短期間のうちに普及したのであろうか?

まず理由としてあげられるのは、アマゾン社の成功である。その成長に大きく寄与したのが、同社で言うところの「アソシエイト・プログラム」である。アマゾン社では全世界に50万サイト以上のアフィリエイトサイトをネットワークしている。

アフィリエイト・プログラムでは、通常、売上の5%から10%をキックバックするシステムになっている。一見すると、販売促進コストの上昇を招く要因と見られがちだが、それでもアフィリエイト・プログラムを導入する企業が後を絶たないのは、売上の10%程度のコミッションで新規顧客が獲得できることに、大きな魅力を感じているからだ。

インターネットで新規顧客を獲得するコストは、思ったより高くついている。調査によると、有力ネット販売企業は、新規顧客の獲得のために1人あたり10ドルから20ドルかけているという。客単価50ドルでコミッション率10%としても、わずか5ドルで新規顧客が獲得できるし、アフィリエイトに加盟するサイトの数が増えれば、累計のバナー表示回数も膨大になる。販促費用を押さえ、かつ無料で表示されるバナー広告でブランド認知効果も期待できる。まさに、一石二鳥のマーケティング手法なのである。

アメリカの調査会社によると、アメリカでは、すでにネット通販の売上のおよそ25%がアフィリエイト・プログラム経由によるものと推測している。

日本でもアフィリエイト・プログラムは徐々に認知されてきている。先日、アフィリエイト・プログラムに参加する企業や個人のための「アフィリエイトマーケティング協会」が設立された。今後の活動に期待したい。

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 ◎初出:2003年11月17日
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「ITビジネスのニュートレンド」(12)

第12回・インターネット広告とサーチエンジンの新しい関係

インターネット広告は、インターネットの商用利用開始とほぼ同時に誕生した。1994年10月に「HotWired」のサイトに14社のロゴが掲載されたのが最初と言われている。形状が横長の旗のように見えたことから、「バナー広告」と呼ばれるようになった。

その後、バナー広告は、クリックされた回数(スポンサーのサイトに誘導できた回数)によって料金が課金される「クリック保証型」が主流になった。バナー広告を提供するサイトでは、クッキーを使って同じ広告を表示する回数を制限したり、過去の行動履歴からもっとも興味を持つと思われる広告を優先的に表示したり、広告料収入を最大化する努力を重ねてきた。

最近の傾向としては、バナー広告のバリエーションが豊富になってきていることがあげられる。見た目に新鮮なバナー広告が次々と登場する背景には、ブロードバンドの普及によって、容量の大きな広告が配信できるようになったこともあるが、最大の理由はバナー広告の効果が著しく低下していることである。

バナー広告の効果を示す指標の一つとして、広告が表示された回数に対し、閲覧者が何回広告をクリックしたかを表す「クリック率」がある。ここ数年、クリック率は急速に低下していて、通常のバナー広告では平均0.3%程度と言われる。つまり、1000回露出しても、サイトに誘導できるのはわずか3人という計算になる。

スポンサー離れが進むバナー広告に対して、最近注目されだしたのが、サーチエンジンの検索結果のページに表示されるテキスト広告である。特定のキーワードで検索した時のみ表示されるため、一般的に「キーワード広告」と呼ばれている。

日本でキーワード広告が広く知られるようになったきっかけは、Google が独自のキーワード広告「アドワーズ」をスタートしたことだろう。Google でキーワード検索を行うと、検索結果のページの右上に文字広告が何件か表示されるのに気づく。これがアドワーズ広告である。料金体系は、キーワードの人気度によって変動するが、基本的には「クリック保証型」と同様でクリックされた回数分だけ課金される仕組みで、少ない料金から契約できることから人気を集めている。

アドワーズ広告の有効活用の鍵は、いうまでもなくキーワードの選定である。利用者がどのキーワードを使った時に、自社の広告を表示すればよいか。普段からアクセスログを分析していれば、おのずと答は見えるはずだ。ただし、アドワーズ広告はあくまでも広告であり、サーチエンジン本来の目的である検索結果の順位には何ら影響しない。これに対して、アメリカでは広告料金を支払うことで、順位を上げてもらえるというサービスも存在する。

ポータルサイトにアクセスしてきた不特定多数にバナー広告を表示するよりも、何らかの目的を持ってサーチエンジンを利用した人にピンポイントで広告を露出するほうが効果は高いのは当然といえる。スポンサーのサイトに誘導することだけでなく、見込み客獲得に直結するインターネット広告として、今後ますます注目度は高まるだろう。

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 ◎初出:2003年11月10日
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「ITビジネスのニュートレンド」(11)

第11回・オンラインショッピングにおける電子決済の現状

インターネットが普及し始めた頃は、間もなく電子マネーがオンラインショッピングの標準的な決済手段になると期待されていた。実際、ICチップを埋め込んだクレジットカードや、プリペイド式の電子マネー、オンラインショッピングのみに利用できるバーチャルクレジットカードなど、様々な電子決済が登場した。そのうちいくつかは今でもサービスが提供されているが、正直なところ「標準的な決済手段」には程遠いという現状である。

結局、以前から通信販売等で行われてきた、郵便・銀行振込、代金引換、クレジットカードなど「ローテク」の決済手段が生き残った形となった。

一消費者の立場でいえば、やはりクレジットカード決済は便利だ。その場で決済が完了するし、利用代金は銀行口座から後日引き落とされる。国内航空会社のチケットレスサービスなどは、クレジットカード決済には割引料金まで適用されるのだから、なおさらである。

ところが、欧米に比べると日本ではクレジットカード決済は思ったほど普及していない。その代わり、日本では中小のサイトを中心に、「コンビニ払い」という形態が主流となりつつある。

コンビニ払いとは、商品を先に宅配便などで送り、同封された払い込み用紙を最寄のコンビニに持参して代金を支払う方法である。代金は後払いで、払い込みに必要な手数料もかからず、24時間好きなときに手続きができる。コンビニ払いを採用するサイトが多い理由として、日本では中小サイトがクレジットカード会社と契約を結ぶのが難しいという事情がある。

基本的に、クレジットカード会社では、SSLを導入し第三者機関に認証を受けたサーバで受信したカード情報のみ決済を認めている。第三者機関に認証を受けるには、レンタルサーバではなく独自のサーバを用意する必要がある。さらに、過去数年の決算報告書などを提出した上で審査を受けなければならない。この審査が、アメリカなどに比べて格段に厳しいといわれる。審査に通って契約が認められても、当初は手数料8%前後からのスタートになるという。

クレジットカード決済のために独自サーバを用意し、手数料を8%も徴収されてしまうのでは、中小のサイトにとっては大きな負担になる。それならば、数%の焦げ付きを覚悟しても、代金後払いであるコンビニ払いを採用したほうが、利用者にも安心してもらえるのではないか、と考えるのも当然かもしれない。

最近では、クレジットカード決済を代行してくれるサービスも登場している。この種の決済代行サービスを利用すれば、直接クレジットカード会社と契約しなくてすむので、レンタルサーバでも比較的簡単にクレジットカード決済が可能になる。クレジットカードが使えることで、売上増につながる可能性はある。決済手段を分散することで事務的な作業が増え、手数料のために利益率が低くなるデメリットもあるが、これまでコンビニ払いを中心にしてきたサイトにとっては、一つの選択肢といえるだろう。

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 ◎初出:2003年11月4日
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「ITビジネスのニュートレンド」(10)

第10回・マーケティング支援ツール活用のコツ

インターネットマーケティングの進化の歴史は、自動化への挑戦といえるのではないだろうか。インターネットの商用化が本格的に始まると同時に、マーケティングを支援する技術やツールが次々と開発された。

いち早く実用化された手法の一つは、クッキーで得られた行動履歴に基づいて、利用者がもっとも興味を示すだろうと思われる広告を表示するバナー広告ネットワークである。その後、この技術は購買履歴や行動履歴を他の人々のパターンと照らし合わせて利用者の好みを類推するレコメンデーションに応用されるようになり、現在では書籍や音楽CDなど主要な販売サイトに採用されるに至っている。

1998年頃からアメリカではEMA (Enterprise Marketing Automation) と呼ばれるソフトウェアが相次いで登場した。データベースと連携して、キャンペーンの設計、セグメンテーション、顧客プロフィール収集、リードマネジメント、コミュニケーション、追跡、分析・評価、報告などを効率的に設計、実行するウェブサーバ用のツールである。顧客のプロフィールや行動履歴に基づき、パーソナライズされたホームページや電子メールを自動生成するなど「ワン・トゥ・ワン」の対応を行うことが基本になっている。

当時、Annuncio 社のEMA ツールがネットスケープのポータル「ネットセンター」に採用されたり、Rubric 社はヒューレット・パッカードと共同で、顧客コールセンターにも対応したEMA ツールを開発するなど、業界として盛り上がりを見せていたものである。

これらのソフトウェアは、最近ではCRM ツールの一部として組み込まれていて、EMA という言葉はアメリカでもあまり聞かれなくなった。それでも一時は盛んに日本に紹介されていたが、期待していたほど日本企業には導入されなかったようだ。理由は、ローカライズが遅れたことや、ライセンス料が安くないことなどがあげられるが、やはりどのように使いこなせばいいのかわかりにくかったのだろう。今後、日本の商慣習に基づいてローカライズされた廉価なツールの登場が期待される。

これらのツールをうまく活用すれば、完全に自動化することは無理にしても、マーケティング活動に伴う作業を効率化することは可能である。比較的自動化しやすいプロセスとしては、資料請求者に対するメールのフォローや、メールマガジン配信などエラーで戻ってきたメールの整理およびデータベースへの反映、などがあげられる。

ただし、これを導入すればすべて解決する、という夢のようなシステムは期待すべきではない。システムありきの発想ではなく、どの工程が自動化できるかという「プロセスの効率化」という視点で考えるべきだろう。プロセスに対する理解や処理するノウハウが不足していては、いくら部分的に自動化しても、効率が逆に低下することになりかねない。

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 ◎初出:2003年10月27日
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「ITビジネスのニュートレンド」(9)

第9回・多様化するドメイン名

ここ数年、インターネット上の「住所」であるドメイン名が急速に多様化している。ドメイン名は、アドレスとしての役割に加え、自社の事業内容や社名を広く知ってもらうためのブランド効果も大きい。仕組み上、同じドメイン名は存在しないので、使用したいドメイン名を使えるかどうかは、単に早く登録したかどうかにかかってくる。要するに「早い者勝ち」である。

自社の社名やブランドをそのままドメイン名に使用したいという要望に対応する狙いもあってか、様々な種類のドメイン名が新しく登場している。Network Solutions のサイトでも、従来の.com や .net などに加えて、.tv、.us、.info など計9種類のドメイン名の登録が可能になった。これ以外にも、.shop ドメインなど、次々新しいドメイン名がデビューする予定になっている。

これまで希望のドメイン名が取れなかったために、やや不本意なものを使ってきた企業にとって、最近登場した新しいドメイン名に乗りかえるべきかという判断は重要な問題である。ドメイン名の乗り換えによって会社名や商品名をそのままドメイン名として利用できるメリットは大きいが、すでに名刺やレターヘッドに印刷して取引先などに浸透しているものを変更するデメリットも小さくない。

また、すべてのドメイン名が同じ条件で登録できるわけではない。たとえば、.com ドメインは、1社でいくつでも登録できるが、.co.jp ドメインは、法人に限るうえ、1法人1ドメインに制限されているなど、ドメイン名登録を管理する団体によって規定はまちまちで、年間の利用料も異なる。

一方、一時期マスコミで騒がれた日本語.com や日本語.jp など、いわゆる日本語ドメイン名はASCII互換文字列に変換するアルゴリズムの標準化作業が遅れている関係で、まだ本格的な運用には至っていない。仮に標準化作業が完了し、運用が正式に開始されても、日本語ドメインは期待されたほど普及しないだろう。日本語ドメインは、パソコンや英語が苦手な高齢者にやさしい、アクセシビリティに考慮したドメイン名と思われがちだが、実際はかえって利用しにくい面もある。

ドメイン名が多様化するに伴い、一見するとよく似たドメイン名が存在するようになった。たとえば、company.com、company.co.jp と company.jp は全く別のドメイン名であるが、利用者が間違って記憶していた場合、混乱が生じる恐れがある。

ドメイン名は、ウェブサイトへアクセスする際の URL や、電子メールアドレスに使われる。URL の場合、間違ったドメイン名を入力すれば、別の会社のウェブが開き、その時点で間違いに気づくから特に損害は生じない。ところが、電子メールアドレスのドメイン名部分を間違えてしまうと、電子メールが全くの他人に届いてしまう可能性がある。企業にとって、自社のドメイン名を正しく覚えてもらう工夫も必要ということである。

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 ◎初出:2003年10月20日
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「ITビジネスのニュートレンド」(8)

第8回・SEO(サーチエンジン最適化)が注目される背景

昨年以来、インターネットマーケティング業界の流行語になっているのがSEO(Search Engine Optimization=サーチエンジン最適化)である。一般的な解釈としては、サーチエンジンでキーワード検索した際に、自社サイトの情報ができるだけ上位に表示されるようにサーチエンジン対策を講じること、と説明されている。

サーチエンジンには、ディレクトリ型とロボット型の2種類がある。ディレクトリ型とは、ファイルを保管するディレクトリのように階層状に登録情報があらかじめ整理されているタイプのもので、代表的な例ではYahoo!があげられる。

これに対してロボット型と呼ばれるサーチエンジンは、ロボットと呼ばれるプログラムがインターネット上に存在するウェブページを収集してきて自動的に登録する。巨大なデータウェアハウスのような構造になっていて、キーワードによる全文検索で必要な情報を探す仕組みになっている。ロボット型のサーチエンジンの強みは、登録されているウェブページの「量」である。たとえば、Googleは合計30億ページの情報をデータベース化しており、検索対象の網羅性では群を抜いている。

最近になってロボット型サーチエンジンの表示順位が重要視されるようになったのは、ランキングを決めるアルゴリズムが急速に進化し、利用者が探したい情報とサーチエンジンで上位に表示される情報がかなり一致するようになったからである。以前はHTMLのソースに記載されているキーワードの登場頻度などが順位に大きく影響していたが、最近では他のサイトからリンクされている数や、検索結果として表示された際のクリック率など、総合的なサイトの実力を重視するようになった。別の表現でいえば、そのサイトが他の人からどれだけ役に立つと思われているかを基準にして順位を決めようというわけである。Googleでは、150を超える指標をある計算式で数値化して、ランキングを決めているという。そのため、順位は短期間で大きく変動することがある。

アメリカでは、Googleで検索した時の順位で新規客からの問い合わせ数に大きな差が出るといわれている。実際、Googleでの順位が突然下がってしまったため、売上が減少したと訴訟に至っている例がいくつかある。

SEOは、小手先だけのテクニックでサーチエンジンの順位を上げようとすることが目的ではない。ただ、サーチエンジンの基本的な仕組みを知らないがために、ちょっとしたHTMLの不備で順位を大きく損ねているケースも少なくない。そういう意味では、自社のウェブページのソースを再点検してみる価値はある。しかし、SEOの本当の目的は、サーチエンジンの評価を自社サイトの改善に活かすことであり、その結果として順位があがることが望ましいのである。

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 ◎初出:2003年10月13日
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「ITビジネスのニュートレンド」(7)

第7回・ホームネットワーク普及のカギは配電線搬送技術

「ホームネットワーク」という言葉が最近よく聞かれるようになった。ホームネットワークの定義にもいろいろあるが、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電といわれる家電機器の制御や防災安全機器の制御など、従来のホームオートメーション(HA)の機能に加え、パソコンやテレビなどを使って家庭でインターネットや電子メールを利用することを指す場合が多い。

ホームネットワークは家庭内だけにとどまるものではなく、社会とも広く関わってくるため、電機機器メーカーはもちろん、通信事業者、電力会社、アプリケーション事業者、工事サービス事業者、行政機関、学校、病院、交通機関なども含めた巨大な産業と成長する可能性がある。

ただし、ホームネットワークの規格の標準化についてはまだまだこれからという感が強い。インフラという観点からは、すでにある配電線と電話線のほか今後、無線と光ファイバーが有力な候補と考えられている。電話線を使う規格としては「Home PNA」、配電線を低周波で使う規格として「Home Plug」や日本独自の「ECHONET」、AV機器およびPC関連機器間を結ぶ規格としては「IEEE1394」と「USB」がすでに広く使用されている。また、無線インフラ規格としては、「HomeRF」が一部で実用化されていると共に、近距離のモバイル機器用として「Bluetooth」が立ち上り始めている。オフィスなどで使用されている無線LANの「IEEE802.11」規格もホームネットワークで使用される動きがある。

デジタル家電分野専門の調査会社、ブレーンチャイルドがまとめたホームネットワークの市場予測によると、配電線を利用した家電ネットワークの規格「ECHONET」が家庭に浸透し、2006年には世帯普及率が49%に達するという。無線LAN規格のIEEE 802.11bとBluetooth、ECHONETは有望だが、HAViは異なる規格が多い上に規格間の接続性が保証されないこと、HomePNAは日本の住宅内にモジュラーが少ないこと、またHomeRFはIEEE 802.11bに比べ製品化が遅れたことから、この3規格は淘汰されると見ている。Bluetoothはモバイル機器、IEEE 802.11bはPCが中心で、結局「ホームネットワークと呼べるものはECHONETが唯一」と結論している。

配電線搬送は、従来は技術的に低周波搬送のみ可能だったが、配電線で高速インターネット可能な高周波搬送技術が実用化されつつある。日本では配電線に高周波を載せることは電波漏洩の問題などから電波法で規制されているものの、規制緩和の対象として検討が続けられている。

ホームネットワークの分野は、配電線搬送など新しい技術が次々開発され、実用化に向けて改良が進められている。規制が緩和され本格的な導入が始まれば、急激に伸びる潜在力を秘めた市場であることは間違いない。

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 ◎初出:2003年10月6日
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「ITビジネスのニュートレンド」(6)

第6回・実用レベルに近づくテキストマイニング技術

ここ数年でテキストマイニングの研究やソフトウェア開発が急速に進んでいる。

定量的なデータから類似性や相関性を導き出すデータマイニングについては、かなり高度な分析手法がすでに確立している。しかしながら、アンケートの自由回答などのテキスト形式のデータは、使われる用語の不統一性や日本語特有の主語と述語のあいまいな関係などが障害となり、機械的に解析することは難しかった。それら定性的なデータを解析して、行間に潜む回答者の心理を読み取るのがテキストマイニング技術である。

これまで、訪問による聞き取り調査やグループインタビューなどで得られた定性的なデータは、分析者が一つ一つ読んで、KJ法のように分類する方法などで分析されることが多かった。聞き取り調査などでは、1サンプルあたりの収集コストも高く、コスト面からも分析するデータの量が限られていたため、なんとか対応できていたという事情もある。

しかし、インターネットで大量の定性的データが回収できるようになり、分析するサンプル数は飛躍的に増大した。1回のアンケートで収集される何千もの自由回答を分析者がすべてに目を通して手で分類することは不可能に近い。当然、テキストマイニングの実用化を望む声が高くなる。

アンケート回答の分析以外にも、テキストマイニングの応用が期待されている分野は幅広い。すでに一部で実用化されているのは、企業が主催するコミュニティサイトで行きかうメールや掲示板の書き込みをマイニングして、消費者のニーズや現状の製品に対する不満点を分析し、商品開発に活かすという試みである。グループインタビューでは、全体の方向性が「声の大きい人」の意見に傾きがちだが、インターネットのコミュニティでは、半公共スペースである上に、面とむかって反論するというプレッシャーがないため反対意見も活発に出て、参加者の意見がほぼ等しく反映されるというメリットがある。

また、テキストマイニングをCRMに応用した例としては、メールによる顧客サポートを支援するシステムがある。サポートセンターに寄せられる質問の文意を自動的に解釈して、蓄積された膨大な対応マニュアルの中から、最もソリューションに関連していると思われるデータを抜き出してサポートスタッフに回送されるという仕組み。スタッフは、メールを開いた瞬間に、回答の際に役に立つと思われるデータが添付されているので、すぐに的確な返答ができる。

ただし、テキストマイニングは、現在販売されているシステムは必ずしもビジネスに使えるレベルに達しているとはいえない。が、翻訳やあいまい語検索など人工知能技術が高度化しつつある現状を考えると、テキストマイニング技術の実用化はすぐ目の前まで来ているといってもいいだろう。

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 ◎初出:2003年9月29日
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